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    たまごやき@推し活

    アンぐだ♀と童話作家アンデルセンのこと考える推し活アカウント

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    現パロアンぐだ♀

    2020.11

    ##FGO
    ##アンぐだ
    ##現パロ
    ##同棲
    ##成長童話作家

    彼と彼女の新しい日課 早起きができないのは夜遅くまで起きているのが原因だ。そもそも早く眠れないのは体内時計が狂っているからだ。

     自分の部屋に自分以外の人間がずっといることには未だに慣れない。まだどこか遠慮がちな彼女は今日も相変わらずほとんど寝返りも打たずにベッドの半分に綺麗に収まっていた。
     朧げに耳に入ったアラームの音はすぐに消え、彼女は物音もろくに立てずに離れていく。それでも一瞬、布団に入る冷え切った空気で意識が浮上しかける。
     今起きれば、きっと焼きたてのトーストが食べられる。俺が朝起きないからあまり減っていないイチゴジャムをこれでもかと塗りたくったトーストが出てくるはずだ。だが今は糖分よりも睡眠だと身体が訴えるものだから仕方ない。

     そうやって眠気に制圧されている間にいつの間にか彼女は朝食を済ませて、この寝室の扉を開ける。「行ってきます」と小さく俺に声をかけ、そのまま家を出ていく。眠気に苦しみながら、俺は日課をこなすためにようやく布団から出る準備をするのだ。

     重い身体を引きずって寝室を出る。窓を開けてサンダルを履いて、ベランダに立つ。ーーそこから見える彼女の姿。
     起きるのに苦戦したせいでそれはもう豆粒のように小さくなって、朧げだ。ああ、まだ眼鏡をかけていなかったな。今日どんな服を着ているか知らないが、それでも彼女の明るい髪色を、俺が見紛うわけがない。長い一本道を歩いた後、やがて曲がり角を曲がって彼女の姿が見えなくなる。
     そうして今日の『日課』をこなして、また温かな布団の中へと逆戻り。昼まで惰眠を貪って、ようやく活動を始める。

     彼女と共に暮らしてからも俺の生活は大して変わらない。ほんのわずかの『日課』が増えた、それだけだった。


     恋人と、同棲を始めた。
     お客さんとしてたくさん招かれたこの部屋が、自分の帰る家になった。正直、まだ慣れていない。キッチンも、居間も、あるいは寝室も……暮らす前から過ごしたことのある空間なのに、まだ自分の家という感覚がない。『彼の』家だと思ってしまう。

     今日も寝起きが悪い彼の隣で素早くアラームを止めて、ひっそりとベッドを離れる。アラームはとびきりの大音量なのに全然起きない彼は相変わらず、寝顔はものすごく穏やかだ。
     キッチンに立って食パンを焼いて、目玉焼きを作る。……彼はまだ起きてこない。同棲して初めての朝に張り切って朝ごはんを作ったけれど彼はどうやってもベッドから出てこなかったのでそれから一人分しか作っていない。

     同棲ってもっと、何というか、一緒に朝ご飯を食べたり、おはようと言い合ったり、そういうものじゃないのだろうか。思ってたのと違う……!

     寝室のドアを開けて「行ってきます」と声をかけてから家を出る。それはこの家に暮らしてから『日課』になったことだった。やっぱり彼は起きない。きっと昼まで眠って、それから仕事を始めるのだろう。まったくもう、そんなことしてるから早寝ができなくて、朝起きられないのに!

     エレベーターで玄関に降りて、駅を目指す。あの曲がり角を曲がる前、ほんの一瞬。最近わたしの新しい『日課』が増えた。
     この間、あの曲がり角を曲がる直前でふと何となく気になって横目でマンションの方を見た時。どう考えても私達の部屋だと思う、そのベランダに人がいるのが見えたのだ。
     ベランダの柵の隙間から見える黒いパジャマ。遠くからでもわかる青い髪。その時点で誰だかはっきり分かる。青い髪は珍しいのだから。
     角を曲がる瞬間にその人影に気がついて、曲がりきった道を逆戻りした。……すでに人影はマンションの中へ戻ろうとしていて、こちらを向いていなかった。もしかして、もしかすると。いつもわたしが見えなくなるまで見送ってくれてたりして。念のため、下から階を数えて、横から部屋の位置を数えていく。どう考えてもあの場所は、やっぱりわたし達の部屋だ。

     それから数日、彼は毎日ベランダに立っていて、それからこっそり角を曲がってからマンションを見に戻ってみると、やっぱり後ろ姿を見せるのだ。

     今日も曲がり角を曲がる直前、わたし達のマンションをこっそりと見上げる。青い髪と黒いパジャマが見えたところで、わたしは角を曲がりきる。……本当は道を逆戻りして、部屋の中に戻る彼を見送りたい。でも毎日そんなことをしたら近所の人に怪しまれるかもしれないので、ぐっとこらえてわたしはそのまま駅へ向かう。

     欲張りなわたしは、どうせ見送ってくれるのならもう少し早く起きてもらって彼と一緒に朝ごはんが食べたい。もちろん、今こっそりと見送ってれるのも捨て難いのだけど。

     それを『日課』にするためにはもう少し生活のリズムを整えなきゃ難しい。まずは早く寝ることから始めなければ。新しく加えたいわたし達の『日課』を計画しながら、駅のホームで電車を待つ。

     彼と暮らすことで私の生活は大きく変わった。ただ、毎日の生活の『日課』が増えていくのが、わたしはとても嬉しかった。
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