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    途中まで書いてたジュン誕生日(間に合わなかったやつ)加筆修正しました。
    よくわからんけどジュンは多分凪砂が好きです

    #ジュン凪
    juneCalm

    その日誕生日は死んだ予定前に動くことは、嫌いではない。

    今日はコズミックプロダクション事務所にて、ジュンの誕生日パーティが執り行われるという通達を一週間前に貰った凪砂は、プレゼントを抱えて事務所に向かっていた。先日の日和の誕生日の時になにを渡すべきか苦悩していた凪砂は、様々な人に教えを乞いた。プレゼント、というものは相手を思って選んだものを渡すのがいいとアドバイスを受け、それにならってプレゼントを選んだ。

    日和はとても喜んでくれた。

    その喜びは凪砂に帰ってきて、綻ぶような温もりを与えてくれる。甘美な温もりは、今でも凪砂の記憶にこびりついていた。

    ジュンにも、日頃の感謝を。
    そして、プレゼントを渡したい。考えたら、凪砂の行動は早かった。

    仕事のスケジュール上の定刻になれば寮に茨が訪れることはわかっていて、先に出てきたのだ。

    真ん中に鎮座するケーキの前に、今日の主役は心ここに在らずといった感じで腰掛けていた。
    落ち着かないように体を揺らし、その動きに合わせて椅子が軋む。締め付けられるようなその音は、ジュンの今の心境を表しているかのようだ。

    エレベーターの音を聞いたのか、ゆっくりとジュンが凪砂を捕らえる。
    くるり、と金の瞳が瞬いた。
    ぴかりと輝くそれはまるで一等星のような輝きだった。

    「ナギ先輩、おはようございます」
    「お誕生日おめでとう、ジュン」

    綺麗にラッピングされた箱を、挨拶より前に差し出した。ジュンはその箱と凪砂を交互に見ている。心ここに在らずはそのままで、ぽかんという表現が似合う。

    「ありがとう、ございます」
    絞り出したような答えはなんだか奇妙な音を含ませていて、凪砂は少し首を傾けた。

    「…?ジュン、どうかした?」
    「あー…えっと、」

    率直な疑問であったが、ジュンにとってこの奇妙さは言語化に難しいものだったようだ。
    ええと、という言葉の先が掴めずに困っているジュンに、凪砂は先に言葉を放った。

    「大丈夫。頭の中で、整理して。私、待ってるから」

    待つことに苦痛を感じない凪砂は、ジュンの言葉の取っ掛かりが見つかるまで待つ。視線は、外した方がいいだろう。じっとみられることは、あまり人間は好ましいと感じないらしいから。

    「小さい頃、なんすけどね。オレの誕生日とあるアイドルのアルバム発売日が被ったことがあって。その日から、去年くらいまで親父の頭の中からすっぽりオレの誕生日が抜け落ちちまってて」

    椅子が、きし、きし、となり始めた。

    「先週、誕生日もうすぐだっていわれて、そういえばな、って思い出したんですけどね、やっぱり先にでてくるのはCDの発売日、ですねぇ」

    違う。
    その音は、ジュンからこぼれ落ちた音だ。

    「お袋は祝ってくれたんですけどね、親父は悪気もなく忘れてるもんだから、ちぐはぐなまんまで」

    軋む音から溢れる心の叫びを、凪砂はゆっくりと拾い上げる。誰もいない祝いの席で言う話でもないだろう。でもこの軋みは、心から祝われるため、今凪砂の前に現れたのかもしれない。軋む音を一つ一つ、凪砂はそっと握った。

    「こうやって祝われるのって、なんだか変な感じですね」

    内緒ですよ、というジュンの眉が垂れ下がり、困っているような表情を浮かべていた。

    「日和くんにも内緒なの?」
    「あの人、そういうこと聞くとすげえ不機嫌になる上、めんどくさくなるでしょう。ナギ先輩なら、誰にも言わねえかな、と思って」
    「うん、ジュンが望むなら、言わないよ」
    「私もね、誕生日、という概念はよくわからないけど」

    軋みを解いて、愛しさを抱こう。だって、ジュンは愛されるべき存在なのだから。

    「来年、EdenでCDをだそうね。発売日は、今日がいいな」

    その発売日を、塗り替えて仕舞えばいい。
    大方そのアイドルは「佐賀美陣」であろうし、去年執り行われたのSagaプロジェクトにて、ジュンの確執はなくなったとは言っても、過去までは無くならない。苦悩も、苦痛も、無くならない。
    無くならないのであれば、それ以上の何かを与えてあげればいい。凪砂個人には、ジュンに与えることは何もできない。なにせ、凪砂はアイドルという武器以外になにも持っていない。しかし、Edenという楽園は、ジュンにさまざまな幸せを与えることができるはずだ。

    「…ありがとうございます、ナギ先輩」
    「私は何もしてない。きっと、ジュンの考え方が少し変わったのだと思う。だから、えらいのはジュンだね」

    凪砂の言葉に、あー、とジュンはゆっくりと目を逸らした。軋みはもうない。爛々と輝く瞳には、溌剌とした力があった。

    「あー…もう…そういうとこっすよぉ、ナギ先輩……と、プレゼント、ありがとうございます。開けてもいいですか?」

    うん、という凪砂の声と、ジュンくん!と大きな声でジュンを呼ぶ日和の声が重なった。
    入り口で、日和がジュンを呼び、ぶんぶんと手を振っている。何か用事があるのだろう。なにせ、ジュンは今日の誕生日パーティの主役なのだから。

    「あ、日和くんが呼んでるよ、プレゼントは、後で見て」
    「ええ、今見ますよぉ……おひいさんうるせえっすよ!もう少し待っててください!」
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