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    shinyaemew

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    ジョンウェン
    イメージ図:https://twitter.com/shinyaemew/status/1622279334059970561

    ##類司SS

    兄離れなんてできない ひゅ、と腕が冷気に当たった気がして、ほんの少し意識を浮上させ、重い目蓋を開けてみたら、月の光の中で、揺れる藤色が見えた。弟の類だ。きっとまた夜遅くまで本を読んでいたのだろう。

     いくら知識を積んで賢くなっても、布団の中へ入ってこようとする仕草だけは、子供の頃となんら変わらない。しかし今や類も百八十センチに大きくなっていて、あと一年もすれば高等学校を卒業する歳だ。もうオレのララバイも、寝る前の絵本も必要ない。

    「ん……もう一緒には寝れないと言っただろう……」

     一人用のベッドが二人目の体重でギシ、と悲鳴を出すので、冷えてきた右手で類の侵入を止めた。はずだが。

    「兄さんの隣じゃないと眠れないんだ」

     伸ばした腕とオレの体ごと抱き枕代わりにされて、類は布団に潜り込んできた。まだほんのり、本の匂いがする。逆の体勢を取っていたのはいつまでだっただろうか。中等学校の頃からもう、オレの腕に収まらなかったと記憶している。

    「……おやすみ、るい」
    「おやすみ。……――だよ、兄さん」

     最後に何かを言われたような気がしたが、類の体温に包まれて、ぽわぽわする脳が音を言葉へ変換する前に溶けてしまい、わからなくなった。
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    zeppei27

    DONE企画4本目、加糖さんよりご指名頂いた黒田で、『分け合いっこ』です。豪快さと可愛さの合わせ技、黒田君はいろんなものを何の気なしに分け合ってくれるような気がします。多分他意はないんだ……あるって言って!
     リクエストありがとうございました!
    太陽の共食い 薩摩藩上屋敷は夏真っ盛りだった。縁側をみっしりと埋め、前庭に敷いた筵一面に広がる夏の成果に、黒田清隆は目を疑った。江戸に来てから久しいが、このような異様な光景に出くわすのは初めてである。
    「西瓜……だと?」
    「その通りだ、黒田」
    朋輩たちがわらわらと興味本位で群がる様に呆然としていると、のっそりと大きな影がさした。いついかなる時も沈着冷静な人は誰であろう、大久保利通である。流石に彼ならば事情を知っているに違いない。こちらの困惑を見て取ったのだろう、利通は淡々と続けた。
    「篤姫様が、暑気払いにと御下賜されたのだ。京の都から取り寄せたらしい。……一人一つだ!欲張るでないぞ!」
    「承知しもした!」
    すかさずちょろまかそうとした輩がいたのだろう、利通の一喝ですぐさま場の空気が引き締まる。確かに、薩摩の暑さに比べれば江戸の夏など可愛らしいものだが、暑いには変わりない。西瓜のみずみずしい甘さは極上に感じられるだろう。篤姫も小粋な計らいをしてくれたものだ。
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