ヤング・クロウリー ~始まりの物語~ 第二部五話「王宮の噂」 ディアヴァルは、王宮の庭園に住むことにした。ねぐらは庭園のりんごの古木に構え、機会があれば王妃グリムヒルデの近くへ行き、聞き耳をすませ様子を観察していた。
彼女が庭園に現れる時はたいていは小さな姫を伴っており、ディアヴァルは姫のことも次第に親しく知るようになっていった。
姫も彼がお茶会にくると、必ずお菓子をくれるようになり、彼もそのお返しにちょっとした光り物を持っていって上げたりしたのだった。
だが、そんな交流が思わぬ陰を二人と一羽に落とすことになるなどとは、このとき幸せに浸っていたディアヴァルには知るすべもなかったのだ……。
それはある日突然やってきた。
庭園での小さなお茶会に、王が現れ、こう言ったのだ。
3039