Fireworks付き合って4度目の夏。
ふたりで観る4回目の花火大会。
ふたりで観る最後の花火。
屋台もなければ、人もいない、会場から少し離れたこの場所はふたりだけの特別な場所だ。
付き合い始めてまともな遠出自体が初めてだった4年前の夏。新生活に慣れるまでふたりとも必死で日々を駆け抜けていた。そんな時義勇が恋人らしいことをしようと炭治郎を連れ出したのが始まりだった。
誰に迷惑をかけるでもない、敷物を広げても気を使わない。ふたり身を寄せ合っていても、手を繋いでいても、たとえ触れるだけのキスをしても。
暗闇に大輪の花が咲き誇り、少し遅れて「ドーンッ」と爆発音が耳に届く。
火花は夜空を明るく照らし、隣に座る恋人の顔に睫毛の影を作る大事な役割を果たしてくれる。
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