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    mizus_g

    @mizus_g
    パージクとたまにヴェラン 字書き

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    mizus_g

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    ワンライお題「指輪」(パージク)
    +0.5hくらい

    #パージク
    #パージク版深夜の創作60分一本勝負

    「手を出せ」
     唐突にそう言われて、ジークフリートは不思議に思いながらも両手を顔の前に出し、左右とも五指を拡げた。
    「こうか?」
     ろくに説明も無いまま何かを求めるなど、パーシヴァルにしては珍しい。彼に限って悪さをすることは無いであろうが、どういうつもりなのだろう。
    「そうではない。こっちだ」
     パーシヴァルは斜め向かいからジークフリートの両手を見遣りつつ、瞳を細めた。その手には何か小さな箱がある。表情は読みにくい。敢えて言えば、冷静そうに澄ました真顔だ。
    「それと、片手でいい」
    「ほう。なら、こうかな」
     左手をパーシヴァルのほうへと差し出す。ここまで言われてようやく、彼はジークフリートの手に何かを施したいのだと言うことに気がついた。彼らしくもなく言葉足らずなその求めの真相を楽しみに思い、ジークフリートは大人しく腕を出したまま静かに待つ。
    「これを――」
     手に持った箱の中から出てきたのは小振りで華奢な指輪だった。一見して女物のように見えるが、おそらく何か特殊な魔力の籠められたものであろう。その詳細が何であるのかはジークフリートには嗅ぎ取ることができないが、単なる装飾品というわけではなさそうだ。
     パーシヴァルはジークフリートの左手を取り、恭しいしぐさでその指輪を中指に嵌めようとした。しかし、明らかにサイズが合わない。小さくて指の頭すら入らない。そのサイズだと小指でも無理であるように見えるのだが、どういうつもりなのであろう。
    「……こっちにするか」
     中指を諦めたようで、薬指の頭に指輪の銀色が触れた。
     到底通りそうにもない小さな指輪がじわりと熱を持って発光し、白い光に包まれながら形を変える。膨らむようにして少しだけ大きくなった輪が薬指を通ってゆく。熱いように感じるのはこの不可思議な光のせいだろうか。悪い心地ではない。
    「これを、嵌めていろ。異国の教会で祈祷されたという聖なる指輪だ。邪気除けの効果がある」
    「なるほど。そういうことか。いきなりどうしたのかと思ったぞ」
     意図を理解したことで奇妙な緊張がほどけてゆき、ジークフリートは安堵した心持ちでパーシヴァルに微笑みかけた。しかし彼はまじめくさった真顔を崩さず、むしろ引き結んだ唇をへの字に曲げるようにしながらジークフリートの瞳をじっと見つめてくる。
    「危険な依頼にひとりで赴くと聞いた。身を守るためのものは持っていて損は無い」
    「団長に聞いたのか?」
    「手紙のやりとりの中で話題に出てきた。ちょうど、魔除けの指輪を売る行商人がウェールズに来ていてな。お前が近くに居るなら出立の前に渡したいと思ったまでだ。足労をかけた」
     薬指に収まった銀色の指輪は、壁のランプの光を受けてきらきらと光を反射させていた。魔法の作用するものだからなのか、初めに見た時とは形を変えて、今は男の指に嵌めてもそこそこ馴染むシンプルなデザインで指の根元を飾っている。
     きらめく銀色は濡れたような艶を備え、不思議な色気を放っていた。見た感じでは普通の銀や白金ではなさそうだ。ジークフリートはこういった装飾品についての知識は持たないため詳細はわからないが、仮に特別な素材ならば貴金属よりも高価ということだってあるのかもしれない。
    「しかし、すまないな。こういうのは結構値が張るだろう」
    「気にするな、対価は不要だ。お前が無茶ばかりするからせめて守護になるものを持たせておきたいと俺が願ってのことだ」
    「しかしな。貰いっぱなしと言うのも申し訳ない……」
     ジークフリートは己の薬指へ視線を落とした。魅力的な銀色に心を奪われるようにして指を揺らし、角度を変えながら光を当てて様々に煌めかせる。綺麗だ。パーシヴァルからの贈り物であると思うと、この指輪がここに嵌まっている限り彼の気配を感じることができるかのようで、うれしい――。
     指を持ち上げ、指輪の匂いを嗅ぐ。匂いは無い。あるいはほんの少しの金属めいた匂い。
    「……おい」
    「あ」
     声を掛けられ、我に返る。不躾だったかもしれないと反省して顔を上げると、パーシヴァルは特に不満そうでもなく、ただ少しだけ首を傾げてこちらを見つめていた。
    「すまん。品の無いことを」
    「匂いがするか?」
    「いや。お前の気配を感じられるかと少々期待はしたが、さすがにそんなことはないな」
     己の行動についてを説明しているうちに自分が変なことを言っているような気がしてきて、ジークフリートはそのまま言葉を重ねてゆく。
    「絆を結ぶために、契りの徴として指輪を贈る文化があるだろう」
    「……」
    「だから、お前に指輪を貰ったことが、なんとなく、嬉しいというか……くすぐったくてな。ああ、いや、深い意味はないんだが……」
    「……ジークフリート」
     言葉を遮られ、捕らえようとするかのような声に名を呼ばれた。
     ジークフリートは言葉を止め、息を呑み、パーシヴァルの視線に射止められる。なにか、もうすこし弁明を重ねたかったはずだったのに、かき集めた言葉は全て流れ出して散り散りになってしまった。
    「俺に指輪を贈られたいと願うなら、今度、もっとお前に似合うものを見繕ってやる」
    「……しかし、俺はもうこの指輪で満足している。幾つも貰ってしまうわけにはいかない」
    「俺が贈りたいだけだ。不要であれば受け取らんでも良い」
    「だがそのような無償の施しなど、……」
    「次は身を守るための道具ではなく、お前と絆を結ぶための指輪を贈ろう」
     強引に話を進められてジークフリートは気圧される。
     返す言葉をうしなうほどに真剣に見つめてくる瞳は赤い光が揺らめいて甘く鋭く美しい。火影のようだ。灼かれて溶けてしまいたくなる。
     言葉の意味が頭に入ってこない。何を言われているのかさえ理解できなくなってきて、ただ絡め取られて閉じ込められ、情熱じみたものに染め上げられていった。どこにも逃げられなくなり、喉が詰まったようにうまく息が吸えなくなる。胸が苦しい。つかまってしまっている、そういう気がする。深々と足を取られて、もう、何処へも。
    「楽しみにしているといい。その時を迎えるために、此度も必ず無事に戻れ」
     鷹揚なようでいてどこかぎりぎりの、瀬戸際のひたむきさを滲ませた声と言葉が感情に刺さってくる。高圧的な微笑にも真摯な切情が見え隠れしている。こんなに一生懸命に訴えられたらむげになど出来るわけもない。反抗の手段も逃げ道もないのだから、もはやどうしようもなく、ただ大人しく従うことしかできそうにない。
     それに、そういうことを自分自身も望んでいるような気がする。現に自分はパーシヴァルにもう一度指輪を嵌めてもらうときのことを想像して楽しみにしている――だから、パーシヴァルがそうしたいと望むのならば断る理由などひとつもないのだ。
     観念した心地で頷く。
     真っ直ぐに向かってくる赤い瞳を見つめ返すと、その綺麗な赤色の表面が僅かに潤んで、色白の頬に少々の赤みが差した。
    「……わかった。無事に戻る。その際にはもうひとたびこの邸に立ち寄ろう」
    「そうだ。それでいい」
     約束が成立した瞬間に緊張がほどけて空気がやわらぎ、つられるようにしてジークフリートも瞳の表面が熱く微かに濡れる感覚を味わう。年甲斐もなくどきどきしてしまった。パーシヴァルにばれていなければいいが。
    「ふふ……無茶はできなくなってしまったな」
    「当然だ。初めから俺はお前に無茶を許してなどいない」
    「俺の帰りを待っていてくれるか?」
    「無論。急ぐ必要は無い」
     パーシヴァルは深い優しさを奥に湛えた微笑を浮かべて手を伸ばす。その指先は、どこか魂が抜けたように佇むジークフリートのほうへと近づく途中で、ためらうようにして翻り、引いていった。
     離れてゆく指に縋るような視線を向けながら、ジークフリートは、触れて欲しかったと焦がれ望んでいる自らの想いに気づいてしまう。その感情は甘い思慕を多分に含んで濡れそぼっていて、気づいたが最後、手がつけられないほどに膨れあがって見たこともない色を撒きながら感情のうちのいちばん深いところに根を下ろしてしまうのだった。
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    mizus_g

    REHABILI去年の秋にいただいたリクエストというかシチュエーションで「去年のイベント後、ウェールズに帰るパに、見えない不安を隠して寂しい気持ちを持っているジ、寂しさを嗅ぎ取ってギュンとくるパ」というものだったのですが想定よりジが素直になった気がしないでもない……けど寂しがるジってかわいいなあ。
    だいぶ時間経ってしまいましたがその節はコメントありがとうございました!

    ※イベント後の出来事については捏造です
     アルバノルムの軍勢が国境近くへ侵攻しているという情報が入ってから、数日。フェードラッヘは陣を敷いた軍勢を下手に刺激することのないようにと国境よりやや手前に騎士団の一隊を展開した。迎撃するには規模の足りぬ小隊であったが、背後の駐屯地にはいつでも援軍を出せるようにと騎士達が詰めている。しかし、敵勢と思しき軍は国境の僅か手前でぴたりと進軍を止め、動きの無いまま既に三日が経過していた。こちらの出方を窺っているか、あるいは何らかの事情があるのか――いずれにしろ攻め入ってこない以上はこちらから仕掛けることに大義は無い。動くに動けぬまま、前線や駐屯地では初日の緊張感が薄れ始めているとのことで、明日になって夜が明けても動きが無いようならば騎士団長であるランスロットが国境に赴いて様子を確認するという予定になっている。
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    DONE「昨日の夢と今日の過ち」
    2021年3月21日全空の覇者17で配布した無料ペーパーに載せたものです。
    貰って下さった方ありがとうございました~!
    黒竜騎士団時代の話です。Rはつきませんが若干スケベです。
    夜も更けた薄暗い城内の廊下を、パーシヴァルはひとり、急ぎ足で宿舎の自室へと向かっていた。
     騎士団の皆はもうとうに寝静まっている。パーシヴァルはというと、黒竜騎士団の副団長に叙任されるにあたって必要な書類を揃えていたら思ったよりも時間がかかってしまい、気がついた時には辺りがすっかり暗く、静まりかえっていたのだった。
     複雑な仕事をしていたわけでもないのに無駄に時間が掛かったことには、理由がある。
     昨夜見た夢のせいだ。誰にも言えぬ、ひどく不埒な夢を見た。騎士団長のジークフリートと自分が何故か恋仲になっていて、ふたりでベッドに上がり、裸で抱き合う夢だった。
     奇妙なまでに五感の伴う夢で、自身で服を脱いだ彼が晒した素肌の色や、その艶めきの臨場感は今でも手に取るように思い出せる。夢の中のジークフリートはパーシヴァルの身体をベッドに押し倒し、自ら脚を開いて挑戦的にパーシヴァルを誘った。パーシヴァルは興奮して自制心をなくした状態にあり、晒された内腿の肉感に躊躇うことなく欲情した。その情動は夢のくせにあまりに強烈で、目が覚めて時間が経過した今も感情の内側に居座ったまま残ってしまっている。全裸の彼の 4494

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    DONEワンライお題「一緒に眠る」ふと、控えめなノックの音が響く。
     深夜の騎空艇に聞こえる音と言えば艇の駆動音と風の音ばかりであるのが常だ。空耳を疑い、パーシヴァルは耳を澄ました。しばらく返事をしないでいると、少し間を置いてからもう一度、コンコン、と微かなノック音が聞こえてくる。
    「入れ」
     時間が時間だ。こちらが就寝している可能性を考慮しての遠慮であろう。
     訪ねてきているのは、おそらく――。
    「……すまんな、夜更けに」
     開いた扉からジークフリートが姿を見せた。
     最近、時々こういうことがある。夜も更けてパーシヴァルが就寝しようとする頃、見計らったようにジークフリートが部屋を訪ねてくるのだ。今宵で三度目だ。今日は今までで最も時刻が遅い。
    「どうした。共に酒を飲む相手でも探しているのか」
    「いや……、それもいいんだが」
    「今宵は飲まんぞ。もう遅い。明日に響く」
    「酒はまた今度でいい」
     扉を閉めたジークフリートはその場に立ち尽くしている。パーシヴァルは軽く首を傾げて「どうかしたか」と尋ねてみた。
    「一緒に寝ても良いか」
     思わぬ事を請われる。
     パーシヴァルは顔を上げてジークフリートの目を見た。
    「……構わんが」
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    DONEワンライお題「二度目のキス」(時間オーバー)「何を舐めている?」
    「レモンキャンディ……だ、そうだ」
     風の無い夜だった。
     騎空艇の甲板で島々の夜景を眺めながら、ジークフリートはパーシヴァルの質問に対してやや舌足らずな発音で答えた。その口元は咥えた飴玉を転がすことに忙しいようで、喋っている最中にもしきりにうごめいている。
    「どうしたんだ、それは」
    「貰った。団員の土産だそうだ。個包装になったものが食堂に大量に積まれていてな、たくさんあったから俺もひとつ頂いてきたんだ」
    「……そうか」
     パーシヴァルは後ろめたさを抱えながら、ジークフリートの唇をちらちらと横目で盗み見ていた。彼の視線は艇の外、眼下の景色に注がれていて気づく様子は無い。
     まるく明るい月に照らされた唇の膨らみは品の良い厚みがあり、肉感を思わせるかたちをしている。ふっくらとしていて実に柔らかそうだ。それから、時折、チロリと覗く舌先が濡れた気配を纏いながら唇の表面を舐め、乾いた膨らみに少しの艶を添えてすぐに引っ込むしぐさをする。それがどうにも見ていて後ろめたい。見え隠れする舌が唇の合間を出たり入ったりするたびにパーシヴァルはなにか好ましくない衝動を持て余し、いったん視 2875

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    mizus_g

    DONEパージク版リミットフリー創作企画
    お題「黒竜騎士団時代」お借りしました
    パーシヴァルがまだ10代で、騎士団に入って間もないころを想定しています。もろもろ捏造と妄想設定を含みます。
    夕暮れに秘密をひとつ いくら扉をノックしても返事が無い。
    (明かりの消し忘れか……?)
     四度目のノックを終えた後、まるで反応の無い扉を前にパーシヴァルは途方に暮れた。
     団長ならば執務室に居るはず、と仲間から聞いたのはつい先程のことだ。まっすぐ寄り道せずに執務室にやって来たためそう時間は経っていないし、部屋の明かりがついているので当然在室しているものと思ったのに、居ないのであろうか。
     パーシヴァルは手にしている紙束へと視線を落とした。先にたまたま城内ですれ違った文官から「騎士団長に渡しておいてくれ」と頼まれた書類だ。まとめて紙袋に入れられているため何の書類であるのかはわからないが、おそらく次年度の入団試験に関するものであろう。最近、騎士団と関わりのある文官達がよく入団試験についての話をしている様子を見かける。団長であるジークフリートが中心となって試験のやり方を改革しようという試みがなされているらしく、文官達と揉めているようだ。
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    DONEワンライお題「眠れない夜」(2.5h)
     グランサイファーの甲板で夜風を感じながら星空を見上げると、幾らか心が平坦になるような感覚がある。
     ここのところ自分の感情は不安定で揺れがある、と、ジークフリートは感じている。騎空士として仕事を請け負ったり仲間とともに日常を過ごしたりするにあたって不都合は無いにしろ、上の空であるとか、ぼうっとしているだとか、そういう言葉で形容されても否定できない状態がもうここのところ暫く続いているように思う。
     原因は半分ほどわかっていて、中心となるのはパーシヴァルの存在だ。率直に言うと、ジークフリートはパーシヴァルのことが気になって仕方が無い。付き合いの長い相手であるのにどうして急にこのようなことになったのかはよく解らないのだが、パーシヴァルの振る舞いや言動には特に変化は無いと思う――ということは変化したのはジークフリートのほうであろう。関係性は変わっていない。強いて言えば、共に騎空艇に乗るようになってからはそれぞれ別々に行動していた頃に比べると随分と接触は増えた。艇内ですれ違えば言葉を交わすし、食堂で出会えばそのまま食事を共にすることもある。元よりの知己ということもあって団長より同じ依頼や仕事のメンバーに選出されることもしばしばであるし、接触が増えれば当然ながら親しさも増すもので、今では昔のように手合わせをしたり、たまに二人で買い物に出たり酒を酌み交わしたりすることもある。声を聞く機会も増えた。一時期よりもずっと気軽に、他愛のないやりとりをするようになった。よく話をするから、彼の最近の趣味や食べ物の好みも知っている。いま読んでいる本のことだとか、最近知り合って話すようになった団員が誰か、ということだとか。パーシヴァルの服が翻った時に微かに舞う匂いも覚えた。彼の、扉をノックする音が昔よりも落ち着いた上品なリズムに変化していると言うことも。先日降り立った街で買ったワインが気に入って取り寄せることにしたとか、最近は季節の果物を口にする機会が増えた、とかいうことも知っている。そう言えば、ふだん、比較的低く重みのある声音で話す彼が、最近ジークフリートの前では幾らか緊張の緩んだような多少丸みのある声で話すことが増えたように思う。だから、そういう油断をわざと誘いたくて食事の席で酒を飲ませようとすると、すぐにこちらの意図に気づいて俺を酔わせようとするなと怒り出す。いや、怒るというか、文句を言
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    mizus_g

    DONE5/4超全空で配布した合同ペーパーに載せたものです。
    テーマはおふとん……なのですが普通にベッドです。同衾ネタが大好きです。ユカタヴィラで布団で同衾も夢がある…
    貰って下さった方ありがとうございました!
    5/4超全空無配ペーパー 甘い気配が行き違う。
    「狭いか?」
    「……いや、平気だ。お前こそ窮屈ではないか?」
     手違いにより、今宵はジークフリートとひとつ床で眠ることになった。
     とは言っても、ベッドのサイズは男二人で入ってもそれなりに余裕があるものだ。彼の体温は感じるものの、寝具の取り合いをするほど狭いわけではない。
    「俺は大丈夫だ。すまないなパーシヴァル、俺の確認不足でこのようなことになってしまって」
    「構わん。ベッドサイズがこのくらいであれば、二人で眠るにしても差し支えはなかろう」
    「ああ、……そうだな」
     背中越しに伝わってくるジークフリートの気配が、もそり、と落ち着かぬ様子で身じろいだ。
     本日の夕刻、ジークフリートが予め手配してくれていた宿に到着してみると、通された部屋は大きなベッドがひとつ置かれたダブルルームであった。ツインの部屋に替えて貰えないかと交渉してはみたが今宵は満室で変更は難しいと言われてしまったため、仕方なしに彼と同じベッドで寝ることにしたのだった。
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