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    浦徳うらとく

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    浦徳うらとく

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    むかーしpixivにあげた即興二次小説とゆーのを、pixiv非公開にしちゃったのでここにあげます……とゆーやつ

    #日鳳
    dayFung

    日鳳 3編/鳳とフオルトゥナータ 1編〈寝ぼけたことを話してる鳳 〉


    朝食は、パン派かご飯派か。
    そんなベタな二択だって、やっぱり二人は正反対なのだ。

    俺の身体は大体パンでできてると思うんだけど、日吉は多分お米でできてるよね。好きな食べ物だっておせんべいだもんね。あれ、違ったっけ。そうだ、ぬれせん。俺はたべたことないけど。
    でもさあ、じゃあ、もし一緒に朝ごはん食べるときがあったらどうするんだろ。いや例えば。例えば日吉がうちに泊まりに来たりしたとき。
    そしたらさあ、半分にしたらいいよね。パンに、お味噌汁と、スクランブルエッグで、お漬物。食後にコーヒー。そっか。パン食べちゃったら不公平なのか。じゃあさ、またすぐ約束すればいいんだよ、次の。そしたら今度は、ご飯にスープ、焼き魚とヨーグルトで、食後は緑茶。そうやって、上手くやろう。

    /朝の多数派



    〈長太郎のししゃもの話(正確ではないです) 〉


    ししゃもには伝説がある。昔、アイヌの神様が、不漁の年に、柳の葉を魚に変えて飢えに苦しむ人々を救ったのだという。ししゃもを「柳葉魚」と書くのは、その伝説にちなんでいるのだ。俺は初めてその話を知った時、(たしかそれは、食事の準備をしているのを見ていた俺に母が料理をしながら話してくれたんだったと思う。)いたく感動してしまって、そしてその味にまた感動して、それ以来すっかりししゃもの虜になってしまった。ししゃもの姿には、やはり伝説の通り、柳の葉のおもかげがある。神様がくださった魚だ。美しい、美味しい、素晴らしいその魚を俺は食べるのだ。

    という話を日吉にしたら、日吉は聞いているのか聞いていないのかわからない顔で黙っていたのだけど、俺が話し終えた後数拍おいて、おもむろに口を開いてこんなことを言った。「各地に伝わる神話や伝説や伝承は全てがただのデタラメってわけじゃあない。」
    俺は、つまり日吉が何を言いたかったのかわからなかったので、返事に困ってしまったのだけど、また短い沈黙を挟んで日吉が「参考になった。覚えておく。」と言ったので、とりあえず「お粗末さま。」と言っておいた。そうか、参考になったならよかったな。結局どういう意味だったのかはわからなかったけど、俺はなんか上機嫌になってしまって、今日の部活も頑張ろう、と思うのだった。
    (以上、ロッカールームでのやりとり)

    /きちんとした魚


    〈日吉と鳳 〉



    バカでかい傘だ。
    あいつがバカでかいのだから、それは妥当だ。そしてバカにしっかりした作りだ。撥水加工の効き方も半端ではない。降り注ぐ雨がすべて水の玉になり半球の面を滑り落ちる。どこで買うんだ、そんな傘。
    傘ひとつにもいくつも言いたいことが浮かぶが、そんなことは、どれも実にどうでもいいことであるので、口には出さない。どうでもいいことをいちいち話題にして会話を繋げなくてはならないような大層な相手でもない。そんな間柄でもない。こいつと歩く帰り道、俺は大抵無口になる。
    黙っていれば自然、耳に入るのは雨音ばかりで、よく聴けばあいつの傘と俺のそれでは、雨粒を受け止める音もどこか違うように思えるから不思議だ。あいつのバカでかい傘を滑り落ちる雨の玉の姿を頭の中で思い浮かべる。それはなかなか神秘的な光景だと思う。美しいものは好きだ。
    そして何を思ったのか、ついうっかり、俺は沈黙を破ってそのことをポロっと口にしてしまった。…これは失敗だ。全然全く大したことではないはずの俺の言葉に、あいつはバカみたいに感動した様子を見せた。本当に面倒臭い奴だと思う。帰り道はやはり、黙って歩くに限るのだ。


    /ダイナミックな傘



    〈運命の女神(長太郎とフォルトゥナータ)

    やわやわと両手を握っては開いてを繰り返し、今度は力を込めてピンと広げてみる。寝起きの冷たかった指先の毛細血管に、じわじわと温かい血が巡り始めるのを感じる、ような気がする。中等部に上がってからは、土日もほとんど部活に費やされてしまう。だからこんな風にゆっくりピアノに向かい合うのも久しぶりだ。窓にも二重にガラスが嵌められた防音の部屋とはいえ、都内全域に警報が発令されるほどの大雨だから、さすがに雨音も耳に届く。遠くにそれを聴きながら、ふと足元に柔らかな気配を感じて、やれやれと息をつく。「また邪魔しに来たの?フォルトゥナータ」フォルトゥナータはナアと短く返事をして、俺の右足の、くるぶしあたりに尻尾だけで触れているのだった。


    /僕の嫌いな運命
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