兄さんが生きていれば兄さんがいなくなってから数年が経った。大人たちはもう兄さんは見つからないからと言って諦めている。僕は兄さんは生きてるって信じてるよ。
兄さんに会えなくても、どこかにきっといるんだから、それでいいんだ。生きているということが分かりさえすれば、みんな安心するんだよ。
水のように春のように、気づいたらいなくなっていてびっくりしたんだよ、兄さん。
兄さんの「希望」は何?兄さんにとっての「愛」って何?その中に僕がいなかったとしても、僕は兄さんが息をしているだけで嬉しいんだよ。
眠って、ときに起きてテレビを見て座ったりの普通の人生を送っているといいな。
兄さんが絶望の中にいるかは関係がない。僕は兄さんがどこかにいて、心臓を動かしていればそれでいいんだ。
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