未満の生命と踊れ うぶめの事
産の上にて身まかりたりし女、
其の執心、此のものとなれり。
其のかたち、腰より下は血にそみて、
其の声、をばれう、をばれうと鳴くと申しならはせり。
『百物語評判』
七海準一級術師が任務をこの言い渡されたのは、もうじき梅雨も明け、夏になろうかという時だった。今年の梅雨は梅雨らしく、しとしとと降るような雨が多く、湿気もある所為で不快指数が高かった。それでなくても呪術師はクソだ。天気位爽やかでいて欲しかった。今日は珍しく雨が降らず、一日中晴天、任務も定時前に完了したのに直後に新たな任務を言い渡され、これから出張の準備をしなければならない。今日はいいブランデーが手に入ったので飲みながら読書でも、と思っていたので台無しである。
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