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    nnmnchudock

    @nnmnchudock
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    nnmnchudock

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    記憶喪失になった七と、じゃあ(傷つきたくないし)にげちゃおーした恋人の話 前半
    (後半は七視点で夢主を追い詰める話)
    #じゅじゅプラス

    「私からはなんと申し上げて良いか……」

    申し訳なさそうに背を丸める伊地知潔高の肩をぽんと叩いて笑みを作った。わらえ、わらえ。そう強く自分に言い聞かせれば、意外と表情筋はきちんと仕事をしてくれた。
    「何も言う必要は無いよ。きれいさっぱり忘れたんなら、そのままで。その方が建人のためでしょ」

    ✕月✕日 東京都内✕✕学校内に発生した一級相当の呪霊祓除時発生した事故により、東京校所属七海建人一級呪術師の記憶障害が起きたと見られる。

    呪霊の術式効果により✕月✕日から一年前までの記憶の喪失が確認され、現在──




    恋人の記憶が無くなった。そう知らせを受けあわてて自分の家に帰り、七海建人の私物をかき集めた。キャリーケースに詰め込んで、手伝いを申し出てくれた伊地知潔高の運転で恋人のマンションへと向かった。

    「いいのですか、きちんと七海さんに話せば分かってくださると思うのですが」
    「やー伊地知さんは分かってないよ。一年前って建人が高専に戻ってきたあたりでしょ。
    もーモテにモテまくって凄かったの忘れた?」

    一年前と言えばまだ普通の同僚だった時だ。
    跡継ぎの男子に恵まれなかった家からぜひ婿に、と縁談が相次いだのである。
    「私は覚えてるよ……釣書とお見合い写真の山を五条さんを見るような目で見てた」
    もし近くにコワレモノがあったのならヒビがはいりそうな鋭い舌打ちをして一つ一つ差出人を確認して封も開けずに律儀に送り返していた。
    そんな時期である。

    「そこでわたしが彼女でーすなんてお見舞いに現れてご覧よ、わたしまで五条さんを見るような目で見られるわ」

    さすがに彼氏からそんな目で見られたら傷付く。だったら同僚に戻った方が何倍もマシだ。
    「だからまあ、これでいいんだよ」

    マンションに着くなり急いでキャリーケースの中身を配置してゆく。
    とはいえ、返すべきものは少ない。
    使いかけの消耗品を返しても疑惑の種となりそうなのでその辺は残してきた。
    部屋着にしていた服や下着などその程度なのですぐに済む。
    むしろ本番はこれからだ。

    「伊地知くん適当にそこら辺のわたしっぽい物紙袋に入れて!」
    「は、はいっ」
    「わたしは水周りと寝室やってくるから!」
    どうせこれからも使うのだからとその言葉に甘えて、沢山物を置きすぎた。

    化粧品や服などは言うまでもなく、仕事関係のものや、漫画や、ちょっとした忘れ物がたまりにたまって既に同棲してますか、と言うほど物が多い。
    「#name#さん、どうしましょう…!」
    「え、なに」
    「#name#さんのものを撤去すると配置が不自然です…!」
    「ああああああしまった…!」
    「とりあえず埃の跡などは拭き取れば消えますが、ここの棚丸々ひとつ空きます」
    「棚を無くしてしまおうか…」「そう思って動かしたのですがカーペットに跡が」「な、なにかとりあえずでもいいからなにか、なにか…………なんもない!建人のものが少ない…!」
    万事休すか。いいや、諦めてはいけない。
    「一年分の記憶がないなら、棚を買ったばかりだったかな、って思ってくれたりしないかな」
    伊地知を見れば冷や汗をかきながらも頷いたので無理に誤魔化さずそのままにしておいた。

    「よし、これでオッケー!戻ろう伊地知くん!」
    最後にキーケースから鍵を一本外して引き出しの中に入れた。合鍵を貰う時にここから取り出したので保管場所はあっているだろう。
    オートロックなのでそのまま帰って全ては完了だ。

    靴を履いて、一度ふりかえる。
    付き合って半年ほどだったが、思い出がちくちくの胸のから攻撃してくる。胸を抑えてどうどう、おちつけ、と言い聞かせて部屋を出た。
    ガチャン、と思い音がして終わりを実感した。もう中には戻れない。

    「みじけーゆめだったな」
    「ナウシカですか」
    「クロトワだよ」

    あはは、と笑ってこの恋はおしまい。
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    _aonof

    PROGRESS猿と見下した相手に恋という意味で心をおられる夏の話。完成。
    「価値があるから殺さないだけ」
    「あのこ、呪われてるんです」
    「呪われてる?」
    新しい相談者の言葉に、真摯に耳を傾けるふりをする。他の信者の伝手を辿りやってきたこの相談者には、金銭と言う意味で価値が見えた。
    新たな利用価値の高い信者を増やすために、面倒でもリアクションは重要だ。相手にとって気持ちいい反応をしてやれば、話はトントンと進む。猿の話はどれもこれも誰かのためと知って結局自分の本心や見栄や保身のためであり、正直反吐が出るが、糧になる相手なら差し引き少しマイナス程度。それくらいの労力は、いずれの呪術師の世界のためなら割いても苦じゃない。
    今回相談に来た白瀬一族は日本でも有数の富豪の一族であり、上手くいけばそれなりの資金を引き出せるだろう。会社経営すら娯楽といっても構わないほどの富を築き、その才能ゆえに富を増やすことこそあれ、衰える気配は今のところ見えない。
    「嘘をつくんです。ありもしないことを、本当のように滔々と」
    相談にやってきたのは、他の信者の紹介を受けた白瀬当主の夫人だ。一人娘が居るとは聞いていた。写真を見せられたが、表情のない写り具合は人形のようだ。何を言い出すか怖くて表に出せないという夫人が言う。ありも 8333