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    choco310ER

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    ビリイト1week企画
    お題①: いっぱい食べる君が好き
    お題②: あんた/お前には分からない

    「……あんま見られてると食いづらいんすけど」
     カリュドーンに来たばかりのライトにむすりとした唇でそう言われたことがある。
     火力制圧用高知能戦術素体たるビリーは食事を必要としない。ゆえに人間の食事という行為に興味があった。自分にはない「口腔」という器官がどのように使われ、どのように動くのか興味があったのだ。とはいえ、うら若き乙女たちの食事を不躾に観察するのもよろしくないと理解できるだけの情緒はあった。その点あちこち忙しく飛び回っているビッグダディがどこからか連れ帰ってきたライトはちょうどよい観察対象となったのである。

     ハンバーガーを食べるために大きく開く口、そこから見える歯は動物ほど鋭くもないというのにきちんと食べ物を噛みちぎることができるのが不思議だ。口内にたっぷりと含んだものを咀嚼するためにもぐもぐ動く頬の膨らみは可愛らしいし、ハンバーガーに残された歯型などいっそ愛しくすらある。嚥下するときのわかりやすい喉の動きも、そのあと体内をどう巡っていくのかを想像するのも楽しい。唇についたソースをぺろりと舐め取る動作はビリーのお気に入りだった。
     当初はビリーの観察に不快感さえ滲ませていたライトもすっかり慣れてしまったのか、ポテトを差し出せば遠慮なく食いつくほどには馴染んだものだ。観察の楽しみだけでなく餌付けの楽しみまで味わえるとあれば一日に三回では到底足りない。そうしてビリーは自分が摂取するわけでもない菓子やら何やらを買っては頻繁にライトに与えて観察を続けた。

     ビリーが古巣を離れてしばらくしてからだろうか、たまに会う程度になったライトは観察中のふとした瞬間に気まずそうに目を伏せることが増えた。
    「ここのクロワッサンが美味いらしくてな、すげえ並ぶんだぜ。スターライトナイトのグッズほどじゃねえけどよ」
    「また食わないのに買ってきて。まあ、ありがたくいただきますけど」
     ぶっきらぼうにそう言いながら人気のパン屋のクロワッサンを頬張るライトの頬を眺めてビリーは相好を崩す。クロワッサンは噛むごとにサクサクと割れ落ちる生地が人間には食べづらいようで、唇に纏わりついた屑を何度も舐め取っている。
    「……あんま見られてると食いづらいんすけど」
     ライトが指についた屑を舐めながらあの頃と同じ文句を、あの頃とはまったく違う表情でぽつりとこぼした。
    「あんた自分じゃ分からないかもしれませんがね、最近の俺を見る表情、結構アレですよ」
     にやりとしながらも直接的な表現を避けて濁した言葉の意味はいかに。きょとんとしているとビリーにだけ聞こえるようにこっそりと囁かれる。
    「――俺のこといじめたくてたまんねえって感じのエロい顔してます」
     今にも食われちまいそう。ライトの濡れた舌が挑発の意志を持って唇の上をすべった。
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    choco310ER

    DONEビリイト1week企画
    お題①: いっぱい食べる君が好き
    お題②: あんた/お前には分からない
    「……あんま見られてると食いづらいんすけど」
     カリュドーンに来たばかりのライトにむすりとした唇でそう言われたことがある。
     火力制圧用高知能戦術素体たるビリーは食事を必要としない。ゆえに人間の食事という行為に興味があった。自分にはない「口腔」という器官がどのように使われ、どのように動くのか興味があったのだ。とはいえ、うら若き乙女たちの食事を不躾に観察するのもよろしくないと理解できるだけの情緒はあった。その点あちこち忙しく飛び回っているビッグダディがどこからか連れ帰ってきたライトはちょうどよい観察対象となったのである。

     ハンバーガーを食べるために大きく開く口、そこから見える歯は動物ほど鋭くもないというのにきちんと食べ物を噛みちぎることができるのが不思議だ。口内にたっぷりと含んだものを咀嚼するためにもぐもぐ動く頬の膨らみは可愛らしいし、ハンバーガーに残された歯型などいっそ愛しくすらある。嚥下するときのわかりやすい喉の動きも、そのあと体内をどう巡っていくのかを想像するのも楽しい。唇についたソースをぺろりと舐め取る動作はビリーのお気に入りだった。
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    choco310ER

    DONEビリイトワンウィーク企画
    イケナイコトをしよう
    イケナイコトのはずがない「パ・イ・セン♡ イケナイコトしません?」
     ビリーが娘たちの手入れを終わらせたタイミングで背中に体温の高い体が張り付いてきた。遠慮なく体重をかけてくる、こちらが倒れることなどないとわかりきった甘え方。
     ライトからの誘い文句はいつもこうだ。愛娘の次は自分を構えとばかりにわざと色を乗せた吐息混じりの囁きを吹き込んでくる。これにはビリーのコアもギュルギュルと空回りしそうなほどに跳ね上がる。生意気な後輩と可愛い恋人を兼ねるライトのその誘い方に不満があるわけではもちろんない。ないのだが。
    「前から思ってたんだけどよお、お前にとって俺とすんのはイケナイコトなわけ?」
     後ろからビリーの肩に顔を埋めているライトの髪をわしゃわしゃとかき混ぜた。風呂上がりでまだ少し水気を含んでいる。顔を上げたライトと視線が交わり、どちらからともなくキス──といっても人間でいうところの口がある部分を優しく押し付けるだけなのだが──をしそうになってはっとする。ライトの唇に人差し指を押し当てて止めると、むぅ、と下唇が突き出された。したいのは山々だがまだダメだ。
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