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    color_alto_rs3

    @color_alto_rs3

    作者:アルト
    サークル名:アルト茶房
    トムサラ中心の小説置き場。
    主にTwitterに投下した長文のまとめを置いてます。

    その他の作品はpixivにて
    https://www.pixiv.net/users/2041510
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    書きたかった本編です。
    たまたま見つけた小さな温泉に入ったら、実は混浴露天風呂だった!というラッキーskb的展開なお話です。
    R18な雰囲気あるけど、何もないです。
    ※この話の時間帯に迷ってアンケートやりました、ポチッってくれた方、ありがとうございました!

    投稿日 2022.06.13

    ##トムサラ

    こんよくハプニング 夕飯を食べ終えた二人は、再び温泉街へと繰り出す。
    「うまい夕飯だったな。メイン料理の川魚の塩焼き、シンプルなのに味が良かった」
    「美味しかったねぇー! 最後に出てきたシャーベット、さっぱりしていて良かったわ」
     それぞれ料理の感想を言いながら、彼らはスタンプラリーの受付にやってきた。
     スタンプが全部埋まった地図を見せて、貰った景品はというと……
    「バスタオルと……フェィスタオル?」
    「しかも観光地の地名入り? もう一度、温泉に入って欲しいってこと?」
     まさかの温泉タオルセットを貰った二人は、戸惑うものの笑いだしてしまった。
    「はは…商魂逞しいなぁ…」
    「ふふ、そうね。でもいい温泉だったから、また入ってもいいかもね」
     景品を貰った二人は、泊まっている宿へと向かう。その途中で、サラは温泉マークのある看板を見つけた。
    「ねぇ、トム。タオルもあるし、せっかくだから最後に入っていこうよ」
     指さされた建物は、こじんまりとした無人の温泉施設で、入口が二つあった。
     彼女のお願いを了承して、二人は温泉施設のドアに書かれた注意書きを読む。
    「へー…露天風呂があるのか。えーっと、なになに…『利用者は必ず読んでください』」
    「この箱にお金を入れて、使用中の札をかけて、入ったら鍵を必ずかけてくださいって書いてあるわね」
    「受付がない貸し切り温泉だからな、無防備なところに誰か入ってきたら大変なんだろう」
     なるほどとサラは頷く。トーマスは賽銭箱にお金を入れて、サラは注意書き通りに看板をドアのフックに引っ掛けた。
    「じゃあ出たら外で待ち合わせな」
    「うん、わかった!」
     それぞれ別の入口のドアを開けて、二人は脱衣所に向かった。

     脱いだ服を備えつけの籠に入れ、髪を纏め上げたサラは、いざ入ろうと温泉の入口のドアまでにくると、張り紙が目に入った。
    「『入る前に必ず読んでください』……へぇ〜! この温泉、タオル巻いて入ってもいいんだ!」
     親切にも入口近くの棚にタオルが設置しており、サラは一番上にあるそれを手に取って体に巻き付けた。
    「これでいいわね! さぁ、温泉〜!」
     露天風呂を楽しもうと、サラは機嫌良くドアを開ける。夜の冷たい空気に触れて、彼女は両腕をさすった。
    (少し寒いけど、これくらいなら露天風呂を楽しむのにちょうどいいかも…)
     暗さと湯けむりでほとんど見えなかったが、足元を照らす灯りを頼りにして進むと、石で作られた露天風呂が現れた。大きな石のお風呂にワクワクしたサラは、近くにあった手桶で掛け湯をしてから湯船に浸かり、ホッと息をつく。
    「暖かい…気持ちいい…」
     乳白色の湯を腕にかけて温まっているうちに、だんだん目が暗さに慣れてきて、岩風呂がまだ広いことを彼女は知った。
    (…もう少し、奥に行ってみようかな)
     湯船の中で移動すると、目の前に大きな影が現れた。岩だと思って避けようとすると、なぜか影が動き出して彼女にぶつかった。
    「きゃっ!」
    「あ! すみません!」
     こちらこそ、ごめんなさい! とサラは謝るも、相手の聞き覚えある声に顔を上げた。
    「え…? もしかして…トム?」
    「その声は、サラか?」
     相手をよく見ようと二人は、湯けむりの中で近づく。顔がよく見えるぐらい近寄り、お互い誰だかわかると…
    「わ…………」
     サラが驚きの声を出す寸前に、彼女はトーマスの大きな手で口を塞がれた。
    「うん、気持ちはすごくわかるが、ここは露天風呂。外湯だから、今ここでサラが大きな声出すと大変なことになるぞ?」
     わかるか? と聞かれて、サラはこくこくと頷いた。
    「今から三つ数えるから、深呼吸して落ち着くんだ」
     トーマスのかけ声と一緒に息を合わせて呼吸をして、ひとまずサラは落ち着いた。
    「なんでトムがここにいるの?」
    「それはこっちのセリフでもあるけど…思うにここは、混浴の露天風呂ってことだろうな」
    「こんよく……? え…」
     またもやサラが大きな声が出そうになるところを、トーマスが止めた。
    「……ごめんなさい、よく確認もしないで」
     サラは口を塞ぐ彼の手を取り、しょげて謝る。
    「気づかないのも無理はないよ。昼に入った温泉は観光客向けで、ここはきっと地元の人が入る大衆浴場なんだろう」
     俺だってわからなかったよとトーマスが慰めると、サラは落ち込んだ気持ちが少しだけ浮上した。
    「うん……ありがとう、トム」
     顔をあげて少しだけ微笑んで見せると、トーマスもホッとして頬が緩んだ。

     ここの露天風呂がどういう場所かわかりホッとしたが、しかしそれは束の間で、いつも会話が続く二人がだんまりになってしまった。
    (よく考えてみたら、私いまトムと一緒にお風呂入ってるのよね)
     まさかの展開に、サラは緊張で胸の鼓動が激しく高鳴り、
    (う〜〜ん……ここはやっぱり、俺が露天風呂から出て行くべきだよなぁ…)
     トーマスはこの状況をどうしようか、めちゃくちゃ頭を悩ませていた。
    「俺、先に出るからサラはゆっくり入っておいでよ」
     考えた結果、トーマスが彼女に背を向けて露天風呂から出ようと動く。
    (眼鏡が曇って、サラが今どういう格好なのかよく見えなくてよかった…)
     湯けむりのおかげで彼女の尊厳を守れたとホッとしてると、後ろから手をグイッと掴まれた。
    「待って、トム……もう少しだけ、一緒に入ろうよ」
     見ずに済んだと思ったタオルしか巻いていない彼女の格好を見てしまい、彼の中の紳士の心はポッキリと折れてしまった。
    「…………わかった」
    (その格好で懇願されて、抗える男はいないだろうよ…)
     内心では深くため息をついて、トーマスはまた湯船に浸かる。
    「ごめんね、他に誰もいないのはわかってるけど、怖くて……」
     夜で暗いしと訴える彼女に他意はない。ただ怖がりなだけだとわかり、トーマスは安心したと同時に少し残念にも思った。
    「そうか……だったら、これで少しは安心するかい?」
     トーマスは湯船の中で、サラと背中合わせになる。
     一瞬だけ互いの肌が触れ合って、サラはびくりと反応して肩をすくめる。しかし彼の背中の大きさに安心して、だんだんと肩の力が抜けていった。
    「うん……だいぶ気持ちが落ち着いてきたわ」
     ありがとうと彼に聞こえるように上を向いてお礼を言おうとすると、星がキラリと光って見えた。
    「ねぇ、トム! 上を見て! 夜空がすっごくキレイよ!」
     彼女の弾んだ声に促されて、トーマスも空を見上げる。
    「あぁ……これは、見事な……」
     二人の頭上では、今にも落ちてきそうな満天の星が輝いていた。
    「夜の露天風呂って暗いし、ちょっと怖いな〜って思ったけど、こういう楽しみがあるのね!」
    「そうだな。入ってみるまでわからなかったな」
     露天風呂からの絶景の星空を、二人は見飽きるまで堪能したのでした。
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    DONEウィルミントンでの夏の回想話です。

    仕事でウィルミントンのフルブライトに会いに来たトーマスとサラ。
    彼から新しくひまわり畑を作ったと話しを聞き、会談終わりに見に行くことにしました。

    ※ウィルミントンのひまわり畑は架空の設定です。
    ※恋人同士の設定です。
    向日葵迷路 秋が深まってきた頃――ピドナのトーマスカンパニーでは朝から仕事に追われていた。サラはトーマス社長宛てに届いた手紙を仕分けし、ひとつひとつ宛名を確認していると、フルブライトの名を見つけた。
    「トム、フルブライトさんから手紙が来てるわ」
     彼女に呼びかけられたトーマスは仕事の手を止めて、サラから手紙を受け取り封を切った。
    「前回話し合ったことの進捗報告だな。それと……?」
     手紙はもう一枚入っていた。内容を読んだトーマスは苦笑して、サラにも中身を見せた。
    「……この前のお礼だそうだ」
    「…あぁ、あのひまわり畑のことね」
     彼と同じく、サラも困り眉をして笑った。

    ✼✼✼
     ――それは夏も盛りの時期のこと、トーマスとサラはウィルミントンに仕事で訪れていた。打倒ドフォーレに向けて、同盟相手であるフルブライト商会と話し合うためである。会談は順調に進み、今後の指針もまとまったところで、彼らは紅茶を飲んで一息つく。この時の雑談で、ウィルミントンでは今年、新たな事業としてひまわり畑を作ったという話になった。
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