向日葵と彼岸花診察を終えて自分のデスクに戻る。
誰もいないのをいいことに、キャスター付きの安い椅子に深く凭れて座った。
仰ぎ見た天井。目を焼くような蛍光灯から逃れるように目を閉じる。
思い浮かぶのは、たんぽぽのような柔らかな女の子。
同い年の彼女は刀遣いになることを夢見て、この世界に飛び込んできた。
立派な刀遣いになりたいと言う彼女は、脇目も振らず直向きに研鑽を重ねている。
普通の家庭で育ったのなら、きっとやりたいことも遊びたいことも沢山あるだろう。それなのに、ほとんどの時間を刀遣いになることに費やしているように見える。
真っ直ぐ太陽に向かって背を伸ばす姿に春の夜を想起した。
さして気に留める存在ではなかった。
ここではそんなものありふれている。夢見て天照に来た刀遣い達が、やがて現実に打ちのめされて諦念の笑みを浮かべるようになる。
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