あなたは特別なので 公安とFBIの合同作戦会議。会議室の前方には、パソコンの画面を映し出す大きなモニター。そこには、明日、組織の人間が違法取引を行うとされている埠頭の地図が映し出されている。
皆の視線は地図へ集まっているが、赤井だけはずっと降谷から視線を逸らせずにいた。
自分の視線に気づいているのだろう。降谷は逃れるように席を離れ、モニターの隣に並ぶように立つ。
「僕の掴んだ情報では、取引時刻は午後十時頃。この構造の建物は、夜は特に物音が響きやすい……人員の配置は、取引場所からある程度距離を置いた方が良いでしょう」
マイクを通していないのに、降谷の声は明瞭でよく響く。迷いひとつ感じられない声だ。彼の頭の中では、明日の作戦のプランもすでに出来上がっているのだろう。
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