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    mono_gmg

    @mono_gmg

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    DONE大学生ぐだ×バーの店員マンドリカルドな現代パロディ。まだ続く予定
    色々ふわふわしてますがご容赦ください


     一般的な夕食の時間は過ぎ去り、夜の都内が賑わいを見せ始めた頃。中心地から少し外れ、とある物静かな人気の無い通りを一人の若者が歩いていた。その足取りは酒に呑まれた者特有の不安定さは見られなかったが、どことなくふらふらとしていて覚束無い。俯きがちなその背中には彼だけが知っている寂しさが漂っている。
     青年は少し前までは大切な人と親密な時間を過ごしていたけれど、その大切な人と歩む道は今や違えてしまった。互い以上に想いを寄せる恋人が出来た訳ではなく、双方の間にある恋心が冷めた訳でもない。二人の関係に幕を下ろしたのは彼女が静かに呟いた別れよう、の五文字。相手を試すような冗談を告げるような人ではなかった。慌てて表情を窺えば眉を八の字にしながらもしっかりとこちらを見据えていて、長い時間を共にしてきた人の決意を覚ってしまった。切り出されてからたっぷり間を置いてゆっくりと頷く。未練は無い、と言えば嘘になるけれど。提案も憂いも拭い去って彼女を説得出来る自分の姿が思い描けなかったのだ。関係性が一つ消えても大事な友人であることは変わらないから、彼女にほんの少しの罪悪感も残したくなくてなるべく穏やかに笑 8950

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    DOODLEプレゼントを手渡してくれた時の、花が咲いたような笑顔が瞼の裏に残っている。
     今から少し前の事。マンドリカルドは一人の幼い姿をしたサーヴァントであるアビゲイルから贈り物を頂いた。元はと言えば自分が彼女に心配させるような表情(何かあった訳ではなく残念ながらデフォルトである)をしていて、その時交わしたやり取りからアビゲイルはマンドリカルドがクリスマスにプレゼントを貰えていなかったと知り(そもそもクリスマスは陽キャと子供たちの為の行事だと思っていた)、今からでも用意して元気づけたいと立ち上がったようだった。しかもプレゼントの中身を調達するのに微小特異点にまで赴いたらしく、こんな自分の為に非常に申し訳ない気持ちでいっぱいになっていた。
     けれど丁寧に包装された贈り物を受け取った自分以上に、渡した少女の方が嬉しそうに笑みを浮かべていて。礼をしてからそのまま談笑へ転がりほのぼのとしている最中に(要らぬ気掛かりを抱かせないよう慎重に勇気を出して)聞いてみた。何故そんなにも嬉しそうなのか、と。すると真ん丸な眼をぱちぱちと瞬かせてからふふ、と笑って当たり前のように彼女は言ったのだ。受け取って下さった貴方 2780

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    TRAINING洗濯されたばかりのシーツの洗剤の香りが胸いっぱいに広がる。清潔になった布の海に寝転がり、同じように寝転がる相手と他愛の無い話をしていた。過去修復しに訪れた特異点での出来事、今朝起きた所長とフォウの朝ごはん争奪戦の行く末、シミュレーターで好戦的な英霊に絡まれた事件、調理の手伝いのお駄賃として貰った美味しいお菓子の話。次々に溢れてくる話題を広げていくたび心は好き勝手に弾んでしまう。それは自分たちの帰る場所を取り戻す為に戦い続けるマスター、立香の張り詰めた緊張が緩む貴重な時間。文字通り、心休まるひと時。特に今目の前で楽しそうに笑っているサーヴァント、マンドリカルドと喋っていると自分がただの藤丸立香に戻れたような気がして嬉しくなった。まだ戻る訳にはいかないけれど、時々思い出したくなる我儘を彼に叶えて貰っている。そんくらい、俺でよければいくらでも付き合いますよ。幾つもの時間と絆を重ねた英霊の青年は外見年齢相応に笑みをこぼした。彼と同じくらい会話と信頼を重ねた自分は嬉しさのあまり、うっかり目頭が熱くなってしまった記憶が思い起こされる。
     マスターに割り当てられたマイルームの一人用の寝台に、それなり 4265