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    CoCシナリオ「ネコガミサマ」背景・シナリオ本文***シナリオ背景***


    【依頼人】

     このシナリオで「猫探し」の依頼をしたのは2人。
     1人目は高橋さん。42歳主婦。愛猫のアルバート(♀)を溺愛している。掃除で窓を開けている時、うっかり外へ逃げられてしまった。陽太郎とは顔見知りで、彼を町のお巡りさんとして深く信頼している。
     2人目が怪しげな若い男性。彼が探していたのはカルト信者の魂の入れ物として生み出したネズミ怪物である。信者の死体に黒魔法をかけて生み出されたそれは、ふとした隙をついてカルト教団施設から逃げ出し、あろうことか住宅街に迷い込んでしまった。
     彼はそんなネズミを探してこいと適当に駆り出された新人信者。土地勘もないわ見つけ方も捕まえ方もわからないわで、途方に暮れていた。道をボンヤリトボトボ歩いていると、陽太郎に話し掛けられ、こんな感じの会話をすることに。

    「君!!!この辺りで白い猫を見なかったか!!!」
    「猫?見てませんけど……」
    「そうか!!!ところで君、どうした!!!なんだか浮かない顔をしている様に見えるが!!!」
    「……自分も、ネ……いや、探し物をしていて」
    「もしかして、君も猫探しか!!!」
    「……、……そうです、猫です。これくらいの大きさで、暗い灰色をしてて」
    「小さいな!!!子猫だろうか!!!」
    「ま、まあそんなところです」
    「よしわかった!!!俺に任せなさい、その子も俺が見つけ出してみせよう!!!猫の名前はなんと言う!!!」
    「えっ?名前……名前?は……ない、です……」
    「ナイ君か!!!了解した!!!」
    「……」

    人の話はちゃんと聞けっつってんだろ。

    そんなこんなで猫を探すが、陽太郎がデケェ声で名を叫び続けていたため完全に怯えて出てこなかった。たまたま通りかかった寿を猫探しに引き込んだのち、探索者たちと出会う。

    ちなみに、高橋さんが神社で猫に群がられたのは、アルをおびき出すためのまたたびや餌、ちゅーるなどを持っていたため。


    【アルバートとネズミ怪物】

    住宅街で迷子になったアルバートとネズミ怪物は、道路で鉢合わせ、追いかけっこをしていた。その中でアルバートは不気味な人面ネズミを必死に威嚇。ネズミ怪物も危機を感じ必死に威嚇。寿が撮影したのはそのシーンである。
    その後、アルバートはネズミ怪物を大した脅威でないと判断。おもちゃにし始める。
    ネズミ怪物は脇道まで逃げ込むが、アルバートのちょっかいはヒートアップ。野生本能が刺激されたのか、爪を出し、軽く噛み付いたりも。口元や手元に血が付いていたのはそのため。
    もしここでPC全員がちゅーるを使っていれば、ちゅーるの誘惑に惹かれてネズミ怪物の元から離れていた。

    もしPC全員がちゅーるを使っていなかった場合、アルバートはネズミ怪物をいじめ続ける。
    いよいよ身の危険を感じたネズミ怪物は、そこで反撃。猫の首元に食らいつき、溜まりに溜まった鬱憤を晴らしにかかったのである。そして食らい殺すに至っていた。



    ***シナリオ***



    【はじめに】
    ・猫にどうやってアプローチするか細かく教えてくださいと宣言(ちゅーるの使用・不使用を見極めるため)。どうやって猫を手懐けようと頑張るか見たいとか言っておく。
    ・茅峰さんと璃桜さんはたまたまそばを歩いていたということにしておく

    【導入】

    CoCシナリオ「ネコガミサマ」開始します。

    ─────
    ───


    木枯らしが吹き付ける寒空の下、あなたたちはとある住宅街を歩いている。衣服に首を埋め、足早に道を進んでいると、何かが目の前を通り過ぎるのが見えた。

    (目星)
    失敗→よくわからないが、動物だったように思う。
    成功→白い動物が、灰色の動物の後ろに続いて走っていったような気がする。

    少し歩みを進め、先程駆け抜けていったそれを忘れ去ろうとしたその時、制服姿の男性があなたたちに大声を掛けてくるだろう。

    「そこの君たち!!!少し良いか!!!この辺りで猫を見なかっただろうか!!!」
    「……む!!山茶花君ではないか!!また会ったな、おはよう!!」
    「実は、猫探しの依頼が2件入っていてな!!!灰色の猫と、白色の猫なんだが!!!些細な情報でも構わない!!!何か知っていれば教えてくれ!!!」
    (見たという発言)
    「む!!!そうなのか!!!もし時間があれば、そこまで案内してくれないだろうか!!!」
    (歩きながら話す)
    「俺はどうも、愛犬以外の動物に近付かれないらしくてな!!!ずっと探し回っているのだが、姿ひとつ見えない!!!なぜなのだろうな!!!」
    「1件目は1歳にも満たない、暗い灰色の子猫だそうだ!!!2件目は5歳の白猫で、赤い首輪を付けているらしい!!!」

    あなたたちが目的地に着いた頃、ビニール袋を下げた茶髪の青年が、こちらに向かって声を掛けてきた。

    「いたいた、陽太郎さん!これ頼まれ物です。猫缶とちゅーる」
    「寿君!!!ありがとう!!!助かる!!!」
    「行きにそれっぽい猫見かけましたよ。2匹一緒の……遠かったしめちゃ警戒してたっぽいんで、ボケボケの写真撮るしかできなかったんすけど」
    「おや!!!十分な手がかりだ、ありがとう!!!面倒をかけてしまってすまない!!!」
    「全然いーすよ。猫の尻追っかけ回すの趣味なんで。……あ、ども。陽太郎さん、この人ら、知り合いですか?」
    (寿がPCに挨拶する。軽くRP。)
    「……で、猫の話に戻りますけど。これ、探してるやつらじゃないですか?お二人も、こんな感じの奴ら、見ませんでした?」

    寿はスマートフォンを取り出し、あなたたちの前で写真フォルダを開いて見せる。
    (茅峰さんのみ目星)
    一瞬見えたスマートフォンのホーム画面が、恋人の描いた絵だったことに気が付く。

    彼のスマートフォンには、住宅街の道路の写真が表示されていた。最大限拡大して撮ったのか、被写体はぼやけている。とはいえその真ん中には、2つの塊が映っているのがわかるだろう。

    (目星)
    失敗→白い方は成猫、灰色の方は子猫なのか、大きさが違うように見える。
    成功で追加→2匹とも背中の部分がやたら盛り上がっているように見える。お互い威嚇し合っているようだ。

    「ふむ!!!寿君、この子たちに見覚えはあるかね!!!猫違いで捕まえてしまうといけない!!!」
    「や、この辺に真っ白の野良はいないんで……このグレーのも(子猫っぽいんで最近生まれたのかもしれませんけど、)見ないですね。腹の白いサバトラならいますけど、全身グレーってなると知らないす」
    「ではその2匹かもしれないな!!!寿君、早速探しに行こう!!!君たち、協力ありがとう!!!」
    「……2人で探すんすか?」
    「おや!!!失礼!!!君の都合もあったな!!!では俺1人で……」
    「や、俺は手伝ってもいいんですけど……陽太郎さんが隣ででけー声出すから、俺までちょっと怯えられてんすよ。さっきなんか、顔馴染みの猫にもシャーって……」
    「そうだったか!!!すまない!!!」
    「謝るんならもうちょっと静かにしてくださいよ〜……多分、俺たちじゃ触れもしませんよ」
    「……ね、2人とも時間あったりします?一緒に探してもらえないかなー、なんて」
    「む!!!他人をこれ以上、業務に巻き込むわけには……」
    「俺、猫好きなんでどうしてもほっとけないんすよね〜。陽太郎さんだって見つけたいでしょ?」
    「まあ、大切なペットがいなくなるのはさぞ不安だろうからな!!!早く見付けるに越したことはない!!!」
    「ね。まあ、これは俺のワガママす。付き合ってもらえませんか?」
    (付き合ってもらう)
    「やった、ありがとうございます!あ、俺、寿って言います。寿敬一」
    (RP)
    あなたたちは早速交番前から移動し、猫探しを始めることだろう。
    (陽太郎や寿に聞きたいことがあればここで聞けると伝える。)
    ・白い猫の名前はアル。灰色のはナイ。
    ・飼い主は中年女性の高橋さん(白猫)と、若い青年の佐藤さん(グレー猫)。高橋さんと陽太郎は顔見知り。

    (※寿に猫がいる場所・いそうな場所を聞いた場合)
    「え?そうだなー……3丁目に神社とか寺とか、ちょっと固まってるとこあるじゃないすか。そのへん静かなんで、猫だまりスポットなってますね」
    「む!!!そうなのか!!!俺はあまり見たことがないが!!!」
    「ご近所にあんなでけー声で挨拶してたら、そりゃ逃げますよ」
    「そうか!!!ははは!!!」
    「……今日は会釈にとどめてくださいよ?神社とか寺入ったら、喋んないでください」
    「うむ!!!善処しよう!!!」
    (そこに行くという宣言)
    あなたたちは寿と陽太郎の先導のもと、寺社の集まった地域に向かうことだろう。
    足を踏み入れると、確かにそこは車の音や人の話し声も少なく、しんと静まり返っている。
    (目星)
    日の当たる墓石の上で、サバトラ柄の猫が寝ている。
    (寿成功or存在を教える)
    それを見た寿は、呆れ笑いを浮かべながらサバトラ猫に近付いた。
    「あー、お前……またここにいやがった」
    「ここ日当たりいいからな、気持ちはわかるけど……知り合いの、大事な人の墓だからさ。あんま寝床にすんなよな」
    そう言って寿はサバトラ猫を小突くと、小脇に手を入れて持ち上げた。されるがままのサバトラ猫は、あくびをしつつ下半身をてろんと落とす。
    猫は猫のばしを食らいながらも、寿の上着のポケットのあたりをかりかりと引っ掻いた。ポケットから覗いているのはちゅーるのパウチである。
    「……あ、こら。目ざといな。これはお前にはあげらんねーよ」
    「野良でもちゅーるの美味さ知ってんすかね、ホント猫ホイホイすよ。……あ、二人にも渡しておきますね」
    (ここでPC全員がちゅーるを受け取れる。)
    寿はサバトラ猫の喉元を軽く撫でてやると、こちらに話し掛けてくる。
    「あ、触ります?こいつ大人しいんで、引っ掻いたり噛んだりしませんよ」
    (RP)

    (聞き耳)
    成功→女性のすすり泣く声が聞こえる。

    泣き声の方に向かうと、40代くらいの女性が、神社の本殿に向かって泣きながら手を合わせているのがわかる。女性はこちらに気が付くと、慌てて涙を拭った。

    「あら、東さん……お恥ずかしいところを」
    「おや!!!君はアル君の……」
    「陽太郎さん、声」
    「う、うむ!……今、アル君を捜索中でな!この三人にも手伝ってもらっている!」
    「まあ……私とアルのために……ありがとうございます。私もずっと探しているのですが、見つからなくて……つい、神頼みを」

    RPによって、飼い主からは以下の情報を聞き出せる。
    ・ちゅーるに目がない。
    ・狭いところが好き。
    ・動くことが好きなので、もう自分が見た場所にいるかもしれない。
    ・気が強い子なので、よその犬猫と喧嘩をしていないか心配。

    (RP)

    気が付くと、いつの間にかあなたたちを7〜8匹の猫が取り囲んでいた。彼らはにゃあにゃあと○○の足元にすがりつくだろう。(※ちゅーるを持っていると宣言した人のみ)

    「……もしかして、応援してくれてるのかしら。ありがとう。ありがとう……」

    あなたたちは寺社周辺を探すが、これといった手がかりは見つからなかった。


    【交番出発時点で特に提案がない場合】
    左右どちらかに進める。
    右に進みますか?左に進みますか?
    (どちらの方に進んでも同じ。「本当に右(左)でいいんですか?」とか聞いて惑わす)


    分岐。
    (陽太郎or寿からちゅーるを受け取り、PCが2人ともちゅーるを使用した場合
    →アルがちゅーるに誘き出され、ネズミ怪物を追いかけるのをやめる。エンド1ルート。

    ちゅーるを受け取っていないPCがいる場合
    →アルがネズミ怪物を追いかけることをやめず、ネズミ怪物の逆襲に遭う。エンド2ルート。


    【エンド1ルート:アルをちゅーるでおびき出したことで、襲われていたネズミ怪物が逃げる】

    (RP)
    あなたたちが、寺社のある地域を抜け、きょろきょろと辺りを見回している時だった。
    細い脇道の方から、にゃあ、と楽しげな声が聞こえた。
    (見ますか?と聞く)
    そちらに目を向けると、そこには1匹の白い猫がいた。足元がうっすら汚れた白猫は、あなたたちを振り向くような形でゆっくりと尻尾を揺らしている。
    「!!!アルく」
    「しっ」
    「陽太郎さん、黙ってて。逃げちまう」
    「む、」

    (RP。どのようにおびき出すか聞く)

    【ここでちゅーるを全員使わなかった場合、エンド2ルートへ。】
    以下エンド1。

    シークレットダイス:茅峰さんと璃桜さんのどちらのちゅーるに食いつくか。schoice[茅峰さん,璃桜さん]

    あなたたちは全員でちゅーるを差し出しながら、白猫に呼びかける。
    寄ってたかっておやつを見せびらかしてくる人間たちに、白猫はしばらく躊躇するような素振りを見せていたが、ちゅーるの魅力には抗えなかったらしい。白猫はゆっくりとこちらに歩み寄って来たかと思うと、〇〇のちゅーるに食いついた。〇〇がすかさず抱き上げても白猫は抵抗せず、ただちゅーるを欲しがり続けることだろう。
    「とりあえず見つかってよかったなー。……あ?なんだこれ?」
    寿は一瞬眉をひそめ、白猫の顔を指でなぞる。〇〇の腕の中で幸せそうにちゅーるを舐める猫の口元には、赤黒い液体のようなものが少量付着していた。

    「血……?ケガしてんのか?ぱっと見、傷っぽいのねえけど……動物病院連れてった方がいいかもしれないすね」
    「うむ、そうだな!!!すぐ飼い主を呼んで伝えておこう!!!」

    (目星)
    全員失敗→そのままエンド1へ。

    成功→陽太郎の声に反応してか、何か灰色の塊がよろよろとうごめき、脇道の奥の方に向かって行った。
    (RP)
    脇道は細く、ようやく人ひとり入れるといった程度であろう。あなたたちはその影を追いかけようとしたものの、そこらを転がる空き缶や室外機に阻まれ、すぐにその姿を見失ってしまうだろう。
    戸惑うあなたたちの足元には点々と、赤黒い染みが残されていた。
    (目星)
    赤黒い染みは足跡になっているが……少なくとも、猫のそれではないような気がする。
    (生物学)
    大きなネズミの足跡なのではないかと思う。
    (辿るという宣言)
    赤黒い染みは排水溝のあたりで途切れており、これ以上は追えそうにない。

    (交番に戻る)

    交番に戻ったあなたたちは、ひとりの青年が、こちらをじっと見つめていることに気が付くだろう。

    「……おや!!!君は!!!」
    「遅くなってすまない!!!君の子猫もすぐに捜索しよう!!!」
    「……いや、もういいんだ」
    「む!!!?」
    「あいつなら、もう回収できた。手間を掛けたな」
    「何!!!見つかったのか!!!それは良かった!!!」
    (目星)
    彼が手にぶら下げている麻袋から、ところどころ赤黒いものが染み出しているように見える。
    「……君!!!その袋を少し見せてもらってもいいだろうか!!!何、念のため確認するだけだ!!!」
    青年は一瞬躊躇ったような素振りを見せたのち、陽太郎の前に麻袋を差し出す。陽太郎はそれを受け取ると、口を広げて中を覗き込んだ。
    「…………」
    「……!!!」
    陽太郎は顔を引きつらせ、麻袋の中身と青年の顔を交互に見比べている。
    青年は怪しげな笑みをひとつ零して言った。
    「……何、作り物ですよ。ちょっと精巧な『ぬいぐるみ』です。よく言われますよ、趣味悪いって
    「……そう……か。そう、だな!!!作り物だろうな!!!すまない、少し驚いてしまっただけだ!!!」
    「はは。びっくりさせちゃってすいません。では」
    「ああ!!!気を付けたまえ!!!」
    (PCが中身を見たがった場合、陽太郎が止める)
    「陽太郎さん?どうしたんすか?あの袋、なんかヤベーもん入ってました?」
    「なに、君が気にすることではない!!!世間にはああいった趣味の者もいる!!!」
    「んー……?まあ東家の人が言うと、説得力ありますけど……」

    あなたたちが話していると、ひとりの女性がこちらに走り寄ってきた。陽太郎の連絡を受けて飛んできたらしい女性は、白猫を抱きしめ頬擦りをすることだろう。

    「ああ、アル、アルバート……!!良かった……!!ごめんね、ママが窓を開けっ放しにしたから……」
    「東さん、本当にありがとうございます。この子に何かあったら私は……」
    「うむ!!!役に立てて何よりだ!!!……と言いたいところだが、俺は大したことはしていない!!!彼と彼女が手伝ってくれてな!!!礼ならこちらに頼む!!!」
    「まあ、あなたたちまで……ありがとうございます。感謝の言葉などでは足りないくらいで……」
    「あの神社……3丁目の神社は、猫ちゃんと縁でもあるのかしらね。アルが見つかりますようにってお願いしていたら、野良猫ちゃんたちが集まってきて……」
    「まるで、アルと私に、がんばれって言ってくれてるみたいで。本当に見つかりましたし、あそこの神様は、大変な猫好きなのかもしれませんね。うふふ」

    (RP)
    (目星)
    失敗→特に何もわからなかった。
    成功→白猫が陽太郎の方を見て固まっている。否、小刻みに震えている。怯えているようだ。
    (RP)

    それから数日経った頃。あなたたちはその街で、普段通りの生活を送っている。或いは、遠く離れた住居に戻って過ごしているのかもしれない。
    あなたたちが猫探しに奔走した街。そこにはいつも通り、平穏な時間が流れていた。その流れの中に最近、ひとつの噂が時折混じるようになった。
    「猫が大好きな、神様がいる。」
    そんな文言から始まる噂。猫好きゆえに、神社に地域の猫を集めている、願えば迷い猫がすぐ見つかる、そもそもこの神社の神こそが猫である……などと、その正体や内容は、噂の内容によって様々である。
    猫の神様────その猫飼いにとってありがたい噂の主は、その後、共通した名で呼ばれることとなった。

    ネコガミサマ、と。

    エンド1:ネコを讃えよ




    【エンド2ルート:アルが脇道でネズミ怪物をいじめ続け、逆襲に遭う。】

    「アルー、こっち来な。ちゅーるあるぜ。おーい」

    寿はしゃがみ込むと、チッチッと口を鳴らしながらちゅーるのパウチを差し出す。が、白猫は毛を逆立たせて寿を威嚇すると、踵を返して、脇道の奥へと入り込んでしまった。

    「……」
    「陽太郎さんのせいすよ」
    「うむ!!!すまない!!!」
    「……。追い掛けますか、とりあえず」

    (アイデア)
    白猫の口元と足元に、わずかに赤黒い汚れが見えたような気がする。
    (寿成功の場合)
    「あいつ……口元と足に、血っぽいのが……ケガしたのか?早く保護してやんねーとな」

    (脇道に進むという宣言)
    (聞き耳)
    成功→少し先から、猫の鳴き声が聞こえる。ただの鳴き声というより、威嚇のような、悲鳴のような……
    失敗→少し先から、猫の鳴き声が聞こえる。

    少し進むと、室外機の影から白い尻尾が覗いているのが見えるだろう。こちらには気付いていないようだ。小さく揺れているだけで、逃げ出すような気配はない。
    「……俺が行ったら、多分また逃げる、よな……」
    「……」
    「すいません……捕まえてもらってもいいですか。逃げそうになったら俺達でガードするんで。せーの、で行きましょう」
    (捕まえるという宣言)
    あなたたちは忍び足で、室外機の方に近付く。幸いにも向こうは気付いていないようで、尻尾は小さく揺れ続けていた。

    あなたたちは室外機の向こう側を覗き込む。猫を見る。見てしまう。上半身を真っ赤に濡らした猫を。同じように赤い液体に染まりながら、猫の首元へ齧りつく、大きなネズミの姿を。
    ネズミがひとつ齧り付くたび、猫の身体はその勢いに揺さぶられる。地面に放り出された尻尾が、ただ虚しくあなたの眼の前で揺れ動く。
    ふと、ネズミがこちらに顔を向けた。否、ネズミではない。こちらを向いたネズミの顔は、人間の目で、人間の口で、人間の歯を見せて、「ヒヒッ」と笑って、こちらを見た。人面だ。人面ネズミだ。おぞましいネズミ怪物との遭遇に、探索者の背筋が凍り付く。SANc1/1d5

    こちらに敵意を感じたのか、口元を血で濡らしたまま、ネズミ怪物はこちらに襲い掛かってきた。

    「よ、陽太郎さん!銃!銃ないんすか!」
    「あるが……!!!こんな場所ではまずい!!!跳弾してしまう!!!そもそも、この大きさではとても……!!!」

    choice[茅峰さん,璃桜さん,陽太郎,寿]
    【HP4、DEX18、噛みつき35%。
    走っているネズミ怪物には攻撃の命中率から40%引く。誰かに噛み付いているネズミ怪物には20%を命中率から引く。噛まれた探索者は、ネズミ怪物を引き離すのにHPを1D3失う。他の人が引き離す場合、耐久減少はなし。】

    (3ラウンド経過or4ダメージを与えることで戦闘終了。)
    逃走→勝ち目がないと悟ったのか、ネズミ怪物は壁の隙間に潜り込み、逃げていった。
    倒す→ネズミ怪物は低く唸ると、そのまま地面に体をもたげる。一、二回その身体を痙攣させたかと思うと、ぴくりとも動かなくなった。

    (倒した場合)
    「……役所か、研究所か……どちらに連絡するにせよ、そのまま掴んで持ち帰るのは躊躇われる。一度交番に戻って、道具を持って来よう」

    (目星)
    ちぎれた赤い首輪が落ちている。首輪には“Albert”と印字してあることがわかるだろう。
    陽太郎は、自らの手に血が付くのも構わず、猫の首元に手をやる。しばらくそこに触れたのち、ゆるゆると首を横に振った。
    「……飼い主に、報告しなければならないな」
    陽太郎はハンカチを取り出すと、ひどく傷ついた猫の首元にゆるく巻き付ける。彼はその亡骸を抱き上げたのち、小さく零した。
    「……助けられず、すまない」
    陽太郎は顔を上げて、探索者たちに呼び掛けるだろう。
    「君達まで危険に巻き込んでしまったな。本当に、不甲斐ない限りだ……後は、警察に任せてくれたまえ」
    「……何、二度とこのような悲劇は起こさない!!!約束しよう!!!」
    (RP)

    彼と別れたあなたたちは、ひとりの青年がかがみ込み、側溝の蓋に手をかけていることに気が付くだろう。
    「ああ、別に……鍵を落としてしまって。大丈夫です、今拾って、戻したとこなんで……」
    そう言って立ち上がった青年は、地面に置いていた麻袋を手に取り、あなたたちに背を向けて立ち去った。
    (アイデア)
    麻袋の中身が、もぞりと動いたような気がする。
    (側溝を調べるという宣言があった場合、目星)
    血のようなものが点々と付いていることがわかる。

    それから数日経った頃。あなたたちはその街で、普段通りの生活を送っている。あるいは、遠く離れた住居に戻って過ごしているのかもしれない。
    あなたたちが猫探しに奔走した街。そこには平穏な時間が流れていたが、何やら最近、不穏な噂も混じるようになった。
    「猫を食い殺す、化け物がいる。」
    そんな文言から始まる噂。化け猫だ、大鼠だ、ゾンビだ、人面犬だ、アライグマなどの害獣だ……などと、その正体や内容は、噂の内容によって様々である。
    猫を噛み殺す────その不気味な化け物の噂の主は、その後、共通した名で呼ばれることとなった。

    ネコガミサマ、と。

    エンド2:窮鼠猫を噛む
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