いつか書きたいドルパロキスディノ 大切な存在は失ってから気付く。失い続けていた人生を送る身からすると「何を今更」と一蹴していた言葉は、実際に身に降りかかってようやくその重みを知る。
肩を並べて学生時代を過していた友人は、野球観戦のために都会へ遊びに行った際に芸能事務所にスカウトされた。好奇心を刺激され、挑戦してみたい、と単身で上京してからはよく連絡があった。その回数が次第に減っていくと比例するようにテレビや動画配信サイトのコマーシャルで見る回数が増えていく。画面の中で仲間たちと汗をかきながら楽しそうに歌って踊る友人──ディノ・アルバーニはもうオレが知っている存在では無い。手の届かない場所に行ってしまった存在によって空けられた心の穴の大きさにようやく「あぁ、コイツのこと好きだったんだな」と思い知らされた。
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