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    燈屋さん(飛段×角都のみ)

    @zakuhibiHK

    NRT:飛角の邪ならくがき🔞🔞🔞
    脈絡などない。極現パに限りペイン×角都表現有。
    作業進捗もこちら。
    Xで無口な分、メモがてらちょっと多めにごちゃごちゃ語る。
    ※文の誤字脱字等は気付いたら修正しています。

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    HPの過去SS。

    飛角と、サソデイありきのトビデイ。
    キスマーク一つで時間が保障されるなら…と思う自分が嫌いな角都。
    あと割とあれこれ自覚はある。

    ##文字

    ◆天に見せる――――――



    林道の入り口でトビとデイダラに出会った。
    林を出るまでは方向は同じ。
    わざわざどちらかが道を外す必要もないかと連れ立っていたわけだが…。




    休憩しようと飛段とトビが騒ぎ出したので一度足を止めた。

    「かくれんぼでもします?」
    「休憩だろ。じっとしてろ、うん」

    退屈そうに体を伸ばすトビ。
    二人が居るといつものように我儘を云えない飛段は不機嫌である。

    「ったく…」

    落ち着かないトビにため息を吐き切り株に座るデイダラ。
    振り回されているのを少し可笑しく思いながら角都は隣の木にもたれた。
    いい加減我慢の限界だと云うように飛段はトビを追い回している。
    何気なくデイダラに視線を落とす。
    くあっと退屈そうに欠伸をする彼の首元が、髪と襟の隙間から少しだけ見えた。

    「………、」

    アレは…何を考えているのだろう?とその視線をトビに移す。
    ぎゃーぎゃー逃げ回っているようで、実際は飛段の鎌をのらりくらりかわしている。
    彼のソレは己が抱えるジャシンへの鬱陶しさと同じものだ。
    神は端から存在しない、そして彼が見せたい相手も…もう居ない。
    馬鹿げている。
    デイダラを…サソリから奪えるわけもないだろうに。

    「ほんと落ち着かねぇな、あの二人」

    云って、歩いて汗ばんだ首元に絡みつく柔らかそうな髪を後ろへ流すデイダラの結び目に手を伸ばす。
    一言も発さずプツンと髪留めを切る角都。

    「なっ…!?」

    ふぁさと落ちる髪に驚いて振り返る。
    油断していた所為で全く気配を感じなかった。

    「下ろしておいた方が確実に隠せる」
    「…………」

    意味が分からず首を傾げた男は少しして思い当たったらしく眉を吊り上げた。

    「トビぃ!!!!!」

    余計な事はしないと約束したはずだ。
    飛段の鎌にも構わず飛び込んでいく。
    そういった類の約束は破られるものだと思う角都。

    「…?」

    デイダラが割って入ってきた事で飛段の苛立ちが行き場を失った。
    一体何事かと相棒の所へ戻る。

    「何だよ、いきなり」
    「怒鳴りたい気持ちは分からんでもないが」

    ポツリと呟き二人を見る。
    今にも爆発を起こしそうだ。

    「止めねぇのかよ?」

    流石にこんな狭い場所で起爆粘土はまずいだろうと飛段が云う。

    「見えるトコにつけんなって云っただろ!うん!」
    「見えないトコなら良いんでしょー?」
    「角都に見えてたっ!!」
    「何でバラすんすかっ、黙ってたら先輩は気付かなかったハズなのに」

    トビが極悪人めと云わんばかりにこちらを指さす。
    確かに身長差があったとしても彼が座らなければ、後ろ髪を触りさえしなければ見えなかった。
    角都はため息を吐く。
    埒が明かない彼らのやり取りは――――――。

    「デイダラ」
    「口出しするな、これはオイラとトビの問題だ!うん」
    「―――…別に無理に止めはしないが」

    それは俺らと同じ位馬鹿げた痴話喧嘩だと角都は呆れた声を出す。
    ピタリと止まる二人。
    飛段は何の話だと首を捻った。

    「……アンタ、」
    「自覚あったんスね…」

    目を丸くする二人にぶち殺すと思いながら

    「残念ながらな」

    と答える。

    「…もう先行くぞ!トビ」

    飛段は気付いていないが見られた以上は一緒には居られないとデイダラが足早に林の奥へ向かう。
    あーはいはい、とついていこうとするトビの首根っこを掴む角都。

    「何すか」
    「虚しくはないか」

    無いと云うと嘘になる。
    仮面の奥の目を細めたトビは、お道化た色は消しきらず
    それでも彼には似つかわしくないと思える少し低い声で一言。

    「こんな事は長く続かない。でも、今一緒にいるのはボクだ」

    云い終わるのと同時に手を離されたトビはそれ以上は何も言わず、デイダラを追っていった。




    素顔を晒しもしない、芸術を語れもしない。
    お道化た仮面で己の欲望をどうとでも語る。
    嘘だとも本当だともいう確証はない。
    本心が見えるはずもない。

    であればこそ、心をくれとは云わない。
    けれどこの瞬間は自分のものだ。

    馬鹿げた宣言を届きもしない相手に。
    本人さえ気づかない場所に。






    「静かになったな」

    ふぅと息を吐く。
    しばらく間をおいてから出発する、と先ほどデイダラが座っていた切り株に腰掛ける。
    角都の目の前の地面に乱暴に座り込む飛段。

    「お前、何したんだよ?」
    「別に何も」
    「嘘だな。やけに優しく髪触ってただろ。俺のはすぐひっぱるくせに」

    一度丸ハゲになってしまえと思っているとすり寄ってくる。

    「何だったんだ?」
    「下らない事だ」

    たった一つ奇妙な場所にキスマークがあっただけ。

    「キスマーク…?」

    そう云えば、飛段はつけようとしない。
    首を傾げるのを見ると知らないだけのようだ。
    もう、あの二人は見えない。
    木々を揺らす風が二人きりだと云っている。

    「角都?」

    説明するよりやって見せた方が早いか。
    マスクを外した男は、相手の額当てを引っ張って引き寄せると無防備な鎖骨に唇を押し付けた。
    飛段はチクッと吸い付いて離れる唇の熱さに目を白黒させる。

    「な…!?」
    「これがキスマークだ」

    トンと指先で己が付けた痕を叩き、乱暴に額当てから手を離す。

    「………」

    角都の熱が残る肩に手を置く飛段。

    「トビはそれをサソリに見せてやりたかったようだな」
    「サソリってアイツはもう」
    「だから天からしか見えない位置に付けたんだ」

    真上からしか見えない。
    天にしか見せるつもりはなかった。
    自己満足だ。
    今、一緒に居るのは自分だと。
    もう、お前には何もできないと。

    「…俺も付ける」
    「嫌だ」
    「俺のだって主張できるって事だろ?」
    「意味合いは人によって違う」
    「やり方教えろよ」

    胸倉をつかもうとする男の腹を蹴る。

    「うぐっ…!」
    「やめろ」
    「お前付けたじゃねぇか。ずるいだろ」
    「説明してやっただけだ。殺すぞ」

    二言目にはそれだなと頬を膨らませる飛段。
    キスマークに効力などないと言い切る角都。

    「もう良いだろう」

    そろそろデイダラ達は林の出口に近づいているはずだ。
    初めから違う道を行くべきだった。

    「じゃ、じゃぁっ…!キスマークは良いから、ヤらせろ」
    「……一回切り落とすぞ」
    「ハァ?これはお前が悪いッ」

    説明だろうが何だろうが唇が触れたのだ。
    欲情しない方がどうかしている。
    飛段の主張は正当なもののように思えたが…。
    立ち上がった角都はそれに背を向ける。

    「置いていく。一人でヌいていろ」

    飛段はふざけるなと慌てて立ち上がった。





    「唐突にあんな事するお前が悪いって、ホント」
    「いつまでその話を続けるつもりだ。いくら駄々を捏ねても無駄だ」
    「別にいーよ。この先も“一緒に居るのは俺”だし。“ずっと”付きまとってやるやら覚悟しとけってんだ」







    ピタリと足を止める角都。







    「…?」
    「本当に…そう思うか?」







    問いの意味は飛段には分からなかった。













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