花いちもんめ「あの子がほしい」と言われる側の子供だった。花いちもんめの話だ。
俺は、人が自分に何を求めているか、何を期待しているかが何となくわかる。わかってしまう。幼い頃からそういう視線に晒されてきたから過敏になっているのかもしれない。
だから自分を変えた。何も求められない人間になった。友達も恋人もいらない。引き換えに手に入れた日常は快適だった。期待されないってこんなに楽で身軽なんだと初めて知った。
そして迎えた二年のクラス替え。話し相手、いや友達が一人できた。目高優一くん。入学式で会った俺の師匠。
目高くんは不思議なひとだった。飄々としていて、ともすれば近寄りがたい雰囲気だけど、話してみると気さくで面白い。どこのグループにも顔が利くのにどこにも属していない。普通なら角が立ちそうなことも、目高がそう言うならとみんなが納得する。
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