「三日月藻」
「みかづきも?」
刑部が口にした単語を、そのまま復唱する。三日月藻。確かアレだ、昔理科の授業で習った。あと古い映画で観た気がする。カタツムリのなんちゃらで人を操るホラー映画。
「パラサイド・イブだな。あとそれに出てくるのはミトコンドリアだ」
そう、それ。それを見てから暫くは、カタツムリを捕食する鳥を見て背筋が凍えた。
「で、その三日月藻がどうしたんだよ」
今、この時にする話だろうか。小休止となったが自分たちは今まさに裸で抱き合い、いざ挿入となっていたはずだ。それが寸止めされて荒かった息も整ってきた。訝しんで見上げると、刑部の視線は桐ケ谷の股間を向いている。釣られて見ると、自分の猛りたったものが緑色に発光している。前に貰った、蓄光ゴムだ。使用期限が近いので最近はよく使っている。
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