「ハッピーバースデーディアよーうー ハッピーバースデートゥーユー♪」
「おたんじょうびおめでとう! よう!」
「ありがとな! よる! ねぇかあさん、もういっかいろうそくつけて! もういっかい、よるといっしょにふーってするから!」
夜の記憶の中にある、一番最初の陽の誕生日。
陽はそう言って、自分にもケーキの蝋燭を吹き消させてくれた。
あの頃からずっと変わらない陽の優しさ。夏の太陽のように眩しく輝く笑顔。
物心もついていない頃から今日までずっと一緒にいられたこと、たくさんのはじめてを一緒に経験できたこと、陽との今までとこれからを夜は心から愛おしく思う。
かわいい相棒とまだ眠りの世界を漂っているだろう陽の姿を思い浮かべながら、夜は菜箸でボウルの中の卵液をかき混ぜた。
「誕生日おめでとう、陽」