可愛くなりたいと思ったのは今までの人生で初めてだった。容姿については昔からさんざ言われてきたので整っている自負はある。だがしかしそれでも、彼のまわりと比べたら、自分はなんと貧相で華のない人間なのだろうと卑下してしまうのだ。メイクもヘアスタイルもファッションもカラフルな米国女性陣は、自分の魅せ方がうまい。それが彼女たちの自信や原動力の源なのだと、現在の合同捜査でなんとなくわかっていた。でもだからといって地味な僕に自信や原動力がないわけではない。むしろ溢れんばかりだ。着飾らないと湧き出てこないようなタイプではないし、その前に着飾るものを持っていないし…バーボンの場合は別だけど。今は降谷零の話だ。薄いオフィスメイクとおなじみグレーのセットアップスーツで米国勢の部屋へ諸用に行けば、自分はかなり浮いている。言い方を変えれば、とても目立つ。
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