心の監獄 地下牢に水滴の垂れる音がした。
ひんやりと冷たい空気が流れ込む。此処に閉じめられて、何日経ったのだろう。今が昼か夜かも分からない。
離れた牢で幼い子どもの泣く声が聞こえる。姿は見えないけれど、その牢には兄弟で入っているようで、弟がよく泣いているのだ。幾つあるともわからない部屋から伝染するように子どもの啜り泣きが響いてくる。
「大丈夫、大丈夫だよ。きっと助けが来るから」
希望を信じて明るい声を出して励ます。子どもたちを落ち着かせるようにと子守唄を歌っていると、啜り泣いていた子供の声はいつの間にか寝息に変わっていた。
「おい。喧しゅうて眠れへんわ」
隣の牢屋から声がした。昨日までは空き部屋だったはずだ。私が寝ている間に幽閉されたのだろう。
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