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    isona07_2

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    isona07_2

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    めだにか。二階堂君の初恋を永遠と咀嚼したいと思っている人間がかいた。短い。ドラマおめでとうございます。楽しみです。円盤買いますね。

    #めだにか
    doodlebug
    #腐向け
    Rot

    「二階堂…」
     師匠の声が聞こえる。それは甘く蕩けそうな声音で、僕はその声を聴いた瞬間に甘いチョコレートを思い浮かべてしまった。僕の頬に、師匠は手を添える。その手はザラザラとしていて、手が荒れているな、と思った。師匠の手は僕より大きい。それでいてあったかかった。肌が乾燥していてザラザラしているのがちょっとイヤだったけど、まぁ、許容できる範囲だった。
     二階堂、と、もう一度僕を呼ぶ。その声に「なぁに」と答える僕の声はまるで猫の鳴き声のようで、何だか恥ずかしくてたまらなかった。誤魔化すように瞬きをする。そんな僕の様子に師匠はクスリと笑って「カワイイ」といった。カワイイ、可愛い!?僕は師匠のその発言に目を丸くせずにはいられない。正直『可愛い』という言葉は人生で腐るほどに言われてきた言葉だ。僕が高校生になる前、周りの人たちはは躍起になって僕にカワイイという言葉を投げかけてきた。僕としては他人が僕に向けて伝えてくる『カワイイ』という言葉はとても不思議で仕方がなかったのだが、それでも周りの皆は僕の事をひっきりなしに可愛いというので、ああ僕は可愛いのだな、と、そのようなことを僕は不必要に必然的に理解せずにはいられなかった。
     そう、僕は世間一般からしたら『カワイイ』の部類に入る人種らしい、であるから師匠から『カワイイ』と言われたって、全然に、そう、想定内の事象であるに違いないのであった。だがしかして、僕は師匠のその「カワイイ」発言に頬をボワッと赤くせずにはいられなかった。頬に手を添えながら、僕を見つめ「カワイイ」と宣う師匠…。本当?本当に?僕は将来のハゲを約束するあの『二階堂』である。そのような僕に「カワイイ」などと、中学の頃の僕ならいざ知らず、高校生の僕に向かって言うだなんて師匠もおかしな感性を持っている。
     気恥ずかしくて、目をそらした。ドッドッと心臓は動いていた。師匠の薄く笑う様子を感じた。「二階堂」ともう一度僕の事を呼ぶ彼、それに引きずられて僕は自然と師匠の方へと再度顔を向けてしまった。それが、何だか、運のつきだった。

     ピピピピピピピピピピピピピ

     目覚ましの音が響き渡る。それによって僕は目を覚ました。チュンチュンとスズメさんは鳴いている。その鳴き声は普段僕に幸福を与える代物であるのだけれど、今日だけは違った。ムクリと起き上がる。ベッドが軋む音が響き渡った。鳴り響く目覚まし時計を乱雑に止める。不必要に盛大なため息が出てきた。

     いや、何あれ

     疑問を思い浮かべずにはいられない。夢の中に師匠が出てきた。いや、別にそれは良い。中学時代ならいざ知らず、高校生になってから僕に近づく強者は師匠しかいないからして、四六時中顔を合わせる師匠が僕の夢の中にまで出張ってきたってそれはまぁ、驚くことではない、だがしかし、何だあれ。

     僕と師匠がキスしたんだけれども、一体全体何なんだアレ

     僕の脳内は混乱を極めた。グルグルと目は回る。ベッドの上で口元を抑える僕。無駄に下半身を調べてしまった。良かった、下品なことにはなってはいなかった。それだけが救いだ。
     外は太陽が輝いている。スズメさんはお歌を歌っていた。それが毎日の僕の楽しみだったのだけれども、今日だけはその陽気なスズメさんが少し煩わしい。グルグルグルグル回る脳みそ、目玉。混乱する頭。それを抱えたまま取りあえず真面目な僕は「学校に行かなければ」と頭を働かせた。ベッドから降りてクローゼットに向かう。そこに存在しているシャツやら制服やらを手に取った。着替える。
     制服に着替えると、僕はリビングに向かった。食卓には朝ごはんの姿があった。焼き魚とみそ汁。そして昨日の残り物。朝食は無駄に豪華だった。それを咀嚼しながら母に「髪!寝癖直してから学校行きなさいよ!」と注意を受けた。それにコクリト頷く。
     洗面所に向かって身だしなみを整えた。ピヨンと跳ねた寝癖。母親に直せと言われたので直るようにと努力する。四苦八苦する。どうにもならなかった。家族が使用している寝癖直しをこっそり拝借する。直らなかった。水をかけてみた。撫で付ける。ピヨン、飛び跳ねる髪。何だこれ二階堂の呪いか。
     僕は時間が来るギリギリまで奮闘したけれど、どうにもならなかった。であるので僕はあきらめてしまった。もういいや、母には怒られるだろうけれどもバレなければ、まぁ、良いだろう。女子ならいざ知らず僕は男子だ。寝癖の一つや二つ恥ずかしくはない。
     寝癖をつけたまま学校に向かう僕。その姿で登校するとそれを見つけた同級生がぎょっとした顔をする。曰く「富士山が爆発する予兆」なのだそうだ。何だそれ凄いな、東京全滅するんじゃない?僕の寝癖を見た彼らはあることない事クスクス話し始める。それに嫌な気持ちにはならない。こうなるようにワザと僕は『二階堂』を演じているのだから、逆にこのようにささやかれるのは願ったり叶ったりだ。
     学校に到着して教室に向かう。扉を開けて中に入った。僕の前の席、目高君、師匠、彼は既に登校を終えていたようで自身の席でのんびりとしていた。自席に座っている彼が僕に気づいてその顔を向ける。それに僕はあの不埒な夢に引きずられて少し気恥ずかしさを感じた。「おはよう」と師匠が僕に挨拶を行う。それに僕も礼儀として「……おはよぅ」と返事をした。師匠は僕のその返事に満足したように笑う。そうして笑った後に「アレ?」と驚いたように目を丸くした。



    「二階堂寝癖ついてんじゃん、ビヨンって、カワイイね」



     僕は彼のその言葉に、どうしたら良いのか分からなかった。
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    isona07_2

    DOODLEタイトル
    【大人げない大人】
    成田狂児の「好き」という言葉は、正直言って重い。どのくらい重いのかと言うと、アニキが頭から日本酒をぶっかけながら真剣な顔で「任せたぞ」と言ったその瞬間の重圧なんかよりも数万倍は重い代物である。いやまぁこの例えでは少々、いや結構かなり分かりにくいのかもしれないが、ようはヤクザの交わす書類なんかでは表せられない仁義的な「契り」などよりも数万倍は重苦しい代物であるということを此処では言い表したいのである。
     ヤクザの約束なんかは、ピンからキリまで様々にあるのだけれども、その中で「任せる」という言葉に関してはそれ相応の『期待』や『信頼』を得ていることから普通に「命」をかけることが大前提だった。約束を守れなければ死、期待に応えられなければ死、それが当たり前の漢の仁義というものが言葉の中には根強く存在していた。
     ヤクザの言葉には重みがある。重圧がある。プレッシャーがある。言葉は正に貴重なものであって、一度言った台詞に責任を持つのが人情を分かる奴にとっては当たり前の教養に違いなかった。自分の言ったこと、自分のしでかしたこと、それに責任を取れないクズなんか漢の風上にも置けやしない。ましてや『代紋』を 8858

    isona07_2

    DOODLEめだにか。二階堂君の初恋を永遠と咀嚼したいと思っている人間がかいた。短い。ドラマおめでとうございます。楽しみです。円盤買いますね。「二階堂…」
     師匠の声が聞こえる。それは甘く蕩けそうな声音で、僕はその声を聴いた瞬間に甘いチョコレートを思い浮かべてしまった。僕の頬に、師匠は手を添える。その手はザラザラとしていて、手が荒れているな、と思った。師匠の手は僕より大きい。それでいてあったかかった。肌が乾燥していてザラザラしているのがちょっとイヤだったけど、まぁ、許容できる範囲だった。
     二階堂、と、もう一度僕を呼ぶ。その声に「なぁに」と答える僕の声はまるで猫の鳴き声のようで、何だか恥ずかしくてたまらなかった。誤魔化すように瞬きをする。そんな僕の様子に師匠はクスリと笑って「カワイイ」といった。カワイイ、可愛い!?僕は師匠のその発言に目を丸くせずにはいられない。正直『可愛い』という言葉は人生で腐るほどに言われてきた言葉だ。僕が高校生になる前、周りの人たちはは躍起になって僕にカワイイという言葉を投げかけてきた。僕としては他人が僕に向けて伝えてくる『カワイイ』という言葉はとても不思議で仕方がなかったのだが、それでも周りの皆は僕の事をひっきりなしに可愛いというので、ああ僕は可愛いのだな、と、そのようなことを僕は不必要に必然的に理解 2311

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    isona07_2

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     師匠の声が聞こえる。それは甘く蕩けそうな声音で、僕はその声を聴いた瞬間に甘いチョコレートを思い浮かべてしまった。僕の頬に、師匠は手を添える。その手はザラザラとしていて、手が荒れているな、と思った。師匠の手は僕より大きい。それでいてあったかかった。肌が乾燥していてザラザラしているのがちょっとイヤだったけど、まぁ、許容できる範囲だった。
     二階堂、と、もう一度僕を呼ぶ。その声に「なぁに」と答える僕の声はまるで猫の鳴き声のようで、何だか恥ずかしくてたまらなかった。誤魔化すように瞬きをする。そんな僕の様子に師匠はクスリと笑って「カワイイ」といった。カワイイ、可愛い!?僕は師匠のその発言に目を丸くせずにはいられない。正直『可愛い』という言葉は人生で腐るほどに言われてきた言葉だ。僕が高校生になる前、周りの人たちはは躍起になって僕にカワイイという言葉を投げかけてきた。僕としては他人が僕に向けて伝えてくる『カワイイ』という言葉はとても不思議で仕方がなかったのだが、それでも周りの皆は僕の事をひっきりなしに可愛いというので、ああ僕は可愛いのだな、と、そのようなことを僕は不必要に必然的に理解 2311

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