魔術師でもないただの人間に出来ることはとても少なかった。人の身とサーヴァントを比べるものではないと分かっているけれど、血を流しながら前線に立つ彼らを武器と割り切ることはとても難しい。痛みを覚えながら大丈夫かとこちらを心配してくれる彼らの力になりたくて。少しでもより最良の状況に転じられるように。例え結果が焼け石に水だと承知の上で、ただの人間に出来ることを探している。
シミュレータの空は青かった。シチュエーションをおまかせに設定したら選ばれたのは見渡す限りの平野と眩い晴天で、草地に寝転がる己の視界は澄み渡る青空を映している。手を伸ばしても届かないほど広い空にちっぽけな自分は見下ろされているのだ、と頭の片隅で誰かが呟く。
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