死ぬなよ俺は、ギルが病院に運ばれたと聞いて直ぐに病院へ来た。だが、ギルはすでに仮死状態だった。
医者に言われたことといえば、目を覚ましても、歌えないであろうと。このまま眠るように死んでいくかの2択くらいだ。そんなのあんまりだろ。
サガ「おいギル、起きろよ……目を覚ませよ……」
もちろん目を覚ますはずもないが、目の前のギルをみて声をかけずにはいられなかった。
今日は満月だ。病室へと射す月の光に照らされているギルは、とても綺麗に見えた。
俺は月を見ていた。ギルがどんどん意識を失っていっていることなど知らず。
月を見ながら俺は気づくと泣いて眠ってしまった。この水がいつか、海のようになり、波を起こし沖まで流してくれるような。そんな夢だった。
人生において、過去や明日が全てだが、それらはすべて同じ時間だ。24時間の一日の繰り返しだ。
俺は現実逃避をしているのかもしれない。俺は全てを忘れたいという思いと同時に、ギルの全てを知ってしまった。
夢の中で誰かがささやいた。
ギルの寝顔が綺麗なのは、すこし死んでいるからだと。
俺は、そこで目を覚ました。