アキイト新年を迎えて数日経ったある日の夜、アキラのスマホがピコンと光る。ノックノックからの通知だった。
『明日はあいているか』
用件の記載がないメッセージはライトからのもの。
年末年始に合わせた休業日も終わり、ビデオ屋の営業を再開した頃合いだった。ゆったりと家族でビデオを見る時間があった年末年始はあっという間に終わりを告げ、世間は仕事始めだ初売りだと慌ただしいながらも日常に戻りつつある。大型連休直後は店の在庫が一年で一番少ない時期だ。店は開いているけれど、もしライトにお目当てのビデオがあるのなら運悪く借りられているかもしれない。彼のためならば営業を終えて暖房も落とした一階で寒さに震えながら在庫を確認することだって毛ほどの苦労でもない。自身の体温でぬくもったベッドから起き上がり、希望の映画があるなら探しておくよと入力している途中で再び通知音を伴いライトからのメッセージが入る。
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