3-3?「燃焼の仕組みっスか?」
野営の中心には石を積み上げて作った簡易的なかまどがある。大半の人員がそれぞれの天幕で身を休めようという頃合いに、ジュンボはそのかまどの前に陣取る夜番のうちの一人に声をかけた。
荒野の砂地の上に、拾った小石で図表を展開するホワイトはすでに聴衆の反応を伺うことをやめている。
かまどの中で鈍く赤熱している熾火を示した。
「炎が上がっているわけでは無いッスけど、これも『燃焼』ッス。無炎燃焼、赤熱燃焼とも言うッス」
先刻まで目を通していた資料らしき紙束から無造作に一枚をめくり、捻って棒状にしたかと思うと手に持ったまま先端を押し当てた。
「この状態の木材は高温で、およそ700℃。紙の発火点は表面状況にもよるッスけど上質紙でも500℃以下なんで……」
言う間に、ぼう、とその先端に火がつく。
「……それ、燃やしていいのか?」
「ヤベッ」