小鳥が猫を見つけてきた。真っ黒で、真っ暗な眼差しをした猫だ。毛並みは野放図で、手足は痩せこけていた。家の敷地のどこかに捨てられていたと言う。
「猫ちゃんですよ、猫ちゃん!」
何が面白いのか、小鳥は金色の羽をばたばたとけたたましく羽ばたかせながら言った。
「何を食べるんでしょうか! どのように鳴くんでしょうか! たのしみです!」
彼女らしい好奇心をむき出しにしてそう言う。
私は猫に話しかけた。
「勘違いをするな」
猫は聞いているのかいないのか、くたびれた調子で首をもたげた。無感情な視線。返答も質問もない。
「貴様は断じて客ではない。私に逆らうことは許さん。肝に銘じておけ」
「……」
猫は黙りこくったまま顔を伏せる。是とも非ともない態度は私を苛立たせたが、小鳥は相変わらず羽をきらきらとさせて、首輪を買いましょうだの寝床を買いましょうとやかましい。