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    karanoito

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    karanoito

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    仁×新 140字SSまとめ

    仁新で「ありふれた日常の中の幸せ」

    公園に伸びる鬼ごっこの影、帰りが遅くなって食らう大目玉、家族みんなで出かける休日の遊園地。欲しくて欲しくて堪らなかった情景はそっぽを向いて遠ざかっていく、永遠に。独りじゃ寂しさすら手に入らないって気づいたのはお前と出逢ってから。初めて出来た友人と笑いながら帰る夕焼けの下。



    「ここから始まる」

    目の前が不意に開けた気がした。気だるい初春、黒板の前で佇むつり目がちの黒い瞳にどうでもよかった日常が吹き飛ばされ、非日常への幕が上がる。「……祭り」友達を連れて行けばまたあそこへ帰れる。準備はすでに整っていた、後は一歩を踏み出すだけだ。



    「愛されるのに臆病すぎて、」

    眉を下げ、自信のない顔で彼は一歩身を引いた。おかしいなと首を傾げる。好きだと言って少し微笑んだだけなのに。「何その不意打ち」「駄目か?」駄目じゃないけど、と口元を押さえた綺麗な顔は色鮮やかな紅葉のよう。ああ、こんな顔もするのか。また君に一歩近づけた。



    「いつまでも居られないね」

    神社に続く階段の隅、上体を反らした彼の体は天を振り仰ぐ。端から濃紺に侵食される紅い紅い夕焼け、一途に自由を望む横顔を隣から眺めるのは結構好きだった。静寂が石段の上に影を伸ばす。さあ、気付かれる前に立ち上がらなければ。いつまでも君を引き止めることは出来ないから。



    先新で「こりないやつ」

    これで何日目だろうか。先輩と呼ぶ控えめな声、見上げるつり目気味の瞳は揺るぎなく、それだけのことがひどく懐かしい。しかし現状は危険とも取れる。いつ彼が襲われても不思議ではない。「怪異には関わるな」気持ちに蓋をして突き放すが彼は止めないだろう、そんな予感がした。



    仁新で「僕の居場所」

    昔は確かにあった温かい場所、落ち着いた誰かの声と過ごした和やかな時間は傍から消え去っていて、代わりに隣にいるのは意地悪な友人。「帰り、寄り道して行こうぜ?」「ああ」笑顔に合わせて頷く。居心地さえ違えど、どちらも自分の居場所に変わりないのだろう。



    「いえない我儘」

    夕陽の中、別れ道で手を振ってから考える。明日も隣にいるだろうか、背中を見送るのもこれで最後になるんじゃないか。置いていかれる、クラス変えも待たずに。これからも傍にいてほしい、と我が儘に手を握れたらどんなにいいだろう。君を追いかける役割は俺じゃないのにこれはずるいか。



    「No,thank you」

    追いかけることばかり考えていた。引き止めるのが本当に彼の為になるのかは二の次で、捕まえなければ一緒に帰れないから。そんな直感を彼は嘲笑い、向けた背中は遠ざかるばかり。ただのお節介だったのか?伸ばした手は鳥居の向こうには届かず、疑問はフツリと消えた。

    2017.6



    時々、面倒くさいけど。(仁新)

    重役出勤だな、と言いたげな新の目にホッとしながら椅子を引く。遅刻したけど今日も会えた。「これでも真面目に来てるんだって」「嘘を吐け」本当だけど信じてくれない。家には居られない、でも学校へ足が向かない時の特効薬。きっとこれがないと出席日数が半分以下になってた。

    2020.1.3



    仁新で『どうせ無意識なんだろ』

    あ、と新の口が動いた。何かあるのかと目線を追っても、野良猫が塀の上でのんびり毛繕いをしているだけ。すぐに通りすぎるはずだった何でもない光景に、そわそわと落ち着かない様子。「…かわいい」頬を和らげ、俺のシャツの裾を掴んで呟く新。ああこれは、俺が隣にいるの忘れてるな?

    2020.12.29
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