ミラーリング #15-1「大殺戮」 ──助けて!
ああ、またこの夢か。
クー・フーリンは思う。もう何度も見た夢の光景。逃げ惑う群衆。血まみれの大地。燃え上がる城。
──助けて! 助けて!
泣き叫ぶ声に心が張り裂けそうだ。助けてやりたいと、必死で手を伸ばすのに。
──誰か……!
その手は、いつも届かない。
うっすらと目を開いたとき、クー・フーリンはつうっと眦から冷たいものが流れるのを感じた。それをぬぐい、起き上がろうとする。
途端に肉体を貫く痛みに、口からうめき声が漏れた。
「クー!」
ロイグが慌てたように覗き込んできた。目の下にうっすらと隈が影を作っている。
「ロイグ……?」
かすれた声が喉にひっかかり、クー・フーリンは激しく咳き込んだ。
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