mrfsと居酒屋景「なぁ、鳥海……あの本を書いたお前ならどんなシナリオを書く?」
鈴「突然なんの話しです。もう酔っ払ったんですか?」
景「オレの生い立ち、聞いてくれるか?」
鈴「話したいならどうぞ」
景「まだオレが幼かった頃、両親を殺されたって言ったよな……」
事件当時の話しを景光視点で聞いていると、ふと、蘇った記憶に顔をしかめる。数年後にはまさか警察学校の仲間達と共に自分自身の手で犯人逮捕が出来るなんて思いもしないだろう。黙って聞き終える。
景「それでさっきの質問なんだけど……あの本を書いたお前なら、この事件を使ってどんなシナリオを書く?」
鈴「……さぁ?今の聞いた話しだけじゃ作れませんね。貴方のその記憶も正しいものかわかりませんし」
景「オレの話しが嘘だって言いたいのか!」
鈴「いえ。嘘言ってるという意味じゃ無くて……うーん。貴方のメンタルを配慮せず話しても大丈夫ですか?オブラートに包むと逆に今みたいな解釈の相違が起きてしまうので」
景「構わない」
鈴「では、被害者は精神的にショックを受けて記憶が混乱することもあるじゃないですか。本当に現場の状況はそうでしたか?事件の起きた家の作りは?犯人の特徴は本当にゴブレットの刺青だったんでしょうか?貴方が隠れて居た場所は?意識を失っていたその時間は?いつ、どこで、何が起きたのか、貴方が記憶するそのタイムラインは正しいのでしょうか?……貴方は私に犯人の犯行予測をさせたくてお酒の力を借りてまで話したのでしょう」
景「……ああ、そうだ。じゃなきゃこんな話し、怖くて出来るわけがない。悪いとは思ってるんだ。それでも、」
鈴「パズルのピースは足りなすぎるし、本当にそのピースが正しい物なのかわからないもので何が出来上がります?運良くピースが全てはまったとしても、それは偽物の何かになってしまうでしょう?私は貴方にそんな無責任なことはしたくありません。これでも私、結構貴方のこと好きなので」
景「……ははっ、そうか。オレも鳥海のこと好きだよ」
鈴「ふふっ、そうですか。どうします?それでも私の予測……聞いてみますか?」
景「ならさっき話した内容をベースに、鳥海が作った別物の新刊として読みたい、かな」
鈴「めっちゃ私のファンじゃん」
景「いつか鳥海が作家デビューしたら、いの一番に教えてくれよな!」
鈴「プロジェクトMAXに出演したら友達枠でインタビュー受けてくれてもいいんですよ!」
景「あはは!そうなったらお前、同級生達から何言われるかわからないな!」
鈴「あ!いま悪い意味で言いましたね!高校時代も別に私は何もしてないから問題ないですー!」
景「何も、ねぇ?これだから無自覚問題児はやらかしても平然としてられるんだもんな!」
鈴「ちょっと!段々と私のディスりになっていますから!ほら、仕切り直してカンパーイ!!!」
景「カンパーイ!…………ごめんな、ズルいことして」
鈴「ん?何か言いましたか?」
景「今日も鳥海と飲む酒が美味い!!」