これまでのこと、これからのこと。 最後の夜はあっけないものだった。
明日にはビリーが郊外を出てしまうというのに、ライトはベッドに座ってふらふらと上体を揺らしている機械人を前に何もできずにいた。
目尻が溶けるように垂れたアイライトの光は弱々しく明滅して、ともすれば今にも消えてしまいそうだ。機械人もニトロフューエルで酔うのか、それともバーニス特製だからなのかはわからないが。
今日は都会へと発つビリーの壮行会だと昼からどんちゃん騒ぎで、とっぷりと陽が落ちてからようやく静かになった。飲み潰れた面々には毛布をかけてやり、かろうじて意識があるらしいビリーは引きずって何とか部屋に押し込んだ。全身金属とあってなかなかの重労働だ。
「大将たちが潰れてるってのに、チャンピオンまで使い物にならなくなるのはどうなんだ?」
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