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    れん月さくら

    @RengetuSakura
    !成人済 ♡GLNLBL♡ !腐 男女問わず主人公受固定派 love:HQ!宮日侑日治日 オバロ骨愛され 吸死ドラ受固定 現代版英国探偵/S BC右 BCキャラ右 セカフェリ JOJOジョナ受け SS銀受け 気分屋

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    れん月さくら

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    吸血鬼すぐ死ぬの論文書こうとして書けなかった会話文ばっか

    #吸血鬼すぐ死ぬ
    vampiresDieQuickly.

    作麽生「君は、何を食べたんだい?」





     田舎と都会のあいなか程であるその街は、その日も平和だった。
     朝日が昇り、そして沈む当たり前さとともに穏やかさが共存するそこで、人々と僅かにいる人外はただ平凡に日々を暮らしている。
     そんな街の小さな花屋にて、学生アルバイトとして勤める彼女もまた、いつも通りに働いていた。花達の状態を確認し手入れをする彼女の耳に、カランとドアベルの鳴き声が届く。
     既に太陽も沈んでおり間もなく閉店なのだが──とは勿論口には出さず、彼女は笑顔で立ち上がった。口内で溶けて小さくなった飴を上手く転がしてから、その薄紅色した唇を開く。
    「いらっしゃいませ」
    「やぁ、こんにちは、お嬢さん。閉店間際に申し訳ない。黄色い薔薇は、こちらで売っているかな?」
     変な客ではないことにひとまず胸を撫で下ろし、店員は黄色い薔薇へと足を向ける。
    「はい、御座いますよ。ああでも、たくさんは無いですけど……」
    「構わないさ。ちょっとした花束ができるのなら、それで」
     訪れたその客は、映画やドラマで見る一昔前の貴族のように振る舞う身なりの良い紳士であった。今時珍しいステッキを床に突き、チェック柄の高価そうなスーツを身に纏っている。そして、そんな身なりに相応しく年配者のようなのに背筋がすっと伸びている。
    「黄色い薔薇はプレゼント用でしょうか? ラッピングはどのように致しますか?」
    「いや、墓参り用さ。急に思い出してね、ふらふら彷徨っていて、そういえばこの土地でアイツは死んだのだったな……と」
    「そ、それは……、」
     思いがけない暗い話に、顔をあげた店員の耳に乾いた笑い声が響く。
    「ハハ、大凡120年ぶりの墓参りだ。アイツも吃驚するだろう」
    「120年だなんて、大げさ、な」 
     吸血鬼。
     単語が咄嗟に頭に浮かび、それから客の尖った耳と口元の牙が視覚情報としてやっと脳に到達し、女は思わずすうっと顔を青褪めさせる。 
    「あ……」
     人間と吸血鬼の戦争時代など歴史の教科書で習う昔の出来事だ。何も怯えることはない。
     友達の友達の近所には言われなければ分からないような人間のような吸血鬼が住んでいる、とも聞いたこともある。
     しかし、そういった知識としてはその存在を知っていても、彼女はその人生で本物の吸血鬼と相対したことは一度もなかった。
    「──怖がらせてしまったかな?」
    「えっ。あ、いえ、す、すみません。私、身近にいたことなくて、その、」
    「ふふ、こちらこそすまない。ただのジョークのつもりで、君を怖がらせるつもりはなかったんだ。許してほしい」
     にこりと微笑まれ思わず女はときめいてしまう。海外俳優のような顔の整った紳士な吸血鬼に優しくされるなど、まるでドラマの一場面のようであった。
    「え、えっと、それじゃあ花束は白と黒のリボンにしましょうか」
    「嗚呼、素晴らしいね」
    「派手にせずシンプルなのが良いですかね」
    「君はとても優しい人なのだろうね」
    「は、はあ……。あっ、花束は黄色い薔薇以外は要らないですか? 何か別の花も、」
    「君みたいな人間がぶち撒ける本性は一体どんなものなのだろう?」
    「…………え?」
     ニタリと嗤うその顔は、人のものではないと、女の魂に確かに感じさせた。
     バタン!!
     大きな音がして奥のスタッフルームの部屋から店長が飛び出して来る。その手にはモップと対吸血鬼用のスプレーがあった。どうやら奥でずっと様子を伺っていたらしい、そんなことをぼんやり思う彼女に店長が慌てて叫ぶ。
    「警備システム!!」
     完全に忘れていた警備会社に即刻通報が行くスイッチの目掛け

    「やはり素晴らしい。誰かを想い熱くなる人間は、見ていて愉しいよ」



    「私は吸血鬼猥談おじさん!」

    「ははっ、期待を裏切ってすまないね! 私は裏切りを愛してるんだ! さぁ──」

    「──皆さんに、猥談の光あれ!」


     その後、私は吸血鬼に興味を持ってしまい吸血鬼の集まる新横浜にてカフェでも開こうかな……などと夢想した。







    「やっぱ東京の吸血鬼は違うわ」
     
     ただいまもなしにそう言い放った身内に、吸血鬼マイクロビキニはぶちぎれる。
    「帰宅早々なんなんだ、愚兄! そもそも今の今まで何処をほっつき歩いてた、何の連絡もなしに!!」
     要約すると心配したという意味合いになる怒鳴り声に対して、吸血鬼野球拳大好きはしかめっ面をするだけだった。
    「別にそんな怒鳴ることないだろ。マジで色々あったんだよ。駅前でフリーハグしてたからフリー野球拳もいけるかなって思ってやってたらハンターの姉ちゃん達が来ちまってよ~」
    「あまりの阿呆さに呆れ過ぎて逆に尊敬するぞ、愚兄」
     本気で呆れる吸血鬼マイクロビキニの横で、吸血鬼下半身透明もジト目で兄を睨みつけ同意を示していた。

    「姉ちゃん達すっげぇベロベロに寄ってて全然こっちの話聞かねぇのな。殺意高いしヤベェと思ってテキトーな電車乗って逃げたら東京に着いちまってさ」

    「そしたら偶々東京の吸血鬼の集会の待ち合わせに鉢合わせしてよ、俺は新横だけど全然いいよ行こうよって誘ってもらってカラオケ行ったんだよ」
    「カラオケ」
    「公民館とどっこいどっこい」
    「いや仕方ねぇだろ、東京で廃墟見つける方が大変じゃねぇか。交通の利便性考えたらやっぱ都心部がいいしな。割り勘したら数多いと安いし、カラオケ」


    「それで? 話は終わりか?」
    「いやいや、ヤベェ話が一つあるんだわ。その話以外は俺達もしてるような近況報告とかだったけど、アレはマジにヤベェ」
    「語彙力の乏しさが酷いぞ、愚兄」
    「うるせえ!」


    「とある吸血鬼が人間に恋しちまって、勝手に相手を吸血鬼化させようと企んで自分の血液を混ぜた食べ物食わせてたんだと」

    「なんだ、吸血鬼あるあるネタじゃん」
    「偶に現れて逮捕される阿呆の類の話じゃないか、愚兄」
    「いやいや、ここで終わらねぇんだよ!」

    「逮捕されたその吸血鬼は今収容所にいるんだけどよ、ずーっと『ずっと一緒だ、だから幸せなんだ』って言ってんだってよ」

    「あくまで現状証拠の推測の域を出ねえ話だって言ってたけどよ」

    「たぶんソイツが吸血鬼にした人間は、朝日が昇るのと同時に自殺。そんで、吸血鬼はその灰を食ったんだ」
    「は?」

    「その人間、親しい奴らには希死念慮があることを話してたらしいんだよな。そんで、吸血鬼は何も話さねえけど、僅かな食べ残しからは吸血鬼の血液が確認できて、同じホテルに入ったはずの人間は出て行った痕跡も無く塵も残さず行方不明」

    「そんでもって『ずっと一緒だから幸せ』って言ってる吸血鬼だから、ま、ほぼほぼ黒って訳よ」
    「うげぇ……。信じらんない……」
    「吸血鬼の恥晒しだな。人間どもはソイツを極刑にはしないのか?」
    「なんでも確たる証拠が無いと無理らしい。今のとこ推測のいきも出ねぇし自白も期待できねぇしでどん詰まりらしい」

    「自殺したくて吸血鬼になるって、人間意味わかんねぇ」

    「あー、何でも死ぬのは大変らしいぞ、人間って」










    「矛盾を知っているか、生きる屍」



    「はぁ、そりゃまぁ、一応。というか……、知らない人間をこの国で探す方が難しいんじゃないか? 二字熟語を習う時の一番最初に、分かり易い例題として上げられる文字だろう」
    「ふん、ハンターの馬鹿共なら知らんかもしれんぞ」
    「いや、流石にそこまではないだろ……。少なくとも若造は、アホで5歳児でゴリラだが──、作家として一定の勉強はしただろうからな」

    「アイツらの知能指数など、どーでもいい。俺様の質問に答えろ、生きる尸」

    「本当に身勝手な人間だね」

    「矛盾とは本来、存在しないものだ。有り得ない物事だ。だからこそ存在そのものが有り得ないお前達は、超常の力を使うのだろう。だとすれば、だ、」

    「お前達の死とは何だ?」

    「人間の血液を吸い生き続ける死体の、死の定義とは何だ?」

    「死を何度も経験したお前なら説明できるのか」

    「何度も復活するお前なら」

    「…………昔、聖職者にキレられたことがあったなぁ」
    「は?」
    「御真祖様が催眠術であの人間の記憶を書き換えてくれなかったら、私は今頃どうなっていたやら」

    「『復活とは、死から蘇ることであり、お前達のそれは死体の再構築でしかない』」

    「天から愛された息子と、彼曰く穢らわしい一族の愛息子。まぁ、そんなのを一緒くたにされて腹が立ってしまったのだろうね。今も昔も、過激派のファンというものは恐ろしい」

    「……死体の、再構築」

    「生きていないモノに死は訪れないし、奇跡も起きない」

    「ならばそれは、」

    「はい、ドラちゃんサービスタイム終了〜! 帰りまーす!」
    「はあ?! ふざけるな、誰が帰すと──」

    「見つけた! もういい加減にしてくださいよ!」

    「あ、おい、せっかく」
    「いやいやいや、もう無理ですよ! 先月のあの件もこの間のアレも先週のことも、揉み消したり処分軽くしてもらったばっかりでしょ! せめて今週だけでも大人しくしててください!」
    「どうせこっちが始末書の代筆しなきゃだし勘弁してくださいよ!」
    「私達が把握している以上に何かやらかしてるみたいだな、このサイコパス所長」
    「ヌー……」


    「若造、お迎えが遅いぞ!」
    「うるせー、クソ砂。俺はジョンを迎えに来たんだ! テメーはあの迷惑所長の実験動物にでもなってろよ」

    「若造、帰ったら何が食べたい?」


    「あー、いや、今日はそんなに腹減ってないんだよな」

    「……実はファンだって子が来て差し入れ貰ってよ」

    「へぇ、ロナルドくん、」




    「この死体は、喋らない」

    「塵になっているだけで、お前に意識はあるだろう」

    「私の言葉を思い出せ。散り散りとなれば復活できないとは言ったが、死ぬとは言ってないだろう」

    「愚かな弟子よ」

    「塵は何処へ行く? お前の魂は?」

    「留まり続ける。何処でもない、狭間で、最早何とも解らぬ何かになって」

    「吸血鬼同士なら、血の強いモノが勝つ」

    「成れの果て相手でも、その血は盾となろう」

    「愚かな弟子よ」

    「忘れるな。これは秘密だ」

    「我らが死体と塵に永劫閉じ込められるだけの化け物だとは誰にも知られてはいけない」

    「そして、」

    「この永劫の夜に誰かを誘うならば覚悟を持て」

    「激しい憎しみを相手から抱かれる覚悟を」

    「だから全てを泡沫の夢で済ませるのか」

    「あぁ、私は女性を愛しているからな」






    「そもさん」
    「は? せっぱ?」

    「おやおや変な知識はあるな、若造。そういうAVでも見たのか?」
    「ああ?! ケンカ売ってんのかテメエは!」


    「今が楽しければ私はそれでいいし、過去に囚われるのは愚かなことだ」

    「それは、」


    「ねぇ、ロナルドくん、今日は何が食べたい?」
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