天に呪舞、地に遊行 真っ赤な天鵞絨の天蓋を先頭にした小さな集団はその容姿の異様さも相まってさながら旧正月の龍の出し物のようであった。
角ある竜。妖艶な蛇とその従者。長い胴をくねらす奇蟲の武侠。可憐な少女と異邦が交わりたる有様に近隣の家々はおそるおそるその行列を眺めている。
しずしずと歩む行列はかつては色とりどりな彩色がなされたであろう階段を登り、厳かな霊廟が見えてきていた。誰を祀った者かは今は誰もが口にする事はない。死人に口はなく、四凶が表玄関に使っているなら尚更だ。今語られるべきはそれが桃や蓮の意匠に彩られた四凶が浄土の一角であるという事だけである。
「まったくそれにしても貴女はいったい何処から来たと言うのです?」
4476