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    3iiRo27

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    ritk版深夜の60分一発勝負
    第二十八回 お題:「決心」
    類視点 片想い
    20分オーバーしました

    #類司
    Ruikasa
    #ワンドロ

    何時からだろう。

    きっと切っ掛けは、ハロウィンショー。
    その時の喧嘩が、切っ掛けだったと思う。


    彼のことを、目で追うようになった。
    彼の笑顔を、もっと見たいと思うようになった。
    えむくんや寧々に向ける表情を、僕にも向けてほしいと思うようになった。
    色んな表情がみたくて、ちょっかいをかけることがどんどん増えていった。



    気がついたときには、もう戻れないほど。


    彼が。司くんのことが、好きになってたんだ。















    「…で?自覚したはいいものの、勇気が出なくて思いが伝えられないと」

    「うんまあその通りなんだけど…ばっさり言うね、瑞希…」



    ある日のお昼。屋上。


    登校してきた瑞希と変わらず屋上で話しながらお昼を食べていた。
    委員会で司くんの都合がつかなくなったので、こうして2人だけで話ができている。


    瑞希は僕を見るが否や、「何か悩んでる?」と開口一番聞いてきたのだ。
    自分は僕に話せないことを抱えているというのに。なんて思いながらも、自分で抱えておくにはちょっときついものだったのも相まって、あっさりと白状した。


    昔から、女性ではなく男性を好きになっていた僕は、そのことを瑞希には話していた。
    寧々は、多分気づいてはいるけれど、聞こうとして聞けないまま、といった感じだ。

    だからこそ、この手の悩みを、瑞希にだけ打ち明けられたのだ。



    「別に、彼に好きになってほしいとかではないよ。ただ、思いだけでも伝えられたらなとは思うんだ」
    「うん」
    「…彼なら、ちゃんとこの気持ちを受け止めて。考えて。その上で答えを出してくれる。そう思ってるんだ」








    「でも、まだ伝えられてない」
    「…うん。結局は、僕の決心がついてないだけなのかもしれないね」








    ちゃんと、大丈夫だと確信しているのに。








    「なら、大丈夫じゃない?」
    「……え?」


    呆ける僕に、瑞希は笑いかけてくれた。

    「ちゃんと、司先輩なら大丈夫って思えてるなら、きっと大丈夫だよ。あとは切っ掛けだけだと思う」
    「……瑞希は、そう思うのかい?」
    「少なくとも、今の類の言葉を聞いて、大丈夫じゃないかなって思ったよ」


    「…あまり、運任せのようなことはしたくはないけどね」
    「でも、それに頼りたいくらい困っているんじゃない?」
    「…まあ、ね」


    切っ掛け。
    そんな、運任せみたいなものに頼りたくはないけれど。
    でもきっと、僕の背中を押すのは、それなんだろう。



    「…まあ、状況を見て、頑張ってみるよ。ありがとう、瑞希」
    「いいえー!あ、お礼は司先輩と付き合ってから沢山聞かせてねー?」
    「え、まあいいけど…なんで付き合うこと前提になってるんだい…?」


    困惑する僕に、瑞希はニヤリと笑いながら告げた。






    「僕のカン、ってやつだね!」







    -----------------








    『…本日はご来場いただき!』


    『『『『『ありがとうございました!』』』』』




    結局、タイミングが掴めないまま、週末を迎えてしまった。
    ちょうど数週間前からやっている新しい演目の千秋楽となっており、いつもよりお客さんも多い。

    何より、千秋楽限定で、お客さんとのチェキや握手など、軽い交流も行うようにしているのだ。
    それ目当てで来る人も少なくない。



    司くんの合図で、舞台から客席に降りる。
    指示に従って4人それぞれバラけると、あっという間にお客さんに囲まれた。



    「あ、あの!とてもかっこよかったです!」
    「ありがとうございます。またお越しくださいね」

    きゃあ、と響く女性の声を聞かないようにしながら、横目で司くんの姿を見る。

    僕は比較的女性が集まるのに対し、司くんは主役の多さとその包容力から、老若男女問わず色んな人に囲まれる。
    今も、小さい妖精の格好をした女の子や、紙製の武器を持ってきた男の子とチェキを撮っている。
    そういうところも司くんの魅力の1つだよなと、思わず関心してしまった。


    「…?あの、すみません…」
    「っ、ああ!お待たせしてすみません!」
    かけられた声で漸く、司くんの方を見すぎていたことに気付いた。

    これからのことも考えて、しっかり対応しないと。
    そう思い、目の前のお客さんに集中する。



    だから僕は、気付けなかった。
    司くんの列に混ざる、明らかに異様な男性に。








    ------------------






    「…お疲れ様。寧々、えむくん」
    「類もお疲れ」
    「お疲れ様!類くん!」

    相手できるのは1人だけ。1回受けたら帰る。という決まりのため、終わった人から順に控え室に戻る決まりになっている。

    辺りを見渡すと、司くんの姿だけない。




    「あとは、司だけか」
    「うん、そうだね」

    「よかったら僕が様子を見てこようかい?」
    「うん、任せた」
    「あたし、飲み物の用意してるね!」



    笑顔でそういうえむくんに笑いかけつつ、司くんのもとへ向かう。

    戻る時にちらっとみた限りではあと数人だったしすぐに終わるだろうけれど。
    多種多様な年代の人と交流する司くんは、人によって対応を切り替えるのもあってか誰よりも疲労が凄い。
    迎えにいって、ねぎらいの言葉をかけてあげよう。






    そう思いながら向かうと、何やら口論している声が聞こえる。


    「…すから、……は…って……ない…」
    「…ちけち…な…るも……ない…」

    声を聞いてハッとなり、慌てて駆け出す。
    口論しているうちの片方は、明らかに司くんの声だ。

    近づくにつれて、口論の内容がはっきり聞こえてきた。






    「…ですから!このチェキは1公演につき1枚なんです!そこは守っていただけないと…!」
    「だからさあ!俺は前々回行ったのにチェキやってなかったんだよ!
    やってないなら前々回分も含めて対応するのがプロってもんでしょー」




    聞こえてきたその声に、眉をひそめる。
    チェキは着ぐるみさんからの提案で、前回から取り入れたものだ。

    それまで握手などはやってきたし、前回からだという張り紙も貼った記憶がある。
    つまりは、いちゃもんをつけて2枚以上手に入れる魂胆なのだろう。



    普段は着ぐるみさんがいるからどうにかなったが、えむくんが先に戻ってしまったが故に着ぐるみさんの監視もなくなったことで、絶好の機会だと、彼に話しかけているのだ。






    (…どうしようか。とりあえず話には混ざるけれど、一応着ぐるみさんを呼んだほうが…)

    彼らに一番近い影で、どうしようかとスマホを取り出す。
    その時だった。




    「だーもううっせえな!いいからちゃっちゃと撮れよ!」
    「っ…!ちょ、やめてください…!」

    聞こえてきた声に思わず彼らの方を向く。

    男性に腕を掴まれている司くんの顔は、苦痛に歪んでいた。




    「そうそうその顔その顔!いいねえ!」
    「や、やめてえくだっ…う、あ…!」






    その時。


    ぷつんと、僕の中の何かが切れた。






    「っ、が…!」
    「…っ……類…?」


    男が、床に転がる。

    突き飛ばした男と、腕を抑える司くんの間に入り、男を見遣る。
    司くんを、これ以上傷つけないように。


    「って、めえ…!客に向かって何を、」
    「ルールも守らず、キャストに暴行を加えた時点で、貴方はもう客ではない」
    「る、類…!?」



    慌てる司くんの声が聞こえるけれど、僕はそれを無視して男を睨む。
    男は反省もしてないのか、立ち上がり苛立ちを一切隠さずに告げた。




    「うるせえ!お前らみたいなのは大人しく客の言うこと聞いときゃいいんだよお!」
    「黙れ。司くんを傷つけたやつを、客だなんて絶対に認めない」


    「っくそ…!こいつっ!」
    「っ類!」




    苛立ちを前面に向けて、拳を此方にふるってくる。
    司くんを庇うように腕を広げ、男を見据えた。


    その時。









    「そこまでです」

    「っが…!はな、離せ…!」




    「…あ、着ぐるみ…!」

    そこにいたのは、男を押さえ込む、着ぐるみの姿だった。


    「不審者だと通報がありました。こちらはお任せください。」
    「…ええ、ありがとうございます。後はお願いします。…行こう、司くん」
    「え、あ、ああ…」



    男に掴まれなかった方の腕を引いて、その場を後にする。
    もっと、痛めつけてやりたかったという、思いを抑えながら。













    「…うん。まだ痛むかい?」
    「ああ、まあ。でもさっきよりずっとマシだ。ありがとうな、類」

    控え室に用意された、小さな救護室。
    そこに、僕たちはいた。

    あの騒ぎは思ったよりも早く周りに伝わったようで、えむくんや寧々も僕たちの姿を見るが否やすっ飛んできた。

    でも、矢張りというか。
    司くんは掴まれたときの怪我が服で見えないことをいいことに、何もなかったと言った。

    無駄に心配をかけないための、優しい嘘。
    それに僕が乗らないわけがなかった。


    そのままお開きとなり、ちゃっかり帰ろうとしていた司くんを引っ捕え、今に至る。


    「…悪いな、類。迷惑をかけた」
    「……それは、治療の方とさっきのやつ、どっちのことを言ってる?」
    「どっちも、だな」

    苦笑しながら、司くんは手当された腕を摩る。
    想像以上に強い力で掴まれたためか、腕にくっきりと手形が残るほどだった。


    その腕に、指を這わす。


    「…類?」

    首を傾げる司くんをそのままに、ゆっくりと指を動かした。




    老若男女、誰もを魅了する。
    その魅力は、きっとこのメンバーの中ではトップだろう。

    でも、だからこそ、あのような輩も出てくるのだと、気付いた。



    気づいて、しまった。



    「司くん」
    「え、えと…なんだ?類…」


    あの時は、方向性が全く違かったからよかったものの。

    これが、もし好意を寄せるものだったら?
    もし、別の意味で襲おうとしていたとしたら?


    誰しもを、魅了する彼なのだ。
    きっと、可能性は0じゃない。





    ならば。



    「あのね、司くん。僕は-----」




    彼に、僕の思いを伝えよう。

    彼を、もう傷つけさせないために。

    この決心が揺るがぬうちに。



    彼のことを。大好きで大切な彼のことを、守り続けよう。













    誰もいなくなった、ショーステージの後ろで。

    一際大きな叫び声が響いた。
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    あらすじ▼
    類のガレージにてショーの打合せをしていた2人。
    打合せ後休憩しようとしたところに、自身で発明した🌟の中を再現したというお○ほを見つけてしまった🌟。
    自分がいるのに玩具などを使おうとしていた🎈にふつふつと嫉妬した🌟は検証と称して………

    毎度の事ながら本編8割えろいことしてます。
    サンプル内含め🎈🌟共に汚喘ぎや🎈が🌟にお○ほで攻められるといった表現なども含まれますので、いつもより🌟優位🎈よわよわ要素が強めになっております。
    苦手な方はご注意を。

    本編中は淫語もたくさんなので相変わらず何でも許せる方向けです。

    正式なお知らせ・お取り置きについてはまた開催日近づきましたら行います。

    pass
    18↑?
    yes/no

    余談
    今回体調不良もあり進捗が鈍かったのですが、無事にえちかわ🎈🌟を今回も仕上げました!!!
    色んな🌟の表情がかけてとても楽しかったです。

    大天才小粒まめさんとの合同誌、すごく恐れ多いのですがよろしくお願い致します!
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