凛ちゃんと甲斐ちゃんと慧ちゃん はいたい!わんは比嘉中女テニ部三年、田仁志慧!ここはわったー行きつけのハンバーガーショップ!部活の後は大体いつものメンバーでお喋りして帰る(けーる)んばぁよ。まっ、わんはココで腹ごしらえしておかないと、家にけーり着くまでに腹ペコで死んでしまうから、お喋りしてる暇があったらハンバーガーを食う。そりがわんのルーティンってワケ。
「そんでよ~、わんが、アッそろそろ手ぇ繋ぎたいや~って思ってたら木手がよ、スッ!って手ぇ出して繋いでくりゆん。あれ何でかねぇ。木手ってエスパーみたいさぁ」
コイツ(くぬひゃー)は裕次郎。本名は裕子やしが、どうにも男勝り(イキガマサイ)で色気もあらんし、みんな裕次郎って呼んでるのさぁ。男テニ部長の永四郎はくぬひゃーの幼なじみで、最近やっと付き合い出したもんだから、わったーもや~っと付き合ったかと、胸を撫でおろしている所。
「ぬーがエスパーよ。やーの考えてる事なんか誰にでもバレバレやっし」
「え~!」
「やーは顔(ちら)にすぐ出るからよ、ツルスケよ」
「あいひゃ~」
凛は見ての通りのちゅらさんだから、女テニではわんの次にモテる。見た目は派手やしが、面倒見が良くサッパリした性格で、男子だけじゃなくて女子にもモテる。やしが凛は彼氏一筋、小学校からの幼なじみの知念と付き合ってるんばぁよ。あぬひゃー、わんと同じくらい上背があってなかなかイイ男さぁ。それにしても今日のポテトは揚げたてで塩が効いててまーさん(美味しい)どー。L一個じゃ足りる訳がない。あとで追加しようとわんは心に決めた。
「そんでや、手ぇ繋いでるとわん、すーぐ手汗かいてビショビショになってしまうんばぁよ。わん、恥ずかしい(はじかさん)!って言って手ぇ離そうとしたらよ、これは俺の手汗だよって木手がフォローしてくりゆん♡」
「ふ~ん」
「やしがやっぱり恥じかさんからよ、わん一生懸命手ぇ離そうとするワケよ。そしたら木手、ギューってわんの手握って逃がさんワケ!イヒヒッ!男(いきが)ってやっぱり力が強い(ちゅーい)ねぇ~♡」
「ほ~ん……。で?」
「で?とは?ぬーよ凛、オチとか期待さんけー。木手はでーじカッコイイって話やっし♡」
「そぬ後木手の部屋に寄ってや、どうせチューのひとつもしないで、夕飯食って帰るってか」
「ウ……」
「ガキ(わらばぁ)やっさ~。はーワジワジするねぇ」
「ちゅ、チューとかっ……ッ。そりゃ、凛みたいによ、積極的に行けたらいいしが、わんは……」
「言っとくけどよ、チューはわんから行ったワケじゃあらんどー」
「えっっ」
「そういう時は知念がリードしてくりゆん♡あぬひゃー普段は大人しくて優しいけどよ、実は(じちぇー)でーじ男らしいからよ」
わらばぁの裕次郎と比べると、凛は確かに大人やっし。チュー以上の事もしてるとわんは聞いた。裕次郎に話すと大はしゃぎで収集が付かなくなりゆんからまだ話してないらしい。
「へっへぇ~!いいなぁ……。わんも、チューしてみたい……」
「まっ、永四郎も機会を伺ってるんじゃないかや。あぬひゃーどうせムッツリやっし」
「ムッ……、木手はムッツリやあらん!」
「ムッツリムッツリ。なー田仁志よ」
「だーるな。男はみーんなスケベやっし。す〜ぐおっぱいとか見てくるしよ。うり、やったーもポテト食え」
「ん!まーさん。なー凛、チューってどんな感じかや~」
「どんなって……」
凛が困った顔でちら、とわんの方を見る。知らん知らん、わんは助けんどー。
「ま、知念はよ……。チュー、上手い、と思う。他の男知らんからわからんしが……」
「イヒィ~♡」
「目ぇ閉じないから最初ビビったけどよ」
「えぇ~ッ♡チューの時ってや、普通目ぇつぶるんじゃないかや⁉」
「わんの可愛い顔が見たいんだってやぁ。ったく困ったモンやさ」
「ギェ~~~~♡」
「えー裕次郎、声でかいどー。座れ座れ」
「……そう言う慧ちゃんはどうなんだばぁよ」
「どうって、ぬーがよ」
「ぬーがって、恋の調子はよ」
「恋の調子ってぬーがよ、ウケる。わんの話はさんけー。今食うのに忙しいんどー」
「田仁志はモテるからよー。こないだも告白されてたやんに」
「えっ!わん知らんどー!誰に?誰に?」
今は恋愛なんかよりテニスの方がずっと楽しい。正直このテの話題もあんまり興味はあらん。わんは黙って五個目のハンバーガーに噛り付いた。
「男テニ二年の新垣よー」
「あッ!凛、やーはそうやってすーぐ喋る(あびる)っ」
「ガッキ~~~~⁉あぬひゃー、年上好みかや~⁉で⁉で⁉慧ちゃんは何て返事したのかや~⁉」
知られたならしょうがない、わんはコーラをズゴゴと啜ってふぅ、とため息をついた。
「わんはよ、モテるとはいっても、男子ってみ〜んなわんのカラダ目当てじゃないかやって……今まではそう思ってた」
「田仁志はダイナマイトボディやっし、そういう男子もいるかもわからんねぇ」
「けどけど、ガッキーはそんなことあらんよな⁉」
「ん……、ガッキーは可愛い顔(ちら)して、なかなか骨のある男どー。だからわん、今はテニスの事しか考えられんって一度お断りした後によ、ガッキーがいずれ部長になって、もっともっと逞しくなって、わんをお姫様抱っこできるくらいになったら迎えに来いって、そう伝えたばぁよ」
「ワァ……慧ちゃんはイイ女だねぇ」
「男を育てる事まで考えてるとは、さすが田仁志だばぁよ」
「へへっ。ガッキーやぁ、ハイ、ちばりますッ!だってよ」
「あい、かわいいねぇ!」
「まっ男は将来性よ。ッシャァ、わん追加注文してくるどー」
「待てぃ田仁志。もうこんな時間やっし。そろそろ行くど」
「えっ」
「慧ちゃんハンバーガー五個も食ったし家まではガマン出来るだろー」
「ポテト……」
「明日明日!うり忘れモンあらんか。トレイこっちにまとめろ」
「わん帰ったらすぐ木手にメールしよ~っと♡」
「新垣のくとぅ、軽率に喋る(あびる)なよ。ここだけの話さぁ」
「は~い」
「ポテト~……」
♡♡♡
「……ついに我々には、気づかなかった様ですねぇ」
「衝立のすぐ向こうに居るとは、思わなかっただろうねぇ。声を掛けそびれてしまったさぁ……」
「おかげで知念クンがキスの時目を閉じないという特に知りたくもないデータを得てしまいました」
「主将(キャプテン)」
「何です」
「ムッツリなのかや」
「ノーコメントですッ!」
「……ガッキーには、脈アリだって、教えてあげようかねぇ」
「お任せしますよ……。まったく、女(いなぐ)のお喋りほど恐ろしいものはありませんね。聞かなきゃよかった……」
「まあチューの話くらい可愛いモンさぁ。それ以上の話されたらさすがに止めに入ろうかと思ったけどねぇ」
「それ以上、とは⁉ど、どこまでしてるんですキミ達(やったー)は⁉」
「あっ……。ノーコメントやさ……」