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    むくらーるちん

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    むくらーるちん

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    ちょぎぶし。雨を待つ


    また長い。

    毎週水曜日になると山姥切長義は自本丸の日用品の買い出しに万屋へと足を運ぶ、本来買い出し係は交代制で行なっていたがいつからか山姥切が自分が行くと頑な態度を取るため自然と買い出しは山姥切の役目となった。きっと万屋にとびきりの可愛い子がいて山姥切はその子にゾッコンなのだろうと皆口々に冗談半分の酒の肴にしていたが事実その通りで山姥切は懸想をしている相手に会いたい一心でせっせと万屋に通っているのだ。

    しかし山姥切の片思いの相手は彼等が語る万屋の愛らしい看板娘でも息を呑むような美人の女審神者でもなく屈強な精神と肉体を持った山伏国広であった。


    以前から万屋で買い物をする際、遠くからよく顔を見かけてはいたが特に近づいたり話しかけたりはしなかった。率直に言うと山伏に興味が無かったのだ。そんな山姥切が恋に落ちたのはある雨の日の事である。


    山姥切は軒下で雨の勢いが弱まるのを待っていた。すると山伏も傘が無いため同じように雨宿りを始めた。山姥切は山伏国広をこんな至近距離で見る事が無かったためマジマジと見つめてしまった。手の大きさやら筋肉で引き締まった尻やら少しあどけなさの残る可愛らしい顔…一つ一つが山姥切の心に刻まれていく……そして


    『…山伏国広がこのような惚れ惚れとする素晴らしい男だったとは……知らなかった……』


    完全に落ちた。ただ最初は会話すらも無かったため、山姥切のソレは少女がアイドルに向ける感情とそう大差は無かった。彼の顔を見れれば心が舞い上がる。それだけで満足する日々が続いた。


    だが山姥切の想いが純粋な憧れから恋に変わる転機が訪れる。


    また雨の日だ。山伏と山姥切が隣に並んで雨が止むのを待っていた…すると、


    「山姥切殿、今日はなかなか止まぬな…」

    と山伏が山姥切に語りかけた。憧れの刀から話しかけられた山姥切はドギマギして動きも返事もぎこちなくなる。

    「あ…あぁ、そうだね。ちゅゆだから…し…仕方ないよ。」


    噛んだり目が泳いだり散々たる結果だ。

    それを見た山伏は申し訳なさそうに

    「すまぬ、よくお見かけするあまり、勝手に親近感を持って話しかけてしまった。」

    と謝った。


    山伏は悪くない、山姥切は不格好ながら持てる全ての力を使い山伏に対して自分も良い感情を抱いている事を必死に伝えた。

    それをきいた山伏はニッカと笑い、山姥切と山伏は無事に「挨拶をする友人」の関係へと進んだ。



    晴れの日は買い物中に挨拶と簡単な会話をして別れるだけだが雨の日になると二振は雨が止むまで軒下で語り合った。お互いの本丸の事、好きな食べ物、些細な事から大きな事まで何でも話した。この時間だけは世界に二振しかいないのではないかという心地良い錯覚に襲われる。だから山姥切は山伏を独り占めすべく水曜日の雨をいつも待ちわびていた。




    ある日の雨の水曜日、いつも通り山伏と甘い時間を過ごしていると……山伏の本丸の山姥切国広が傘を持って山伏を迎えに来た。

    山姥切は絶望感に打ちひしがれた。 今日はたまたま来たのではなくこれからはずっと偽物くんが律儀に迎えに来るのかもしれない…そうなったら……

    山姥切は目の前が真っ暗になる。

    ーーあぁ、こうやって簡単に俺と山伏くんの関係は消え去るのか。

    山姥切が落ち込んでいると、本丸への転送装置まで一緒に行こうと山伏と山姥切国広が声をかけた。

    傘は二本しかない…山姥切はうっすらと兄弟同士で相合傘でもするのだろうと考えていた。しかし山伏が山姥切を自分の傘に招き入れ、山姥切と山伏が相合傘をする状況となった。

    『近い…』

    山姥切は恋しい相手に意図知れず急接近している現実に頭がくらくらした。心音もうるさく、山伏に気づかれてしまうのではないかと内心気が気でない。



    山姥切がハッと気づくと既に転送装置の前であった。

    もう離れないといけないのか……と山姥切が別れを名残惜しんでいると山姥切国広がこう言い放つ



    「なんだ、兄弟の一方的な恋慕ではなかったのか…」

    その一言に山伏の顔が茹で蛸のように赤く染まっていった。


    「兄弟何を言うか。」


    「何をって…俺は兄弟の恋路を応え「どうやら今日の兄弟は調子がおかしいのである。早く本丸へ帰らねば!山姥切殿また会おうぞ。」

    山伏は山姥切の口元をガシッと抑えながら二振の姿は転送装置の中に消えていった。


    「今のって……」

    一振で残された山姥切は恥ずかしいと思いつつも余りの嬉しさに自然と口角が上がってしまっていた。


    「ふふ、次の水曜日が楽しみだな……いや、違う。」


    晴れの日はさっさと逃げられてしまうだろう…山伏を問い詰めて恋心を白状させるには雨宿りが必須である。
    だから山姥切は楽しそうにこう呟くのだ。


    「雨の日が待ち遠しいなぁ…。」
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    むくらーるちん

    CAN’T MAKE虎杖くんと先に会う順平くんの筋書き的なナニカ
    誰か同人誌にしてくんなまし

    順平くん家がアニメでも原作でも一軒家なのかアパートなのかわかんないので妄想で書きました。
    (虎杖くんとの初対面の際の背景にマンションっぽい建物が無かったのでマンションは除外しました。)
    真人ルートを回避して虎杖くんルートだ!!昼間の映画館に行く順平くん、目の前で最悪クラスメイトがまひまひにグニィされる。まひまひの事は見えているが、このルートの順平くんはやべーって逃げる。絶対追いかけない。

    なんてものを見たんだろ…数日間頭の中を惨劇がぐるぐるする…あの映画館はしばらく行けないなぁとか考えながら外を歩いてると家の前にワガママボディの担任のてんてぇが居た。内心おあーーーってなりながらクラスメイトがタヒった報告を受ける順平くん。本当にタヒんでたんだ…とあの映画館の出来事が現実味を帯びて背中に嫌な物を感じる。すると例のお尻顔天使と虎杖くんが飛び出してくる。その後は真人ルートとほぼ同じ展開で河川敷に行く。真人ルートの高専の生徒が〜の説明が無いので警戒心がかなり高い順平くんだったが、ミミズ人間の話ですっかり打ち解ける。凪さんが合流→晩御飯→映画の流れに行く。後日映画を観に行く約束をして解散、凪さんは無事。約束通りに虎杖くんと映画に行く順平くん、映画が始まるまで時間があるので館内のソファで談笑する。映画館でポップコーン食べる食べない議論等くだらない話をしていると順平くんがチケットを落としてしまい、虎杖くんが拾う。拾う瞬間に虎杖くんが順平くんの顔の傷に気付く、「その傷…どうしたんだよ」と真剣な顔で聞く虎杖くんに、順平くんはオデコを抑えて「なんでもないよ…」と顔を逸らすが「そんな酷い傷がなんでもない訳ないだろ……友達なんだしさ…全部話してよ。」 少し迷う順平くん、そんな順平くんの心に寄り添うように優しく順平くんの手を握る虎杖くん。「俺、順平の力になりたいんだ。」虎杖くんなら信用できる…そう思って順平くんは虎杖くんに全ての出来事を話した。まるで自分に起こった事のように悲痛な顔をして黙って聞いている虎杖くん。虎杖くんに話す事で心が軽くなっていく順平くん…真人ルートと違い呪術師としての能力は無いので高専に来いよは発動しませんが、まだ達観歯車覚悟ガンギマリ前の元ヤンホヤホヤの虎杖くんなので「そのクソみたいな奴、俺がぶっ飛ばしてやる」が発動する。その言葉に救われる順平くん、勿論「ありがとう、でも虎杖くんはあんな屑となんか関わらなくていいよ。学校の事は母さんと話をしてなんとかするから大丈夫」と虎杖くん大暴れは止める。順平くんは自分の理解者が出来て嬉しくて感極まってしまい、涙が出そうになったのを隠すためトイレに行く。ト
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