そんな子に育てた覚えはありませんとある日の夜、リーバルは巡回の幹部が通り過ぎるのを待ってから、イーガ団本部のコーガの部屋にするりと入り込んだ。
「おぅ、どした」
コーガは片ひじをついて読んでいた書物から顔を上げずに声をかけた。
仕事中だって別に関係ない。もしそうだとしてもまだ帰ってきていない優秀な筆頭幹部が全て片付けるだろうし、夕飯前のこの時間はコーガが暇していることをリーバルは知っていた。
黙って近づき、本を持つ腕の内側に無理やり身体をねじ込むと胡坐をかいた膝の上に乗り上げる。
「ちょっ、邪魔」
抗議の声を上げたコーガは腕を上に掲げ、まだ本を読もうとしている。
「ねぇ、知ってる?」
リーバルはコーガの腹にべたりと顔をつけたま嘴を動かした。
「リトの発情期ってすごく辛いんだよ。ずっと熱が出たみたいに頭がボーッとしてるし、このままじゃ任務に支障が出るかも」
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