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    @color_alto_rs3

    作者:アルト
    サークル名:アルト茶房
    トムサラ中心の小説置き場。
    主にTwitterに投下した長文のまとめを置いてます。

    その他の作品はpixivにて
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    もう少しカップケーキを味わいたかったと言うサラに、トーマスはあることを思いつきました。

    投稿日:2022.10.06

    ##トムサラ

    たわむれ「ごちそうさまでした!」
     ラズベリーのカップケーキの最後の一口を食べたサラは、頬に手を当てて幸せそうにほぉ…とため息をつく。
    「せっかくトムが買ってきてくれたのに、もっと味わって食べれば良かったわ」
     先ほど途中まで急いで食べてしまったことを、サラは少し悔やんでいた。それを聞いたトーマスは、自分のケーキを食べようとしたが手を止め、あることを思いつき口角を上げた。
    「俺のを半分食べるか?」
    「え! 大丈夫よ、トム。私、そんなつもりで言ったんじゃなくて…」
     わがままに聞こえてしまったかとサラは慌てて訂正する。だが、トーマスは笑って首を横に振った。
    「いいよ、俺は半分で。これはサラが喜ぶだろうと思って、買ってきたものだしさ」
     遠慮しないでいいからとまで言われてしまい、サラは彼の厚意を受け取ることにした。
    「わかったわ。じゃあ、お言葉に甘えて…」
     おずおずとサラは小皿を彼の前に出すが、いくら待ってもケーキは皿に乗らない。
    「あの、トム…?」
     空っぽの皿からトーマスへとサラは視線を移すと、彼はサラの前にフォークで刺したケーキを笑顔で差し出した。
    「はい。どうぞ、サラ」
    「え? ……えっ」
     ケーキと彼の顔を交互に見て、サラは目を白黒させる。これって、つまりは――
     (この状態でケーキを食べるってこと??)
     いつも品行方正な彼が、まさかそんな行儀の悪いことをするとは思えず、サラは恐る恐る聞く。
    「あの……これは、このまま食べないといけないのかな?」
    「そうだけど、なにか?」
     なにか問題があるとでも? という態度で、トーマスはさっきよりもにっこりと微笑む。
     彼の返答にサラは口をぽかんと開けた。
    「えぇっと……」
     (トムはいったい何を考えているの)
     らしくない行動にサラは戸惑いを隠せない。
     (だってこれ、お口を開けてあーん♪ ってやつでしょ それに フォークはトムのだから、間接キスにもなっちゃう)
     付き合い始めてそれなりに恋人らしい行動も重ねてきたが、こういった戯れに彼女はいまだ慣れずにいた。答えはひとつ。目の前のケーキをパクリと食べるだけなのだが、羞恥心ですぐに行動に移せず、顔にかぁっと熱が集まる。ケーキは食べたい、でもとても恥ずかしいとサラが葛藤して悩んでいると……
     ――かわいいなぁ…
     この状況に、目の前にいる恋人は目を細めて彼女を眺めていた。出張から帰ってきたばかりの彼が一番やりたかったこと、それはサラと一緒に過ごすティータイムである。トーマスの至福の時間であり、例え今の態勢で腕が少し痺れようとも、まったく厭わなかった。ころころと表情が変わって飽きないなと、トーマスはフフッと小さな笑い声を漏らすと、サラは頬を膨らませた。
    「もう! トムったら、私のことからかって楽しんでるんでしょ?」
    「さぁ? それはどうだろうな」
     笑顔を崩さず否定も肯定でもない返事をすると、ムッとしたサラは席を立つ。
    「トムのイジワル…! 食・べ・ま・す・よ!」
     意地になり大声で宣言したサラは、フォークを握る彼の手を掴んで固定し、大きく口を開けてケーキを食べた。よく噛んで飲み込んだ後、手を離してソファーにすとんと座り、下を向いた。
     一連の彼女の行動に目を瞬かせたトーマスは、表情が見えなくなった彼女が気になり、覗き込むように窺う。
    「……で、どうだった?」
    「美味しい…おいしいんだけど…」
    「だけど?」
     ぽつりと溢した返答をトーマスに聞き返されたサラは、わなわなと肩を震わせ、勢いよく顔を上げた。
    「恥ずかしくって、味が全然わからないわ」
     彼女は耳まで真っ赤にして、そう叫んだのだった……

     ――翌日、二人はまた同じ店に出向き、改めてラズベリーのカップケーキを買うことになったのでした☆
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    DONEウィルミントンでの夏の回想話です。

    仕事でウィルミントンのフルブライトに会いに来たトーマスとサラ。
    彼から新しくひまわり畑を作ったと話しを聞き、会談終わりに見に行くことにしました。

    ※ウィルミントンのひまわり畑は架空の設定です。
    ※恋人同士の設定です。
    向日葵迷路 秋が深まってきた頃――ピドナのトーマスカンパニーでは朝から仕事に追われていた。サラはトーマス社長宛てに届いた手紙を仕分けし、ひとつひとつ宛名を確認していると、フルブライトの名を見つけた。
    「トム、フルブライトさんから手紙が来てるわ」
     彼女に呼びかけられたトーマスは仕事の手を止めて、サラから手紙を受け取り封を切った。
    「前回話し合ったことの進捗報告だな。それと……?」
     手紙はもう一枚入っていた。内容を読んだトーマスは苦笑して、サラにも中身を見せた。
    「……この前のお礼だそうだ」
    「…あぁ、あのひまわり畑のことね」
     彼と同じく、サラも困り眉をして笑った。

    ✼✼✼
     ――それは夏も盛りの時期のこと、トーマスとサラはウィルミントンに仕事で訪れていた。打倒ドフォーレに向けて、同盟相手であるフルブライト商会と話し合うためである。会談は順調に進み、今後の指針もまとまったところで、彼らは紅茶を飲んで一息つく。この時の雑談で、ウィルミントンでは今年、新たな事業としてひまわり畑を作ったという話になった。
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