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    2022.11.30~12.1
    PL/PC……そると/東兄弟(陽太郎・惣太郎)
    https://ccfolia.com/rooms/yX8OUM4-5

    東兄弟会話ログ陽太郎:「……」
    惣太郎:「兄さん」
    陽太郎:「……」
    惣太郎:「兄さん!」
    陽太郎:「……む、何だ!!」
    惣太郎:「ひつまぶし、困ってるだろ。ボール投げたんなら、ちゃんと受け取ってやりなよ」
    陽太郎:「……ああ、そうだな!すまない!!」
    惣太郎:「……なあ、どうしたんだよ」
    陽太郎:「何がだ!どうもないが!!」
    惣太郎:「まさか。前々から思ってたけど……何かあっただろ。ずっとボーっとしてさ。最近うちにだって全然来てなかったし」
    陽太郎:「む!そんなに来てほしかったのか!全くお前も素直では……」
    惣太郎:「はぐらかすなよ」
    惣太郎:「……寿からも聞いてるよ。兄さんがずっと調子悪そうだって」
    陽太郎:「おや!寿君が!中々鋭い観察眼だ!!しかし大したことでは……」
    惣太郎:「観察眼も何も、兄さん、明らかに痩せたよ。というか、やつれた。ちゃんと食べてる?トレーニングも身が入ってないんだろ」
    陽太郎:「そう、だったか!いやはや、自己鍛錬を怠るとは、自分もまだ青いというものだな!!」
    惣太郎:「……」
    陽太郎:「何だ!!どうした!!」
    惣太郎:「いい加減にしろよ。無理して声張ってるのバレバレだし」
    陽太郎:「……」
    惣太郎:「なあ、本当に、何があったんだよ。兄さんがふさぎ込んでるとか、調子狂うんだよ」
    陽太郎:「塞ぎ込んで、などは……」
    惣太郎:「おれにも言えないようなこと?」
    陽太郎:「……」
    陽太郎:「……う、む。お前にも話すのは憚られる。お前に受け入れられるとは、到底」
    惣太郎:「そんなの……」
    惣太郎:「そんなの、話さなきゃわかんないだろ」
    陽太郎:「……」
    陽太郎:「……また、言われてしまったな……」
    陽太郎:「そう、だな。逃げては、いけない……」
    惣太郎:「……お茶淹れてくる。居間上がっといて」

    :───────

    惣太郎:「よっぽどのことがあったんだろ。……話せる範囲でいいから、教えて」
    陽太郎:「……」
    陽太郎:「……実は、警官を辞めようか、迷っている」
    惣太郎:「は?……なんでだよ。自衛隊、辞めてまでなりたかったんだろ。何を今さら……」
    陽太郎:「事の顛末を、大まかに話そう。自分が良いと言うまで、遮らず聞いてもらいたい」
    惣太郎:「……わかった」
    陽太郎:「自分は……麻衣花君に、無体を働いた」
    惣太郎:「ま、……」
    陽太郎:「……そうだ。お前の友人でもある、彼女だ」
    陽太郎:「無体と言うのは……性的な、ものになる」
    惣太郎:「……」
    陽太郎:「気が付いたら、二人で部屋に閉じ込められていた。そこには媚薬と銘打ったものが置いてあり……自分はそれを、飲んだ」
    陽太郎:「いや、そんなもの、信憑性に欠いた言い訳にしかならないが……」
    陽太郎:「それで、彼女を欲の捌け口にした」
    陽太郎:「こんなことをしておいて、警官など堂々と名乗っていられるものか」
    陽太郎:「……そのような訳だ。もう良いぞ。罵るなり、殴るなり、好きにすると良い」
    惣太郎:「……」
    陽太郎:「言葉も出ないか。……そうだろうな」
    陽太郎:「情けない兄で、すまない」
    惣太郎:「いや……状況が、飲み込めてないだけ」
    惣太郎:「だって……兄さんが、理由なしにそんなことするはずないだろ。それも、麻衣花ちゃんに」
    陽太郎:「したんだ」
    惣太郎:「だから……」
    陽太郎:「身内贔屓だ。お前は兄を美化しすぎている」
    惣太郎:「じゃあ、ひいきになる理由をちゃんと説明しろよ」
    陽太郎:「……」
    惣太郎:「気づいたら変な場所に、っていうのは前話したけど、おれも何度か。それは置いておくとして……媚薬?そんなもの、本当にあるわけ?」
    陽太郎:「……自分も、あるはずがないと高を括っていた」
    惣太郎:「なんで飲むんだよ、そんな怪しいもの」
    陽太郎:「そうしなければ、出られなかったんだ」
    惣太郎:「は?」
    陽太郎:「媚薬を100本飲まないと出られない……そんな馬鹿げた文言があった」
    惣太郎:「なにそれ……というか、100本?全部兄さんが?」
    陽太郎:「ああ。……毒物だといけない。警官として麻衣花君を守ろうと、浅慮のまま……結局、真逆の結果になったが」
    惣太郎:「……その間、麻衣花ちゃんの様子は?」
    陽太郎:「……理性が利いていなかった以上、自分でも真偽を疑っているが……進んで、事に及ぼうとしていたように見える。……うむ、しかし……」
    惣太郎:「……!あの子は……じゃあ、兄さんから手出ししたわけじゃないってこと?」
    陽太郎:「……いや、分からない。違うかもしれない」
    惣太郎:「なんでそんなにあやふやなんだよ……」
    陽太郎:「こういった事件は、犯人が合意だと勘違いしていることが多い。今回もそのケースである可能性は高いだろう」
    惣太郎:「……」
    惣太郎:「……その後、麻衣花ちゃんとは会った?」
    陽太郎:「いや……」
    惣太郎:「じゃあそれって、あの子に話聞いてから判断した方がいいんじゃないの?」
    陽太郎:「……自分と会って話させたら、嫌な記憶を呼び戻すことになるだろう」
    惣太郎:「いやいやいや、何言ってるんだよ。一番大事なやつだろ、本人への聞き取りって。おれの仕事だってそうなのに……」
    陽太郎:「しかし……」
    惣太郎:「……兄さん、そんなに自分の責任にしたいわけ?そもそも一番悪いのって、部屋閉じ込めたやつだろ」
    陽太郎:「……そうするしか、ないだろう。あの部屋も忽然と消えてしまった。物的証拠無くして、拉致監禁の犯人が見つかるはずもない」
    陽太郎:「残っているのは自分が彼女を犯した、その事実だけだ」
    惣太郎:「そうだとしてもさ……麻衣花ちゃんが合意だった可能性だって、ちゃんとあるだろ」
    陽太郎:「どうしてそうなる」
    惣太郎:「だから、聞かなきゃわかんないんだって。立証できないから、自分のせいにしたいから、麻衣花ちゃんの話聞いてないんじゃないの?」
    陽太郎:「ではお前は何だ、麻衣花君の責任にしたいとでも言うのか」
    惣太郎:「違う。麻衣花ちゃんのせいでも兄さんのせいでもないのに、兄さんはとにかく自分のせい、自分のせいって。それが間違いだって言ってるんだよ」
    陽太郎:「……」
    惣太郎:「……さっき、警官として守ろうとしたって言っただろ。じゃあ警官として話、聞かないの?」
    惣太郎:「それってさ、麻衣花ちゃんに思い出させたくないからじゃなくて、兄さんが思い出したくないだけだろ」
    陽太郎:「む、……」
    惣太郎:「また黙る。まったく無責任なこと言いたくないのも、思い出したくないのもわかるけど……それって、なんか、なんというか……」
    惣太郎:「……」
    陽太郎:「……臆病、か?」
    惣太郎:「……」
    陽太郎:「違うか?」
    惣太郎:「……そう、だな。いや、なんか、兄さんのイメージと遠すぎて。そんな言葉、出てこなかった」
    陽太郎:「先日……人に言われてな」
    惣太郎:「……すごいな、その人。他なに言われたの?」
    陽太郎:「身勝手だ、とも言われた」
    惣太郎:「身勝手?兄さんが?」
    陽太郎:「ああ。自分でも、納得はしている」
    惣太郎:「そんな……だって、兄さんはいつだって、他の人のために行動してるだろ」
    惣太郎:「ああ、そうだ。兄さん、この前鵜野さんと会ったんだろ。鵜野さんが、お礼伝えてくれって」
    陽太郎:「は?」
    惣太郎:「……詳しくは言ってなかったけど、お兄さんに助けていただいた、本当に感謝しておりますので、って……ほんとに身勝手な人なら、わざわざ感謝の連絡なんてされないだろ」
    陽太郎:「……」
    陽太郎:「違う」
    陽太郎:「それは感謝などではない。皮肉の類だろう」
    惣太郎:「はあ?何言ってるんだよ、流石に卑屈すぎるだろ。鵜野さんは真剣に……」
    陽太郎:「いや。自分は彼に感謝などされるべき立場ではない。絶対に」
    陽太郎:「……バスで起こった、痴漢の案件に関わってな。自分は端から、彼を犯人だと決め付けてしまった」
    陽太郎:「些細な証言や証拠から、彼を容疑者だと思い込んで、責め立てた」
    惣太郎:「……」
    陽太郎:「衣服と関係者の手に鑑定を掛けたら、犯人は鵜野君を突き出した者だと判明した。その犯人も、最終的に自白した」
    陽太郎:「つまり……自分は勝手な偏見で、彼に酷い言葉を浴びせ掛けたんだ。それも、無体を働いた自分を勝手に投影して」
    陽太郎:「そんなもの、身勝手以外の何物でもないだろう」
    惣太郎:「……気に病まれているようでしたら、って、そういうことか……」
    惣太郎:「おれ、鵜野さんにはよくお世話になってるからわかるけど……少なくとも、皮肉ってことはないだろ」
    陽太郎:「……」
    惣太郎:「あの人天然というか、謎に屈強というか……変わってるとこあるし……本当に気にしてないと思うんだよ」
    陽太郎:「しかし……」
    惣太郎:「またそれ。他人の気持ち勝手に想像して、確定して、物言ってさあ……」
    陽太郎:「……ああ、そうかもしれないな。それを、身勝手だと言われた」
    惣太郎:「……」
    惣太郎:「本当にすごいな、何でもお見通しか……」
    惣太郎:「……で、指摘されておいて、まったく改善されてないわけだ」
    陽太郎:「……すぐには、難しい。自分が悪の可能性は大いにある。それなら、少しでも事態が正しい方向に進むよう、自分が尽力するのが最善だろう」
    惣太郎:「……」
    惣太郎:「あのさあ……正しい方目指すのはいいけど……ちょっと正義にこだわりすぎじゃない?」
    陽太郎:「善を目指すことが悪だと言うのか?」
    惣太郎:「……言い方変えるか。前々から思ってたけど……正義の味方みたいなキャラ、作りすぎなんじゃない?」
    陽太郎:「自身を偽っているつもりはないが」
    惣太郎:「偽ってるというか……さっきから、正義がどうとか、警官として何だとか……警官じゃなかったら、麻衣花ちゃんに薬飲ませたの?話聞かなくていいの?」
    陽太郎:「それは……」
    惣太郎:「ずっとちぐはぐなんだよ。都合の良い時だけ正義の警官ぶって、変なとこで尻込みしてさ」
    陽太郎:「……すまない。情けない限りだ」
    惣太郎:「謝ってほしいんじゃなくて、なんていうか……警官だから、で区別して片そうとするの、やっぱりおかしいだろ」
    惣太郎:「自分の呼び方とか、特にそうだろ。自衛隊入って自分呼びになったと思ったら、転職して今度は本官……」
    陽太郎:「それは自分なりのけじめというものだ。お前こそ、外では一人称も口調も使い分けるだろう」
    惣太郎:「おれは子ども相手なんだから当然だろ。兄さんは見栄張りすぎなんだよ。声張って、大仰な喋り方して、『自分が来たからもう安心だ』って……」
    惣太郎:「大昔に見た戦隊ものの真似だろ、それ」
    陽太郎:「……精神が幼いままだと、そう言いたいのか?」
    惣太郎:「……」
    陽太郎:「それに、今その話は関係ない。馬鹿にしたいだけなら、この話は終わりだ」
    陽太郎:「……お前などに話した自分が馬鹿だった」
    惣太郎:「……!!」
    惣太郎:「ふざけるのも大概にしろよ!!さっきからずっと違う、全然違う!!」
    陽太郎:「っ、……」
    惣太郎:「正義だとか警察だとか、どうでもいいだろ!!全部!!」
    陽太郎:「どうでもいいだと……!?」
    陽太郎:「それの、それの何が悪い!!」
    陽太郎:「自分は正義に憧れている、だからそれを目指すのみだ!!お前は自分の志を侮辱するのか!!」
    惣太郎:「だって!!」
    惣太郎:「だって、兄さんはずっと兄さんなのに!!」
    惣太郎:「このまま自分が正しくありたいからって、そんな度胸もない臆病者のくせに、警察辞めようとか言ってるわけ?また、おれの知ってる兄さんじゃなくなるわけ?」
    陽太郎:「……」
    惣太郎:「兄さんはそのままで、十分……十分、なのにさ。別のものになろうとしてばっかりで、自分のことそっちのけにして……だから空回るんだよ」
    惣太郎:「麻衣花ちゃんとのこともさ。警察としてむやみに責任負うんじゃなくて……兄さん自身が何を思ってて、今度からどうしたいのか、話さなきゃだろ」
    陽太郎:「警官としてではなく、自分として……」
    陽太郎:「……難しい、な。何分、麻衣花君の前では常に、警官として振る舞い続けてきたからな……今更、ではないだろうか」
    惣太郎:「そんなことない。今から変えたって、遅くはないだろ」
    陽太郎:「ではどうする。何から、どう変えていけばいい」
    惣太郎:「それ、おれに聞くの?……自分の呼び方からとかで、いいんじゃない?」
    陽太郎:「一人称から、か」
    惣太郎:「確か、自衛官になってからだったろ。自分のこと、自分って呼び始めたの」
    陽太郎:「そう、だっただろうか。……よく覚えているな」
    惣太郎:「当たり前だろ、生まれた時から一緒なんだから」
    陽太郎:「……」
    惣太郎:「なあ、今からでも遅くないからさ。……それだけでも、元に戻したら?口調は結構小さい頃からだし、難しいかもしれないけど」
    陽太郎:「一人称を戻して、何か……意味があるのだろうか」
    惣太郎:「少なくとも、兄さんが元の兄さんでいてくれた方が、おれはいい。おれにとっては、意味ある」
    陽太郎:「……そう、か」
    惣太郎:「それに、小さいとこから戻していけば……警察としてじゃなくて、ちゃんと兄さんとして考えられるようになるだろ。すぐに」
    陽太郎:「……人生の半分以上使っていた一人称を、この歳になって捨てるか……夢にも思わなかったな。中々、時間がかかりそうなものだが」
    惣太郎:「すぐ慣れるだろ。実際、今までコロコロ変えてきたんだから」
    惣太郎:「おれが言うんだから、間違いないよ」
    陽太郎:「……ふ、そうかもしれないな」
    惣太郎:「……」
    陽太郎:「うむ。分かった。初心に帰って、自らの意のまま考えてみることにしよう」
    惣太郎:「考え直したら、ちゃんと話つけてきなよね」
    陽太郎:「ああ」
    惣太郎:「あ、ひつまぶし、またボール持ってきてる。……遊んでほしいってさ。身体、動かしてきなよ」
    陽太郎:「……そうだな!」
    陽太郎:「……よし、ひつまぶし!!ドッグランにでも行こう!!最近連れて行っていなかったからな!!!」
    惣太郎:「え?今から?」
    陽太郎:「うむ!!!思い立ったが吉日だ!!!ひつまぶし、一度キャリーに戻れ!!!ハウス!!!」
    惣太郎:「……やっぱそこは、変わんないのか……」
    陽太郎:「惣太郎!!!」
    惣太郎:「なに」
    陽太郎:「ありがとう!!!お前の意見は、特にしっくり来るな!!!」
    陽太郎:「やはりお前は、俺の、自慢の弟だ!!!」
    惣太郎:「!……」
    惣太郎:「はいはい、知ってるよ」
    陽太郎:「ハハハ!!!そうか!!!……よし、行くぞひつまぶし!!!」
    惣太郎:「ん、行ってらっしゃい」
    陽太郎:「ああ!!!行ってくる!!!」
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