73gのほこり あやうく寝過ごすところだった。
最寄駅のアナウンスで飛び起きて慌てて電車を降りたのだが、半端に覚醒をしたのでまだ眠い。改札を出て階段を降り、降りる人々が左右に散ったところで、カラ松は大きなあくびをした。
終点の一歩手前、沿線で最も家賃の安いこの駅にカラ松の根城はある。寝過ごしたところで次が終点だから問題はないのだが、疲れた身体に一駅戻る手間はなかなかに堪える。終点である駅は主要駅のひとつでもあるのでいつだって賑わっており、その賑わいが心を躍らせも荒ませもするのが嫌なのだ。買い物をするほど給料と時間に余裕があれば話は別なのだが、今日のように二十一時を回ってしまうとどの店も開いていない。すなわち、降りたところでげんなりするだけなのである。
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