毒にもならない「オビトはさ、リンが自分以外の誰かと幸せになることを決めた時、それでもリンの幸福を願える?好きなままでいられると思う?」
どうしてそんなことを聞いたのか、事のきっかけを今となっては思い出せない。
ただそれを大人相手に聞くのは憚られたから、チームメイトであったオビトに聞いたのだと思う。
その問いかけにオビトは苛立ちに口元を引き攣らせながら、眉根を寄せてオレを見下ろした。
「お前それは暗に、オレの想いが報われねーよって言ってんの?」
「違うよ。純粋な疑問」
当時のオレはオビトに散々言ってたから、ケンカを売ったんだって取られてもおかしくはない。
低い声で問い返してくるオビトに、首を振ってみせると納得も理解もできないようだったが、オビトは険しい表情のまま額当ての上のゴーグルを、コツコツ、と指で叩いた。
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