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    ju__mati

    呪の七五置き場。書きかけの長編とか短編とか。
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    POIPOI 19

    ju__mati

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    七七五のけんと時空の呪専七五01
    ※支部の七七五3Pのけんとが自分時空に戻ったあとの呪専七五の話。短い。

    #七五
    seventy-five

    七海建人は、授業を終えて高専の廊下を歩いていた。灰原は見たいテレビがあると言って先に寮に戻っており、七海は図書室で調べ物をしていた。さすがに腹が減ってそろそろ下校するつもりだったが、横の廊下から歩いてきた人物を見て、足を止めた。向こうも七海に気づいて、「あ」と立ち止まる。
    五条悟だった。すらりとした長身を高専の制服に包み、丸眼鏡をかけた姿にほんの少し違和感を覚える。「こんにちは」と挨拶すると、「ん」と返事がある。どこかぎこちない、と思った。

    昨晩、七海はおかしな夢を見た。やたらリアルで、音も色も匂いもあって、現実としか思えないような夢。その中で、七海は11年後の自分と、11年後の五条に会った。28歳だという五条は恐ろしいほどに外見が変わっていなくて、それでも大人らしい穏やかさと柔らかさを身につけていた。その彼と、セックスをした。

    「ひとり?」

    と、目の前の五条が言った。「はい。ちょっと調べ物をしていたので」と言うと、「ふぅん」と、聞いてきたくせに気のない反応だった。しかし、立ち去るかと思った五条は片手をポケットに突っ込んだまま、七海の方をチラッと見た。
    七海は、この五条に、キスされたことを思い出した。正確にいえば、思い出したという表現は少し違う。数日前の夜に七海の部屋に来て、突然キスをされてから、ずっと記憶の片隅を占拠されていた。押しつけるだけのつたないキスをして、『これで分かったかよ』と上ずった声で呟いて、後ろ姿のうなじを真っ赤に染めて出て行った五条のことが、ずっと気になって仕方なかった。

    「あの、ちょっとだけ、いいですか」

    と言って、七海は、出てきたばかりの図書室に誘った。生徒数の少ない高専の図書室に司書などおらず、ある程度遅くなれば自分で鍵を掛けて担当教師に返す仕組みになっている。
    夕方の図書室は薄暗く、窓辺の床にだけ、入り日が明るい光を落としていた。独特の、埃っぽい匂いがした。
    五条はおとなしくついてきてくれた。奥に進めば椅子もテーブルもあるがそこまでもたず、入ってすぐのカウンターと掲示板に挟まれた場所で足を止め、振り返った。目が合うと、五条は少し驚いた顔をして、両手をポケットに突っ込んで、視線を逸らしてしまった。

    「……なに?」

    七海は、五条と話をしようと思っていた。”夢”の中の五条にもそう言った。そうしな、と笑って頭を撫でてくれた彼のことを思い出し、目の前の五条を見つめた。
    11年後の自分は年相応にふけて顔つきは大人っぽく、体つきも逞しくなっていたが、五条はあまり変わらないように思っていた。しかしこうして”現実”の五条と向き合えば、やはり今の方が体が薄く、頬は若干丸みを帯びているような気がした。そのくせ目つきはきつくて、けれどよく笑って、怒って、全力でふざけて、後輩に対する無茶ぶりが酷くて、横暴で、ほんの時々やさしくて、きれいで、自分からキスしてきたくせに真っ赤になって逃げてしまって、かわいい。
    五条を見ているうちに、心臓がドキドキして、頬が熱くなってきた。手のひらはじっとりと汗をかいている。一度そらされた目が、言葉を促すようにチラッと七海に向けられて、ずれたサングラスの隙間から見えるきれいな青色にまたドキッとして、七海は口を開いた。

    「あの、この間の夜のことですけど、」
    「……ん、」
    「どうして、あんなことをしたんですか」
    「は?」
    「いきなりキスとか、ふざけてるだけなら、いえ、その、なんで、五条さんが、私に、」
    「ハァ?」

    話すうちに何が言いたいのか分からなくなって、バラバラになってしまった七海の言葉に、五条は棘のある声で応えた。ハッと視線をあげると、五条は、怒ったような、傷ついた子供のような顔でそこにいた。

    「なんだよそれ……オマエこそふざけてんの?」

    間違った、と思った。しかし何を間違ったのか、どう言い直せばいいのか、咄嗟には答えが出せず立ち尽くす間に、五条はほんの少しかなしそうに眉尻を下げて、また怒ったふうに唇を歪めた。

    「……もういい。そんな話ならしたくねぇし」

    踵を返しかける五条の手を、何も考えず捕まえた。大きな水色の目がハッと七海を見たのが視界の端に映った。七海は、ただ夢中で、左右の腕を掴んで五条の長身を壁に押し付け、背伸びをして、唇を重ねた。背後の掲示板にぶつかって、ごつ、と鈍い音がした。

    「んっ……」

    五条の唇はやわらかく、なめらかだった。さっき掴んだ手首の内側も肌がすべすべとしていて、ただ同性の皮膚に触れただけでは感じるはずのない性的な衝動を煽られた。七海は、もっと感触を味わおうと唇を押し付けて、食んだ。五条の唇の端から真ん中までを少し突き出した舌で舐めて、やわらかいところを探して、吸った。手のひらの下で、五条の体がビクンと小さく揺れた。濡らした唇は、くっつけただけで、ちゅ、ちゅ、と音が鳴った。合わせた唇の間から、ん、ふっ、と、五条の吐息が漏れて、それに誘われるように舌を挿し入れた。途端、痛みが走った。ドン、と肩口を突き飛ばされた。

    「おま、オマエ……ッ、」

    五条は声をうわずらせ、何か言おうとして口を開いたがそれ以上は言葉にならず、パッと七海から顔を背けて、慌てたように図書室を出て行った。
    しん、と広がった静寂の中で、噛まれたのだ、と、やっと気づいた。出て行く直前、突き飛ばされた七海を見る五条の顔は、かわいそうなくらいに焦って、驚いて、真っ赤だった。悪いことをした、と思う反面、腰のあたりからじわじわと熱が広がってゆくのを感じた。
    七海は股間の熱をごまかすようにその場にしゃがみこみ、両手で覆った中で、「なんだよアレ……」と呟いた。なんだあれ。あんなの反則だろう。
    とてつもなく、かわいかった。





    <謎時空で見守っている大人七五>
    「あーあ、いきなり舌入れんのはさすがにアウトだろ」
    「教えたのはアナタでは?」






    つづく?
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