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    sigureno_3

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    仮面ライダーローズル二次創作

    助けられた誰か視点のあったかもしれないひとひらの行間

    拝啓、ヒーロー!「俺のこと、楽しませてね…? 変身!」

    目の前には、空想上の天馬を想起するバケモノ。その非現実的な光景とうらはらに訪う確かな死。それを吹き飛ばしたのは鮮烈な雷光と軽やかな緑風だった。
    「だいじょーぶ? おねーさん」
    「ローズル、あっちにまだ敵だ!」
    「りょーかい! そんなわけだから今のうちに早く逃げちゃった方がいいよ」
    目を白黒させているうちに、緑色の仮面とスーツを纏ったひとは言う。
    あらしのようなひとたちと、襲ってきたばけものが消えて、ぼうっとしたまま家に帰り、そこでようやく自分が九死に一生を得たことを実感したのだった。
    あれは確か、夏の終わりのことだった。そうして季節はうつろって、再び燦々とした陽光と共に暑い夏が来た。
    バケモノがクラフトという名前であり、それと闘う人々を仮面ライダーという。
    それを知ったのも、最近のことなのだけれど。
    私はあの日、その仮面ライダーのふたりに助けられた。
    いつからか、度々現れては人を害していたクラフトはとんと見かけなくなって、敵がいないのだからそれと闘う色とりどりのライダーの姿も見なくなった。それは平和のあかしで、きっと陰に日向に闘ってきた彼らの奮闘の証明だったからよいことではあるのだろう。それでもあの雷電をそのまま落とし込んだような戦士と、そして軽やかな風のような。――仮面ライダーローズルの勇姿を目にする機会がなくなったことを残念に思う気持ちもあった。
    けれどそれは己の身勝手な悔恨だったから、やはりそれでいいのだと納得させていた。
    そんな夏の日。永遠とも思える蝉時雨のなか。何人かの男性の集団。その中のひとり、青年が少し歳上の男性に頭を撫でられている、そんななんてことはない風景。だからなんてことはなく通り過ぎるはずだった。

    「ちゃんと帰る目標くらいは、見失わないようにする」
    「それでよし!」

    それは、忘れようもない。
    記憶とは違って随分穏やかだったけれど、確かにあの日私を助けてくれた声音だった。
    振り返ってももういない。
    「あのとき助けてくれて、ありがとう」
    自己満足でしかない感謝の言葉。それはもちろん、いつか直接届けばいい、届けようと思うのだけれど。
    彼らもあの夏から日々が続いているのだと、それだけで胸がいっぱいになって。
    スキップする心地で、帰路についた。
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    ju__mati

    DOODLE七七五のけんと時空の呪専七五01
    ※支部の七七五3Pのけんとが自分時空に戻ったあとの呪専七五の話。短い。
    七海建人は、授業を終えて高専の廊下を歩いていた。灰原は見たいテレビがあると言って先に寮に戻っており、七海は図書室で調べ物をしていた。さすがに腹が減ってそろそろ下校するつもりだったが、横の廊下から歩いてきた人物を見て、足を止めた。向こうも七海に気づいて、「あ」と立ち止まる。
    五条悟だった。すらりとした長身を高専の制服に包み、丸眼鏡をかけた姿にほんの少し違和感を覚える。「こんにちは」と挨拶すると、「ん」と返事がある。どこかぎこちない、と思った。

    昨晩、七海はおかしな夢を見た。やたらリアルで、音も色も匂いもあって、現実としか思えないような夢。その中で、七海は11年後の自分と、11年後の五条に会った。28歳だという五条は恐ろしいほどに外見が変わっていなくて、それでも大人らしい穏やかさと柔らかさを身につけていた。その彼と、セックスをした。

    「ひとり?」

    と、目の前の五条が言った。「はい。ちょっと調べ物をしていたので」と言うと、「ふぅん」と、聞いてきたくせに気のない反応だった。しかし、立ち去るかと思った五条は片手をポケットに突っ込んだまま、七海の方をチラッと見た。
    七海は、この五条に、キスさ 2445