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    Sino_mzsw

    @Sino_mzsw
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    Sino_mzsw

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    https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=15245222
    の続き(書きかけ)です。AIのべりすとさんにお手伝い頂いています。
    前半ちょっとごちゃっとして読みづらいので手を入れようと思ってnヶ月、ちょっと一回提出しておきます。いずれ必ず日の目を見させる……。

    ##のべり
    ##にゃちょ

    藁の上からのし掛かる「全くなんだって言うんだ」
    夕餉を口に運びながら少し苛ついた声で山姥切長義が言った言葉に、席を共にしていたその向かいに掛けていた鯰尾藤四郎は首を傾げた。今日は山姥切長義の隣に座っている松井江に視線を投げると困ったように眉を下げていた。山姥切はそれだけ言って食べ進めることに戻ったから経緯は一切不明だが、彼の言葉の対象は何となく察せた気がする鯰尾だった。南泉一文字は夜戦や厨には組まれていなかったはずだ。しかしこの場にいない、どころか広間に見当たらないし、山姥切が席をとっている様子もない。物吉、早く食事当番から戻ってこないかなあ、夜戦で後藤もいないし俺一振りじゃあちょっと荷が重いかな……と顔には何も出さずに考え、とりあえず追求しないことにした。触らぬ神に祟りなし、君子危うきに近寄らず。昼間見かけた時も中々な目に遭っていた我らが無代の刀には悪いが、言ってしまえば、見捨てた。
    と、ここで、黙々と食べる山姥切の指先にふと鯰尾は気がついた。丁度いい、話題を変えよう。
    「山姥切、爪、珍しいですね。なかなか綺麗な色じゃないですか。似合ってますよ…」
    と言い切るかどうかのところで下を向いていた山姥切が勢いよく顔を上げ
    「だろう!?」
    食い気味に返してきた。
    あ、これ、話題間違えたな…。鯰尾はひっそりと遠い目をした。やっぱり早く物吉帰ってきてくれ、席は隣に取ってあるから。
    「折角加州と松井が選んで塗ってくれたというのに、猫殺しくんときたら……」
    成程な、不本意ながら事態は一応把握した。
    「うーん……まあ南泉も疲れてたんじゃないですか、今日の昼間厩当番で酷い目に遭ったみたいでしたし」
    と(山姥切の機嫌を取る目的もあり)洗濯当番の際見たものについて話す。

    あの汚れ具合では大体一時間くらいはかかったんじゃないだろうか。結構手間がかかるんだよなあ。
    「ああ、あれか。そういえばそんな話をしていたな」
    「お昼寝したのかと思ったんですけどね、事故らしいです。馬糞まみれになってましたよ」
    「はは、それは傑作だな。是非とも写真に収めておきたかったものだ」
    「……そう言えば山姥切、なんでさっき南泉の話になった途端にいきなり不機嫌になっちゃったんです?」
    なんとなく察してはいるが、一応本人の口から聞いておきたい。
    「……別に、なんでもないよ」
    「えー? だって今朝方も一緒に居たじゃないですか、ほら、朝食の時とか」
    「…………」
    「えっと、喧嘩でもしましたか?」
    「……そういう訳では、無いと思うんだけど……」
    煮えきらない返事をする山姥切を見ているとなんだか可哀想になってきた。普段散々振り回されているのだからたまには困らせてやりたい、とでも?いや南泉に限ってそれはない。となると一体……
    「……どうして怒った?のか、よく分からないんだよね」
    「えっ、怒ったんですか?南泉が?」
    「いや……正直それもよく分からなくて」
    だって、と山姥切が小さい声で続ける。「……あんな顔、俺ははじめて見たものだから」
    その表情を見て、ああこれは重症だと悟った。
    「なるほど……」
    「なにが『なるほど』なのかは聞かないでおくけれど」
    「まあまあ、とりあえず山姥切、今日明日は非番でしょう? しっかり休んでください。」
    「うん……うーん……」
    「何ですか、その微妙な顔」
    「俺のせいではないとはいえ、今日はなんだか調子が狂って、どうにも落ち着かないんだよね」
    「山姥切はいつも通りですよ。はい、大丈夫!」
    と元気づけるように言うものの、「本当に大丈夫だろうか……」という不安げな呟きとともに山姥切は食べかけの茶碗を置いた。と、そこで
    「いやあ今日も皆さん食べっぷりがよくて!厨の忙しいのは大変だけれどそれが嬉しいですね!」
    この卓の空気を粉砕して物吉貞宗が鯰尾の隣にかけた。そのタイミングの良さに、流石幸運の刀……と心の中で合掌する。
    「あっ、物吉、お帰り。ありがとうすっごい助かったマジで。今日の夕飯、物吉が作ったんだよね?」
    「?はい!僕、頑張っちゃいました。」
    物吉は、何が助かったんだろ?という疑問符を浮かべながらとりあえずいつもの笑顔で返事をする。そして物吉は隣の山姥切の方を向くと、ぱちりとウインクをした。
    「山姥切さんも、お疲れ様です」
    「……ああ、おかえり。おつかれさま」
    「はい、山姥切さんの分のお膳もちゃんと美味しくできていましたかね?……あれ、あまりお口に合いませんでしたか?」
    それとも体調がすぐれない?と、半分ほどが残った山姥切の膳を見て物吉は言った。
    「ああいや、そうじゃないんだ、美味しいよ」
    「そうですか?でも……」
    とここで物吉は声を潜め、顔を近づける。
    「もしかして、南泉さんと何かありました?」
    流石は脇差、偵察が高い。
    「……」
    「やっぱりそうなんですね。南泉さん、山姥切さんのこと大好きですもんねえ」
    「そう、なのか?まあそうか……。……いやそれならもっとこう、他に言うことがあるだろう……」
    「うーんぼくにはいまいち話が見えないですねえ」
    そう言って首を傾げる物吉を見て、山姥切がため息をつく。
    「……物吉は、俺のことをよく見ているなあって」
    「そうですか? でも、山姥切さんも僕のことよく見てますよね」
    「そりゃあ、ね……」
    「じゃあお互い様じゃないですか。……ふふ、なんだか照れ臭いですね」
    はにかんで笑う物吉を見て、山姥切が目元を緩める。
    ……いいなあ、こういう雰囲気。
    「あーっ、物吉さんおつかれさま~」
    「おっ山姥切と松井も一緒か!」
    そこに、今日の出陣部隊であった乱藤四郎・獅子王コンビがやってきた。
    「ここいいか?一緒に食おうぜ」
    「いや、俺はもう……」
    「えー、なんでよ、山姥切さんも一緒に食べようよ!」
    「そうだぜ、山姥切、遠慮すんなって」
    「いや、だから俺は」
    「えっなに、山姥切さん具合悪いの!?」
    「大丈夫か?」
    「いや、別にそういう訳では」
    交流が多い訳ではない相手に山姥切はややたじたじになっている。

    「……まあまあ山姥切、せっかくのご飯、そのしょんぼり顔のままじゃ勿体無いですよ。ほらりんご好きでしょう、俺のやつ一個あげますから、ちょっとは元気出してください」
    「……ああ、ありがとう」
    「ちょっと、鯰尾にいだけずるい! ボクのもあげるから!」
    「おい、山姥切、そんなに食えるのか?」
    「いや、あの」
    「……南泉さん、早く帰ってきてくれるといいですね」
    「……うん……」
    山姥切は何だかだんだん面倒になってきて曖昧な返事をしてしまった。

    「山姥切、あんまり思い詰めないほうがいいんじゃないかな」
    「……松井」
    「僕が見ていたところでは、喧嘩という感じでもなかったし、話はできるんじゃないかと思うけれど」
    「……そうかな……」
    「まあ、君の方が付き合いは長いし、色々あるのかもしれないけれど」
    「……うん……」
    結局、なんだかんだ言いつつ山姥切は全員と会話をしながらたくさんもらったりんごも含めて完食したのだった。




    「……という訳だ」
    その夜。本丸内、南泉一文字の部屋にて。
    山姥切長義は、南泉一文字の布団の上に寝転びながら、夕食時の出来事を事細かに説明していた。
    「……いや、どういう状況だにゃあ……」
    南泉は、自分の布団の上で仰向けになりながらこちらを見上げる山姥切に、文字通り頭を抱えていた。こいつは数時間前の自分とのやりとりを何だと思っているんだ。どうして全く変わらず平然とここに?
    「説明しろと言っているんだよ、きみ、あの時どうしてあんなに不機嫌になったの」
    待て、これは、つまり、自分がやらかしたと思ったことはそもそも意図が伝わっていなかったのではないか?と、思い至り南泉はぴたりと固まった。
    「……それは」
    山姥切は起き上がると、胡座をかいて腕を組んだ。
    「せっかく加州と松井が俺に合いそうと選んで塗ってくれたのに、どうして褒めるでもなく他の色を提案するでもなく、あんな不快そうに……理解不能だ、かれらにも失礼じゃないか?」
    ああ、やはり伝わらなかったのだ。喜ぶべきだろうか、気付かれていないならば何も変わらずいられると。

    しかし、あれだけわかりやすく行動して気づかれないというのはそれはそれでどうなのだろう、という気もする。
    「……お前まじか……」
    南泉は思わず呟いた。
    「何か言ったかな?」
    「……いや、なんでもねえ」
    山姥切が首を傾げている間に、南泉は思考と感情を落ち着けようと努める。少し気が抜けて空腹感に気付く。結局夕食は食いっぱぐれた。
    「オレの一人相撲ってかぁ……」
    南泉は手で顔を覆いその場に蹲った。山姥切はそれを見て、また眉を寄せた。
    「ちゃんと質問に答えてくれないか?」
    山姥切が南泉の足元に手をつくと、みしりと音が鳴った。
    「いや、だってよぉ……」
    言葉を紡ごうとして、そこで南泉は山姥切のその指先、つまり爪、に、数時間前の繰り返しのように意識を持っていかれた。
    「……おまえ、これ、なんで」
    予想外に低く絞り出すような声になって、南泉は自分でそれに驚いた。
    数時間前、翡翠色――一応製品としては竹の緑と言っていたか――に染まっていた山姥切の爪は、今は何の色もついていなかった。
    「ん?ああ」
    対して山姥切は全く変わらぬ調子で応じる。
    「松井にお願いしてね、落とす道具も借りたんだ」
    「どうして、」
    だって山姥切は確かにあの色を――かれの、写しを、思わせる色を――気に入っていたではないか。気に入っていたから、あんな柔らかな、はにかむような表情で、似合うと言ってほしくて「似合う?」だなんて聞いてきたのではないか。それが、どうしてこの短時間で落としてきた。
    「俺も傍系とはいえ長船、身だしなみにはそれなりに気を配りたいからね。似合わないものなら使わないさ」
    「でも、「似合う」って選んでもらったんだろ。それに、おまえは、気に入ったんだろ、自分で似合わないとは思わなかったんだろ、だのにどうして」
    「何故って、きみ、」
    山姥切はさも当然というような表情でさらりと続ける。
    「君が似合わないって言ったんだろう」
    今日一番の、頭を槍の柄で殴られたような、衝撃を受けた。それは、つまり、「あの」山姥切長義が、自身で下した評価より、己の、南泉一文字の、言ったことを、重んじたと?
    「君が言うならそうなんだろう。君は悪意あることは言わないしやらないだろう?それに、」
    俺に何が似合うか、なんて君が一番よく知っている。
    ただ当たり前のことを述べる表情で、山姥切は言った。
    呼吸が乱れ喉からおかしな音がした。視界がちかちかと明滅する。心臓の音だけが聞こえるようだった。
    「……っ」
    山姥切はそんな南泉の様子にきょとんとした様子だったが、ふっと息を吐くと立ち上がった。
    「……まあ、いい。何だか俺も気が抜けた。そろそろ部屋に戻るよ」
    「待て」
    そのまま出ていこうとする山姥切の手首を掴んで引き留める。振り返った山姥切は少し驚いているようで、そのことに何故か安堵した。
    「……りんご」
    「え?」
    「りんご、食うか?剥いてやる」
    山姥切は一瞬何を言われたのかわからないといった顔をしたが、すぐにぱあっと笑みを浮かべると勢い良く飛びついてきた。
    「ありがとう!俺、君のそういうところ好き!」
    はしゃぐ山姥切に引っ張られて立ち上がると、南泉は内心頭を抱えた。
    こいつは一体どういうつもりなのだと。
    南泉は別に、山姥切に特別扱いされたいわけでも、山姥切を特別扱いしたいわけでもないのだ。ただ、自分は自分なりに、こいつを大切にしたいし、なるべく誠実でありたい――そう、「昔馴染みの腐れ縁として」。今までそうしてきたし、それでいい、はずなのだ。なのにどうしてこうも踏み外しそうになるようなことを言うのだろう。
    「……お前さぁ……」
    「何?」
    「いや、なんでもねえ」
    南泉はため息をついて山姥切の手を引くと、部屋の隅に置かれた小さな冷蔵庫から赤い林檎を取り出した。包丁を手に取り皮をむき始めると、後ろで山姥切が楽しげに鼻歌を歌い始めた。
    「なんだそれ」
    「知らない?猫踏んじゃった」
    「いや、それは知ってるが」
    「ねこふんじゃったー♪」
    「おい」
    「ごめん、間違えた。刀踏んじゃっただ」
    「……わざとだろ」
    「うん」
    「素直かよ」
    南泉は呆れて肩を落としたが、山姥切はけらけらと笑うだけだった。
    「なぁ、」
    「ん?」
    「……オレは、お前があの爪の色、自分で選んだんだと思ってた」
    「……それで?」
    「あの色を、お前が選んで、気に入って、あんなに嬉しそうにしてたのが、嫌だった」
    「ふぅん?まあ似合わない色でやってたら誰だってそうも思うだろうね」
    「…………うーーん……と、な……」
    これは自分が悪い、のだろうか、そうなのだろう。林檎を剥く手を止めないまま言葉を考える。
    「似合わないっていうか、似合ってほしく、なかったんだよな、あの色は」
    ただのオレの感傷で、我儘なんだけどな、とこぼすように付け加えた。
    「あの色が?」
    「そう。落ち着いた碧で、光に当たると金色が煌めく、そういう色」
    「……俺の写しを思わせる色だから?」
    「……そうだにゃ」
    「ふぅん」
    山姥切はしばらく黙っていたが、不意にぽつりと言った。
    「……俺はさ、あの色を気に入っていたけど、あれが俺の写しの色だとは思ってなかったんだよね」
    「まあ、そうだったんだろうにゃあ」
    「何というか、そういう発想がなかった。だから正直君がそう感じたと聞いて驚いている」
    「……だろうな」
    南泉は小さく笑った。
    「あれが俺の写しか。確かに、言われてみればそんな雰囲気はあるかもしれないね。まあ、似ているかと言われると首を傾げるが」
    「そうか」
    「でも、君が言うならそうなんだろう、君は悪意ある嘘など言わないし」
    「……おう」
    南泉の手元の林檎はすっかり切り分け終わって、小皿の上に何匹もの兎が並んでいた。
    「しかし、」
    山姥切はくるりと振り返ると、南泉の顔を見上げてにやりと口角を上げた。
    「俺が、俺の写しを想って、あの色を選んだと。……へぇ?そうか。ふぅん?」
    「……」
    「それが、あんな態度を取るほど、嫌だった?」
    「……そーですにゃん」
    「かわいいやつ」
    山姥切は南泉の頭をわしゃっと撫で回すと、そのまま隣に腰を下ろして皿から林檎をひとかけ摘んだ。そしてそれを口に含むと、甘酸っぱいと呟いて満足げに目を細めた。
    「……俺はね、色は別に、何でもよかったんだ」
    「うん?」
    「赤でも青でも、金でも銀でも。ただちょっぴりいつもと違った「お洒落」して、そしたらきみはそれを見つけてほめてくれるかなって」
    「は」
    「だから、落とすに決まってるんだよ。きみが嫌がるのなら、意味がないんだ」
    ここで南泉は崩れ落ちた。結局自分たちはお互いに相手の意図を理解していなかった訳だ。「似合うと言ってほしくて「似合う?」だなんて聞いてきた」、それは間違っていない。けれど山姥切は、「あの色を」似合うと言ってほしかったのではなくて、「南泉に」似合うと言ってほしかったのだ。
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    Sino_mzsw

    PROGRESShttps://poipiku.com/1856457/9486100.html
    の続き。リンク先の中身読まなくてもキャプションを読めば状況は分かると思います。
    日光さんはこんなことしないやつの続き翌朝、長義は自身の部屋のベッドの上、頭から布団を被って丸まっていた。普段起きる時間を五分ほど過ぎたが、起き上がる気になれないでいた。眠くはなかった。体が泥のように重く、そのくせ頭は覚醒したままで、肉体的・精神的に酷く疲れていた。
    あの後身なりを整えられて、長義は自宅に帰された。車で送り届けようかと問われたのを、手間をかけさせたくないと言って断った。それが聞き届けられたのはおそらく、他の家族たちが帰ってくるまでにリビングの掃除をする必要が日光にはあったからだろう。どうやって帰ったのだったか、あまりよく覚えていない。のろのろと歩いて駅に至り、数駅乗って自宅の最寄りからまたちんたら歩いて、帰宅した頃には暗くなっていた。普段連絡なく遅くなるということはないので、同居している親戚たちには心配されたがはぐらかして、夕食も食べずに部屋に引き篭もった。思い出したくもないのに脳裏に行為の記憶がフラッシュバックして、勝手に涙が出て止まらなかった。全て夢だったことにして眠ってしまいたかったのに、結局一晩中一睡もできなかった。
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