Etranger がきゅ。
朽木を折るような異音に、ラーハルトはびくりと覚醒する。
目の前には、薄目を開けたヒュンケルの微笑。
ぐぎ。
ラーハルトはため息をついて、彼の寝言に耳を傾ける。
疲労困憊でたどり着いた宿。
二人して泥酔し、ベッドに倒れ込んだ夜だった。
ヒュンケルが突如、奇妙な言葉で話し始めた。
……まもの語だ。
モンスターたちだけが共有する、原始的ながら詩的な言語。
ラーハルトは回らない頭で、聞き取りを試みる。
くく。がぎゃ。
「なんだって?」
ぎゅ。
ヒュンケルは幸せそうに笑って、ラーハルトの頬に触れた。
ぐぐぐぎゃ。
「?」
ぐぐぐぎゃ。ががが。
ラーハルトは必死に、以前学んだ文法を思い出す。
『ねえ、君。素敵な模様だね』
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