Dying Hope安寧の地を求め、黒いローブを身に纏った集団が行く宛もなく彷徨う様子は災厄のはるか昔に文献で見掛けた殉教者のようだと、その先頭をいくエメトセルクは自嘲したが、その表情は動かなかった。
そんな精神的余力すらなかった、という方が正解だった。
降り注いだ流星雨を発端に、アーモロートも、地位も、名誉も、何もかも失い、彼にとって無二の親友であった者達も喪われた。
大地は荒れ果て、星全体のエーテルのバランスも著しく乱れ、ただ歩くだけでもエーテルが身体の外へ流れ出ていく。
終末の災厄で傷付いた者の中には、自然界がエーテルのバランスを戻そうとするその働きに耐える事が出来ず、還ってしまう者までいた。
少しでも心が休まる場所を求めて、彼らは行く宛もなく彷徨っていた。
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