Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    ⚠︎と丸

    @18tt1010

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 9

    ⚠︎と丸

    ☆quiet follow

    ちあしの/SS小説本サンプル
    死ネタ含む、救いのない話です。

    ##ちあしの

     その顔には、見覚えがあった。

     ここは町にある交番で、そこに勤める自分はいつも通りに勤務していた。この数年間特に大きな事件などもなく、今日もただいつも通りに。
     ふと、こちらへ向かってくる人影に気付く。それはどこかで見たことのある顔で。そうだ、確か夢ノ咲出身のアイドルだったはず。名前は、
    「守沢千秋?」
     ほんの数ヶ月前まで、よくバラエティ番組に出演していた気がする。最近ではすっかり見かけなくなったが。
     ハツラツとした印象の守沢だったが、彼がこちらに近づいてくるにつれ、その姿が自分の記憶する守沢とは180度異なって見えることに気付く。この茹るような暑い日に彼の顔は蒼白としており、目は虚ろで足元はどこか覚束無い。そこまでわかって、ようやくただ事ではないと感じた。
     思わず駆け寄り、声をかける。
    「き、君、大丈夫かい!? 何か、あったのか!?」
    「……俺は、」
     守沢は徐に口を開いた。よく見ると、彼の首には手で絞められたような跡が赤黒く、はっきりと浮かんでいる。
     守沢は息を一つ吸い込むと、静かに、でも確かな口調で告げた。

    「俺は、人を殺しました」
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    😭😭😭🙏🙏🙏💯💴💴💴💕
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works