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    choco310ER

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    choco310ER

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    台くんだって初めての恋にバカみたいになっちゃってもいい

    おっぱいの日にならなかったなんだか今日はすごくウルフウッドからの視線を感じる。
    ほら、また。僕がウルフウッドを視界から外すたび、じとりと湿度の高い視線を投げかけてくる。恥ずかしくてつい気付かないふりをしてしまったけれど、好きな人にこんなに見つめられたらどうにかなってしまいそうだ。
    「なあ」
    「っな、なに!?」
    わ、わ、声がひっくり返っちゃった。どうしよう、変に思われちゃう。
    「おどれちょっと、コート脱いでみ?」
    「えっ!?」
    ちょっと待って、僕たちまだそんな関係じゃないのに脱げだなんて。確かに宿に泊まれるのは久々だし、車の中で寝るのと違ってふたりきりだけど!
    焦っている僕のコートに、煙の匂いが染み付いたウルフウッドの指がかかる。
    待って、待って、ウルフウッドに脱がされちゃうなんてそんな、僕どうされちゃうの、もしこのままベッドに押し倒されでもしたら、そんな、心の準備もできてないのにっ……!
    トレードマークの赤いコートを奪われて、あまりの心許なさに思わず体を縮こめる。少しでもウルフウッドとの間に盾がほしくて、注がれる視線を遮るように体の前で腕をうろつかせた。
    「なに赤なっとんねん。隠すなや」
    「や、うるふうっど……!」
    黒いスーツに包まれた腕がしなやかに伸びる。
    胸を、触られるかと思った。
    「あっ」
    思わず固まった腕は常人ならざる力によってあっさりと割り開かれ、ウルフウッドと僕を隔てるものはぴちりと肌に張り付く黒いシャツ一枚。腕を掴まれて、きっと僕がひとりで体を熱くしているのが伝わってしまったに違いない。うるさいほどにばくばくと跳ねている心臓の動きが服の上からでさえわかってしまいそう。
    どんな目で、見られているのだろうか。
    どんなふうに、見えているのだろうか。
    それなりに鍛えてはいる。だらしない体をしているつもりはなかった。それでも見せたことのない服の下の傷まで見透かされているような気がして。
    ますます顔を赤くして俯いた先ではやはり心臓が大暴れしている。
    「双子いうても似てへんもんやな」
    感心するように呟かれたその言葉は不思議と優しい音で僕の胸に染み込んだ。
    僕とナイは双子だから瓜二つ。そう思っていたのにウルフウッドは似てないと言ってくれる。僕を僕として見てくれているんだ。うるさかった心臓が今度はきゅうんと締め付けられるように切なく鳴いた。
    だというのに。
    「兄ちゃんの方がよっぽどええカラダしとる」
    ガン、と頭を殴られた気がした。心臓はぴたりと鼓動を止めたのかと思うほど静かになり、熱かった体が末端まで冷えていくのがわかる。
    「あのカラダかっこええよな、胸板なんかごっつ分厚くて。どないなトレーニングしとんのやろ」
    「ぅ、う……ウルフウッドのばか!!」

    次の日から僕は日課のトレーニングを倍に増やした。主に胸筋のトレーニングを。
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    choco310ER

    DONEビリイト1week企画
    お題①: いっぱい食べる君が好き
    お題②: あんた/お前には分からない
    「……あんま見られてると食いづらいんすけど」
     カリュドーンに来たばかりのライトにむすりとした唇でそう言われたことがある。
     火力制圧用高知能戦術素体たるビリーは食事を必要としない。ゆえに人間の食事という行為に興味があった。自分にはない「口腔」という器官がどのように使われ、どのように動くのか興味があったのだ。とはいえ、うら若き乙女たちの食事を不躾に観察するのもよろしくないと理解できるだけの情緒はあった。その点あちこち忙しく飛び回っているビッグダディがどこからか連れ帰ってきたライトはちょうどよい観察対象となったのである。

     ハンバーガーを食べるために大きく開く口、そこから見える歯は動物ほど鋭くもないというのにきちんと食べ物を噛みちぎることができるのが不思議だ。口内にたっぷりと含んだものを咀嚼するためにもぐもぐ動く頬の膨らみは可愛らしいし、ハンバーガーに残された歯型などいっそ愛しくすらある。嚥下するときのわかりやすい喉の動きも、そのあと体内をどう巡っていくのかを想像するのも楽しい。唇についたソースをぺろりと舐め取る動作はビリーのお気に入りだった。
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    choco310ER

    DONEビリイトワンウィーク企画
    イケナイコトをしよう
    イケナイコトのはずがない「パ・イ・セン♡ イケナイコトしません?」
     ビリーが娘たちの手入れを終わらせたタイミングで背中に体温の高い体が張り付いてきた。遠慮なく体重をかけてくる、こちらが倒れることなどないとわかりきった甘え方。
     ライトからの誘い文句はいつもこうだ。愛娘の次は自分を構えとばかりにわざと色を乗せた吐息混じりの囁きを吹き込んでくる。これにはビリーのコアもギュルギュルと空回りしそうなほどに跳ね上がる。生意気な後輩と可愛い恋人を兼ねるライトのその誘い方に不満があるわけではもちろんない。ないのだが。
    「前から思ってたんだけどよお、お前にとって俺とすんのはイケナイコトなわけ?」
     後ろからビリーの肩に顔を埋めているライトの髪をわしゃわしゃとかき混ぜた。風呂上がりでまだ少し水気を含んでいる。顔を上げたライトと視線が交わり、どちらからともなくキス──といっても人間でいうところの口がある部分を優しく押し付けるだけなのだが──をしそうになってはっとする。ライトの唇に人差し指を押し当てて止めると、むぅ、と下唇が突き出された。したいのは山々だがまだダメだ。
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